成層圏通信HAPS向けに周波数帯を追加 スマートフォンでの直接通信も可能に
ソフトバンクが参加した「2023年世界無線通信会議(WRC-23)」で、700~900MHz帯、1.7/2.5GHz帯の追加が正式に決定。これにより各国/地域でHAPSの導入がより柔軟になり、制度の整備が進むことが期待できるという。
ソフトバンクは、12月28日に「2023年世界無線通信会議(WRC-23)」で700~900MHz帯、1.7GHz帯と2.5GHz帯の追加が正式決定したと告知した。
同社は国際電気通信連合の無線通信部門(ITU-R)やアジア/太平洋電気通信共同体(APT)で、日本を代表してHAPS(成層圏通信プラットフォーム)の携帯電話基地局で利用可能な周波数帯の拡大の検討について議論を行ってきた。同社はITU-Rでの拡張候補帯域(700~900MHz帯、1.7GHz帯と2.5GHz帯)に関する技術的研究や無線通信規則の改定案の検討に関する議論を行ってきた。
これまでHAPSを携帯電話の基地局として利用する場合、ITU-Rが規定する無線通信規則では2GHz帯の携帯電話向け周波数の電波の利用が国際的に認められていた。一方で700~900MHz帯、1.7GHz帯と2.5GHz帯などの利用は認められていなかったため、今回の決定が各国/地域でのHAPSの導入をより柔軟にするとしている。
今後HAPSの導入に向けた検討や制度の整備が進み、将来的にはより多くの国/地域でHAPSの携帯電話基地局とユーザー間で既存のスマートフォンを使った通信を直接行えるようになる。地上の基地局ではカバーが困難な上空や離島、山岳地帯、発展途上国などでの安定した通信ネットワークの提供、大規模な災害時の早急な通信エリア復旧などが期待できるという。
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