三木谷氏が語る「2024年の楽天モバイル」 プラチナバンドは5月開始、家族割引の構想も:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
楽天グループは、1月25日に楽天市場の出店者向けイベント「楽天新春カンファレンス2024」を開催した。同イベント後には、三木谷氏が一部報道陣からのグループインタビューに答え、楽天モバイルの今後の戦略や見通しについて語った。料金プラン、衛星通信、プラチナバンドなど、その話題は多岐にわたる。
ファミリープランも検討? 家族契約も重視する楽天モバイル
料金プランを年1回程度のペースで刷新している楽天モバイルだが、本格参入当初から、3278円(税込み)でデータ容量が無制限になる仕組みは変わっていない。改定されたのは、主に1GB以下の料金や5G対応の有無、ローミング時の扱いなど。無制限プランとして比較した場合、破格の安さといえる。先に述べたように、平均データ使用量が24GBと大きいのは、そのためだ。X(旧Twitter)では、1カ月に17TBもの通信をしたユーザーのスクリーンショットも広がった。
三木谷氏自身も17TB利用したユーザーがいることは認識しており、楽天新春カンファレンスで事例として紹介。冗談交じりで「17TBの人にはもっと払ってもらいたい(笑)」と話す一方で、「今のところ値上げは考えていない」と断言する。ただ、他社は以前から家族割引などの仕組みを導入しており、家族を丸ごと囲い込んでいるケースが多い。単身で楽天モバイルに移ると割引がなくなるなどの理由で、回線契約を変更するのをためらう理由になる。
こうした事情もあり、三木谷氏は「ファミリープランなどを付け加える」可能性を示唆した。「(他社は)ファミリーで入っている。そのファミリープランより、うちの方が安いとは思うが人間の心理もある」(同)というのが、その理由だ。これは、厳密な割引額や料金ではなく、“お得感”が重要だということ。割引金額は大きなものではないかもしれないが、今後、複数回線のセット割などを導入する可能性は低くないといえそうだ。
家族割引はARPUに対してマイナスの影響はあるものの、解約率を低下させる効果がある。三木谷氏が法人契約のメリットとして、ARPU以上に解約率を強調していたように、同社が目下重視ているのは、楽天モバイルを契約したユーザーをいかに引き留めておくかということ。こうした事情を踏まえると、同社がこだわってきたワンプランをある程度崩して家族割引などを導入することは、理にかなった戦略といえる。
実際、楽天モバイルは楽天ポイントを還元する紹介キャンペーンを展開しているが、その紹介先として、家族を選ぶユーザーも少なくないという。紹介したユーザーに7000ポイント、紹介されたユーザーに6000ポイント入るため、家族で合算すると1万3000ポイントにも上る。紹介キャンペーンのサイトでも、事例として子どもなどの家族が挙がっている。一方で、キャンペーンはあくまで一時的なもの。契約獲得の効果はあるものの、そのユーザーが契約を続けるとは限らない。家族割引を導入し、解約抑止力が働けば、キャンペーンの効果を最大化できる。
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