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楽天モバイルの赤字幅が縮小、プラチナバンドは前倒しでエリア化 三木谷氏は「若年層の利用増」もアピール(2/3 ページ)

楽天グループが、2024年12月期第2四半期の連結決算を発表した。楽天モバイル事業が順調で、マーケティング費用を除いたキャッシュフローで黒字化を達成。プラチナバンドは前倒しで積極的に設置していくとした。

プラチナバンドは前倒しで積極的に設置している

 さらなる利用者の拡大、解約率低下に向けて通信品質改善も強化。三木谷氏は「つながらないという意見はほとんどなくなりつつある」という微妙な表現をしつつ、「さらに最強にしていく」と強調する。

 6月27日には700MHz帯のプラチナバンドの商用サービスを開始。都市部から順次エリアを拡大することで、狭い路地や屋内の「ディープインドア」までをエリアにするよう拡大を積極的に実施していくと三木谷氏。

 KDDIの高橋誠社長やソフトバンクの宮川潤一社長は、楽天モバイルのプラチナバンドのエリア展開のスピードに疑問の声を挙げるが、三木谷氏は「サービス開始は1年半以上の大幅の前倒し。1.7GHz帯の頃も当初計画から3年以上前倒ししてエリア構築してきた。それと同じことをプラチナバンドでも行っていきたい」と説明。積極的なプラチナバンドのエリア構築をアピールする。

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プラチナバンドの開設計画は、2033年3月末までに1万件強だが、前倒して開設していくことを目指す

 通信品質の改善では、5G基地局のソフトウェアアップグレードも順次行い、より広いエリアカバレッジなどを実現するMassive MIMOを活用。「他社に比べてMassive MIMO比率が大きい」(同)という。

 さらに衛星通信との干渉緩和によって、各社基地局の出力を上げられるようになったが、この出力増とMassive MIMOの効果をあわせて、1つのセルあたりの5Gトラフィックは東京都内で2.3倍に、5Gにつながるユニークユーザー数は1.5倍になり、それぞれ効果が出ているようだ。


Massive MIMOや出力アップでトラフィックなどが拡大

 5Gエリアの拡大もあわせてデータ利用量がさらに増加。2024年7月には1日あたり0.90GBとなったため、平均で1カ月30GB程度の利用量になる見込み。ARPUの増加につながるため、さらなる収益改善が期待される。


平均データ量が伸びており、月間30GBに達する見込み

屋内の通信改善も順次実施している

30~34歳の10%以上が使う楽天モバイル

 「初めて公開するデータ」として紹介されたのが、年齢層ごとの楽天モバイル利用者の割合。特に30~34歳の10.2%が楽天モバイルを利用。23~29歳だと8.6%だが、半年で1.5%の上昇となり、「年内にはこの年代も10%を超えてくる。インターネットヘビーユーザー(の年代)はどんどん楽天モバイルに入っている。さらにショッピングや楽天カードを使ってもらえる」と三木谷氏は説明した。


三木谷氏いわく「インプレッシブなデータ」。若年層の契約が順調で、年2~3ポイントの増加

 楽天モバイル単体のARPUは2031円だが、ユーザーが楽天市場、楽天カード、楽天証券などを使うことによるグループへの貢献を含めると3030円になると三木谷氏。2022年第1四半期には1546円だったことから倍近くにまで拡大。


ARPUも順調に拡大。グループへの貢献も順調

 楽天モバイル契約者は、利用期間が長くなるにつれ楽天グループのサービスの利用が増加する傾向にあり、2年後には平均3.21個の楽天サービスを利用。楽天モバイルユーザーと非ユーザーを比べると、楽天市場の流通総額49.7%、楽天トラベルは12.0%、楽天カードは25.9%、それぞれ利用額が大きくなるという。


楽天モバイルの利用者は、楽天グループでの購買傾向が高い

グループ利益の押し上げ効果も上昇

 こうしたシナジー効果によるグループ利益の押し上げ効果は順調に拡大しており、2024年第2四半期は初めて100億円を突破。三木谷氏は、この押し上げ効果が「今後1000億円、1500億円、2000億円と拡大していく」と見込む。

 楽天モバイルについて三木谷氏は、データ通信3GB未満で1078円(税込み、以下同)、無制限でも3278円という料金、Rakuten Linkによる国内通話無料、海外ローミング2GBまで無料といった料金プランについて、「他社がなかなかマネしづらい、本筋をいっているというか、とても魅力的なプラン」だとアピールする。

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