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楽天モバイルは単月黒字化目前に ローミング+プラチナバンドで通信品質向上にも尽力(1/2 ページ)

楽天グループは2024年12月期第1四半期決算を発表した。売り上げは第1四半期としては過去最高を記録してグループ全体では好調。懸案の楽天モバイルも増収と損失改善が続いていて「黒字化目前」だと三木谷浩史会長はアピールする。

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 楽天グループは2024年12月期第1四半期決算を発表した。売上高を示す連結売り上げ収益は前年同期比8%増の5136億2400万円、連結営業利益は332億7200万円の損失で赤字が継続した。Non-GAAP営業利益は254億4900万円の赤字だが、前年同期比で435億円の改善となった。

 売り上げは第1四半期としては過去最高を記録してグループ全体では好調。懸案の楽天モバイルも増収と損失改善が続いていて「黒字化目前」だと三木谷浩史会長はアピールする。

国内EC、フィンテックは順調 楽天ペイメントは初の黒字化

 売り上げ収益に貢献したのは好調な楽天市場、楽天トラベルを中心とした国内EC事業で、海外事業も順調に推移した。フィンテック事業も銀行、証券などが順調に推移して全事業でプラス成長。特に楽天ペイメントはNon-GAAP営業利益で四半期での黒字化を達成した。楽天モバイルも増収とコスト最適化によって損失が改善し、Non-GAAP営業利益の改善に貢献した。結果として連結EBITDA(税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益)は528億円の黒字となり、前年同期比493億円のプラスだった。

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楽天グループの連結売り上げ収益。第1四半期としては過去最高となる売り上げを達成
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Non-GAAP営業利益は435億円の改善となり、計画通りの進展

 セグメント別では、インターネットサービスがSPU(スーパーポイントアッププログラム)を改定した影響や、前年の全国旅行支援などの反動で国内EC事業の売り上げ収益の成長率は鈍化。それでも同5.4%増の2857億円を確保。さらにNon-GAAP営業利益は14.8%増の136億円となった。

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インターネットセグメントの売り上げ収益の推移
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こちらはNon-GAAP営業利益の推移。マイノリティ投資事業のマイナスが大きかった

 ただし三木谷会長は、「かなりマイノリティの投資事業などもあり、それがなければ63.3%の伸び」だと順調な進捗をアピールする。

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マイノリティ投資事業で投資を行っている企業

 国内EC事業は、流通総額が同4.7%減の1.3兆円となったが、前述の全国旅行支援の反動などは想定の範囲内としており、主力の楽天市場自体は堅調。こうした一過性の要因がなければ、国内ECのNon-GAAP営業利益は約20%増になっていたと三木谷会長は分析する。

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インターネットセグメントの主な状況

 その他、インバウンドが好調な楽天トラベルは同243%増と大幅な成長だった。広告事業やRakuten TV、Rakuten Kobo、Rakuten Viberなどの海外事業も順調に拡大した。

 SPU改定などが流通総額にも影響したが、これまでは「利益貢献マイナスのユーザーがそれなりにいた」(三木谷会長)のに対して、楽天モバイルへの加入など楽天サービスの利用が増えたことで利益貢献のユーザーが増加した。

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ユニーク訪問者数が拡大し、さらに利益貢献ユーザーが増加した

 フィンテックセグメントでは、収益は同15.1%増の1935億円、Non-GAAP営業利益は同47.4%増の393億円。全事業で増収を達成したことに加え、楽天ペイメントが営業黒字化したことが貢献した。

 楽天カードはショッピング取扱高が5.6兆円に達して同12.5%の増加。営業利益率も19.2%まで上昇し、売り上げ収益は同6.9%増の800億円、Non-GAAP営業利益は同22.7%増の153億円となった。

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フィンテック事業も順調に拡大

 楽天証券は、懸念されていた国内株取引手数料無料化でも口座数と取引ボリュームの拡大、新NISAのスタートで売り上げ貢献。口座数は同22.1%増の1091万口座、NISA口座数は同32.6%増の520万口座となり、新NISA口座数では首位となったという。売り上げ収益は同25.9%増の313億円、Non-GAAP営業利益は同20.9%増の74億円だった。

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楽天証券も好調に推移

 楽天銀行は、売り上げ収益が同18.4%増の356億円、Non-GAAP営業利益が同29.9%増の139億円。口座数1520万回線まで拡大するなど順調で、預金残高も10.5兆円まで達した。JR東日本に提供するBaaSサービスも「大変好調に推移している」(同)ということで、次の四半期以降で貢献しそうだ。

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楽天銀行も顧客基盤が順調に拡大した

 初の四半期営業黒字化となった楽天ペイメントは、2022年から実行してきた加盟店・利用者拡大強化策が奏功したと分析。楽天ペイアプリのダウンロード数が60%の伸びを示して利用が拡大していることが黒字化につながった。

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楽天ペイメントは四半期黒字化を達成
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売り上げ収益も順調に拡大

 日本のキャッシュレス決済比率は39.3%に達して、「最終的には欧米並みの70〜80%まで伸びる」と三木谷会長。楽天ペイメントの事業もその伸び率に合わせて拡大すると期待する。

 楽天はクレジットカード、楽天銀行のデビットカード、QRコード決済の楽天ペイ、楽天ポイント、楽天Edy、楽天キャッシュと幅広い決済手段を対応。「世界的に見てもこれだけの支払手段をそろえているフィンテック企業はない」と三木谷会長は話す。加えて、総取扱高は30兆円を超えていることから、今後も日本のキャッシュレス決済をリードして、ビジネスを拡大していきたい考え。

 2024年には、楽天ペイ、楽天ポイント、楽天Edyのアプリを完全統合し、楽天カードや他のフィンテック事業との連携を進める。これによって楽天カードや楽天ペイからロイヤリティーの高い楽天銀行、楽天証券、保険サービスへと利用をつなげて収益性をさらに高めていく。

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