「2025年のNTT法廃止」を求めているわけではない――NTT島田社長が言及 総務省会合で:自民党PTが言っていること(1/2 ページ)
総務省の通信政策特別委員会において、大手通信事業者4社からのヒアリングが行われた。各社からは社長または会長が参加し、トップ“自ら”通信事業のあるべき姿を語った……のだが、昨今の情勢を踏まえて、話題はNTT法に関するものに集中した。会に出席したNTTの島田明社長は、質疑の中で「NTT法廃止」やその時期にこだわらない旨の発言を行った。
総務省は12月13日、情報通信審議会に付属する会議体「通信政策特別委員会」の第10回会合を開催した。この会合で、NTT(日本電信電話)の島田明社長が「NTT法(日本電信電話株式会社等に関する法律)」の廃止について注目すべき発言を行った。
会合の概要
通信政策特別委員会では、「2030年頃に目指すべき情報通信インフラの将来像」の確立を目指して、大きく「通信政策として確保すべき事項」と「NTTの経営面で確保すべき事項」の議論を進めている。
一方で、政権与党の自由民主党(自民党)では、防衛財源を確保する観点から政府保有のNTT株式の完全放出(=完全民営化)案が出てきている。12月1日には、同党内のプロジェクトチームが2025年の通常国会をめどにNTT法を廃止する取り取りまとめた。
今回の会合では、委員会での議論を踏まえた「論点の整理」と、大手通信事業者(NTT、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル)の代表者からのヒアリングが行われた。自民党のPTによる提言から初めて行われる会合ということもあってか、大手通信事業者は社長や会長が“自ら”出席し、意見表明と委員からの質疑に応じていた。
発言のきっかけは長田委員からの質疑
島田社長によるNTT法廃止に関する発言は、どのようなものだったのだろうか。
まず、特別委員会に参加する長田三紀委員(全国地域婦人団体連絡協議会幹事)が島田社長に投げかけた“率直な”疑問に対する島田社長の回答を見てみたい(趣旨を踏まえた上で、体裁を整えて掲載している)。
長田委員 (中略)自民党の一部の議員だけでなく、NTT自身も『NTT法はもういらない』という発言をしていることに、地方の人が(通信の確保という観点で)非常に不安を覚えています。NTT法の在り方を議論するのはいいのですが、なぜそんなに急ぎ検討を求めているのしょうか。NTTさんは、サービスを利用している皆さんにどうやって説明されるのでしょうか。「国が決めれば、みんなが付いてくる」と思っているのでしょうか。
島田社長 私たちは「音声のユニバーサルサービス制度がなくなればいい」と言ったつもりは決してありません。ブロードバンドのユニバーサルサービス制度について、(2022年に改正された)電気通信事業法に規定されたので、それをサポート(実現)できるような制度にしてほしいと言っているところです。離島を含めて、新しい技術を使いつつ、より良い通信サービスを提供できるように議論しているという認識で、(日本の通信環境にとって)マイナスの方向の議論をしているわけではないことはご理解いただきたいと思います。
長田委員 ユーザーに対して「NTTはこう変わりたい」という発信をしているのでしょうか。ユニバーサルサービスの在り方を含めて、今後の(通信政策を考える上で)重要な論点であることは重々理解していますが、個人的には(NTT法を巡る昨今の議論は)急に降って湧いた議論のように思えます。「NTT法は2025年に廃止」ということに、不安を覚えているユーザーの気持ちをどう思っているのでしょうか。
島田社長 「2025年に(NTT法を)廃止する」ということは、私たち(NTT)が言っているわけではなく、自民党の政務調査会(内部のPT)が出した報告書に書かれているものです。「ユニバーサルサービスをどうしていくか」という点は、本日提出した資料にも示した通りです。私たちが議論の最中に(ありたい姿を)自ら宣伝することはおかしいと思うのでやっていませんが、記者の皆さんに聞かれた際は都度お答えしているので、それでご理解頂ければと思います。
ユニバーサルサービスの維持に関するNTTの立場。必要に応じてNTT東日本(東日本電信電話)やNTT西日本(西日本電信電話)以外の事業者もラストリゾート(ユニバーサルサービス)責務を負えるようにすべきだと主張している(総務省提出資料から)
このやりとりに反応したのが、KDDIの高橋誠社長だ。
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