NTT法のあり方は「廃止ありき」の自民党から情報通信審議会へ ――オープンな議論で、国民の関心を引くことはできるか:石川温のスマホ業界新聞
自民党の政務調査会傘下のプロジェクトチームが「日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT法)の在り方に関する提言」を取りまとめた。NTT法の廃止に反対する他の通信事業者への配慮を見せつつも、廃止ありきの提言になっている。総務省よりも経済産業省の意向が見え隠れするという話もあるが、拙速に議論を進めることにこそ懸念がある。
2023年12月5日、自民党のサイトで政務調査会による「日本電信電話株式会社等に関する法律」の在り方に関する提言が公開された。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2023年12月9日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
それを受けてNTTでは「当社の考え」として「NTTとしては、この提言を踏まえ、今後、それらを実現するための法整備等の議論に積極的に協力してまいります。そのうえで、引き続き、国際競争力強化等に努めるとともに、我が国の産業力強化、国民生活の利便性向上等に貢献していく考えです」というコメントが発表された。
提言を読むと、反対意見にも配慮しながらも、結局のところ「廃止ありき」の結論に終始している感がある。
ただ、鈴木淳司総務大臣はNTTによる研究成果の普及義務については2024年にも法改正するとした一方、それ以外については「情報通信審議会でヒアリングしながら丁寧に検討したい」というコメントをしている。
NTT法を廃止することで、NTTとしては総務省からの縛りから解き放たれる可能性が考えられる。今回のNTT法廃止ありきの結論は、一説には経産省関連の力が大きく働き、「国際競争力強化」や「NTTの知名度向上」が目的となっているとも言われている。
NTT法が廃止されれば「日本電信電話」ではなく「NTT」という社名になるという噂も根強い。
総務省の情報通信審議会で議論が進んだとしても、通常では、各社がそれぞれプレゼンを行い、自分たちが言いたいことを発表。さらに有識者とされる人たちが質問をして、事業者が答えて終わるというスタイルになるだろう。
これでなんとなくの筋書き通りに話がまとまっていく、というのがいつもの総務省スタイルだ。
できれば、総務省の会議室でやるのではなく、地下にある講堂でたくさんの傍聴者が参加できるようにするべきだ。また、有識者なんていても居なくても良かったりするので、事業者の幹部同士が議論し、質問したり、突っ込んだりできる形式にしてもらいたいものだ。
やはり、KDDIの高橋誠社長が語っていたように単なる「企業間の小競り合い」にするのではなく、国民すべてに関心を持ってもらうため、YouTubeでも配信し、視聴者がコメントを書き込めるようにすべきだろう。
日本における通信の未来のカタチが決まってしまう可能性もある「情報通信審議会」なのだから、総務省のなかだけで留まることなく、世間にオープンにして、多くの人が感心を持てるような工夫、設計を総務省は心がけるべきではないだろうか。
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