「NTT法は2025年をめどに廃止を」自民党が提言 NTTは「法整備等の議論に積極的に協力する」とコメント
自由民主党 政務調査会が12月5日、NTT法の在り方に関する提言をまとめた。所要の法改正などを行った上で、現行のNTT法は2025年の通常国会をめどに廃止することを求めた。提言を受け、NTTもコメントを発表している。
自由民主党 政務調査会が12月5日、NTT法の在り方に関する提言をまとめた。
提言は、甘利明衆院議員を座長とするプロジェクトチーム(PT)がまとめたもの。自民党で行われている議論の内容はこれまで公表されていなかったが、今回取りまとめた提言は、自民党のWebサイトで公開されている。
PTがNTT法の在り方について議論した結果、以下の提言を行った。
- NTT法で速やかに撤廃可能な項目については、2024年の通常国会で扱う
- それ以外の項目についても2025年の通常国会をめどに電気通信事業法の改正などの措置を講じ次第、NTT法を廃止することを求める
NTT法では、NTTは研究成果を開示する義務があるが、PTは「NTTの技術開発事業は国際競争力の源泉となり得るもので、NTTの技術優位性を毀損(きそん)する」と指摘。経済安全保障上の問題もあることから、「研究成果の普及責務は次期通常国会で撤廃すべき」とした。
電話サービスを全国あまねく提供するユニバーサルサービス責務については、アナログ固定電話の契約数が減少していること、固定ブロードバンドやIP電話の契約数が固定電話を超えていることから、「今後も義務付ける意義は薄れている」との見解。ユニバーサルサービスの手段や提供事業者を拡大するよう、電気通信事業法を改正すべきと提言する。
一方、へき地や離島など、光ファイバーが整備されていない地域については、責任を負う事業者が明確に定められていないという課題がある。そこで、固定電話や固定ブロードバンドが整備されていない地域に、携帯電話や衛星電話なども含めてサービスを提供できるよう、電気通信事業法を改正すべきだとした。その際、NTT東西だけでなく、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなども含めてユニバーサルサービスの提供主体とし、「業界全体で担うこと」を法定すべきとした。
以上を踏まえ、2025年の通常国会をめどに電気通信事業法を改正し、NTT法3条にある「電話のあまねく提供」責務を撤廃すべきとした。
競合他社が懸念する、公正な競争環境についても言及している。例えば、NTT法の廃止によってNTT東西とドコモが合併し、公正な競争環境を阻害するという点。これを法的に担保すべく、電気通信事業法でグループ内の合併を禁止することも検討すべきだとした。
また、電電公社から承継した電柱、局舎、管路などの特別な資産は、経済安全保障上の視点も踏まえ、NTTの資産として運営するか、国有化して事業者に移管するかなどを早急に検討し、結論を出すことを政府に求めた。
PTは、上記を含む所要の法改正などを行った上で、現行のNTT法は2025年の通常国会をめどに廃止することを提言した。
この提言を受け、NTTは「NTTとしては、この提言を踏まえ、今後、それらを実現するための法整備などの議論に積極的に協力してまいります。その上で、引き続き、国際競争力強化などに努めるとともに、我が国の産業力強化、国民生活の利便性向上などに貢献していく考えです」とのコメントを発表した。
なお、NTT法の廃止に反対する181者が12月4日に声明を挙げ、その中で「オープンな場での議論」を求めている。こうした動きに対する見解をNTTに尋ねたところ、「今後、総務省の審議会などにおいて、議論が深められていくものと思いますが、当社としてもそうした議論に積極的に協力していく考えです」とのことだった。
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