スマホ複数台持ちの筆者が「一部のスマホにロックを掛けない」理由(2/2 ページ)
筆者は手持ちのスマートフォンのうち、何台かは画面のロックをかけない状態で利用している。SNSをはじめとしたオンラインコミュニティーにその現状を第三者が発信できるようにしているため。「デジタル遺品、遺産」をどう残すかを考えておきたい。
「デジタル遺品、遺産」をどう残すか 専門家も対応が必要と指摘
昨今ではデジタル遺品、デジタル遺産という言葉が使われるように、人生の中で残してきたものの中には、現実世界に形あるものばかりではないことが伺える。故人のPCやスマートフォンに保存されたデータの対応は、このような端末の普及が進むほど、セキュリティ面の観点から第三者の取り扱いが難しくなる一方だ。
また、故人が契約したスマートフォンなどはもちろん、各種サブスクリプションサービスなども契約者本人以外が解約することは難しいものも多く、この問題は日を追うごとに浮き彫りとなるはずだ。近年では電子マネー、各種ポイントやマイレージの他に仮想通貨やNFTアートといったものも生まれ、「デジタル遺産の相続」という新たな課題にも直面している。
これらも含め、筆者のように自分が利用しているSNSをパスコードなしで閲覧投稿できる端末を準備することも「デジタル遺品の管理」の意味では有効だと思う。ただ、これは残された遺族や友人に対して、予備のスマホがある点を周知させることと、生前に端末を紛失するなどによる情報漏えいリスクについては考慮する必要がある。
閲覧用のPCやスマートフォンを別途仕立てるのはコスト面、管理面で難しい。現実的には、スマートフォンのパスコードや各種SNSのアカウント名、パスワード、各種電子資産の有無や利用しているサブスクリプションサービスをまとめた遺言書のようなものを作っておくべきだろう。
このような対応は専門家も推奨しており、任意団体「デジタル遺品を考える会」代表の古田雄介氏は国民生活センター内の特集コラムにて「デジタル遺品の相談のうち、7割は故人のスマートフォンが開けない」と指摘。生前整理の方法として保有しているスマートフォンの外見特徴やパスコードを記載した「スマホのスペアキー」を準備し、通帳や年金手帳などと一緒に保管しておくことが大切だとしている。
近いうちに多くの人が考えなければならなくなるデジタル遺品の存在。サービス側や行政はまだ適切な対応ができているとはいえず、現時点では利用者おのおのの対応が必要だ。中でも多くの情報が集約されているスマートフォンは、「デジタル遺産のハブ」ともいえる。筆者はこの管理の一環としてロックをかけていないスマートフォンを用意しているが、前述の「スマホのスペアキー」をはじめ、残された人が故人の情報にアクセスできる手段を残すことが、遺産相続も含め「デジタル終活」「生前整理」の一環として大切だと考える。
著者プロフィール
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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