モトローラが日本市場で急成長している理由 1年で出荷台数2倍以上、「edge」「razr」の販路拡大がカギに:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
モトローラ・モビリティ・ジャパンは7月3日、「motorola edge 50 pro」とそのソフトバンク版にあたる「motorola edge 50s pro」を発表した。2023年からキャリアとの関係を強化しているモトローラだが、ソフトバンクとタッグを組んだことも功を奏し、出荷台数は急増している。そんなモトローラが成長している要因を分析した。
モトローラ・モビリティ・ジャパンは7月3日、「motorola edge 50 pro」とそのソフトバンク版にあたる「motorola edge 50s pro」を発表した。2機種はいわゆるミッドハイのスマートフォン。6月に発売した「moto g64 5G」「moto g64y 5G」より1段上のスペックで、処理能力やカメラなどの性能が高く、最大125Wの急速充電にも対応する。
2023年からキャリアとの関係を強化しているモトローラだが、ソフトバンクとタッグを組んだことも功を奏し、出荷台数は急増している。スマホ市場全体が落ち込む中、その伸び率は2倍以上。プロモーションも強化するとしており、にわかに存在感が大きくなっている。そんなモトローラが成長している要因を分析。2024年度の行方も占った。
グローバルでシェアを伸ばすモトローラ、日本市場は2倍以上の成長率に
世界的にスマホの出荷台数が伸び悩む一方で、モトローラはグローバルで着実に成長している。本社を構える米国を含む北米では、前年同期比で12%増を記録し、シェアも3位と高い。そこから地続きの南米では、コストパフォーマンスに優れたモデルが評価され、シェア2位をキープしている。欧州や中東、アフリカでも前年同期比で45%、出荷台数を伸ばした。
中でも、日本を含むアジア・パシフィックは出荷台数が100%増加しており、市場が急拡大している。スマホ市場が成熟する中、わずか1年で規模が2倍に膨らむのは異例といっていいだろう。そのアジア・パシフィック地域の中で、特に日本市場は成長の速度が高く、全体をけん引している。
2023年度は出荷台数が135%増加。2022年度から2倍以上の出荷台数となり、オープンマーケットでは3位につけている。実数は明かされていないものの、グラフからは、2倍以上に出荷台数が伸びていることが分かる。それに伴い、「モトローラ」の検索数も55%増加。大規模なプロモーションを行っていない中でも、着実に知名度を上げているようだ。
では、2023年度のモトローラに何があったのか。モトローラ・モビリティ・ジャパンの代表取締役社長、仲田正一氏によると、「さまざまなお客さまのレンジをカバーできる商品を出せたのが大きい」という。実際、2023年度は日本向けに独自のカスタマイズを加えておサイフケータイに対応した「moto g53j 5G」を発売。そのY!mobile版に当たる「moto g53y 5G」も合わせて投入しており、販路を大きく広げている。
また、7月3日に発表されたmotorola edge 50 proの前身にあたる「motorola edge 40」は取り扱いMVNOをIIJmioに限定。同時に、モトローラがプレミアムモデルに位置付けるフォルダブルスマホの「motorola razr 40 ultra」も発売し、IIJmioが独占的に販売した。仲田氏は、「パートナーシップがものすごく重要だと思っている」としながら、「IIJにとっても差異化になっているので、そういう意味でプッシュしていただける要因になっているのではないか」と語る。
さらに、2023年12月には、フォルダブルスマホの廉価モデルにあたる「razr 40」「razr 40s」を発売。2機種とも、先に挙げたmoto g53j 5Gと同様、おサイフケータイに対応。後者のソフトバンク版については、フォルダブルスマホながら発売直後から実質1万円を下回る価格をつけ、大きな話題を集めた。2023年は「ラインアップの拡充」に加え、ソフトバンク/Y!mobileやIIJmioとの「パートナーシップ」という2本柱で大きく成長できたといえそうだ。
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