赤字改善の楽天モバイル、24年は800万から1000万契約を視野に 単月黒字化に向けた秘策も?(1/2 ページ)
楽天グループの2023年度通期の連結業績は、3394億円の赤字だったが、モバイル事業の赤字は回復傾向にある。2024年は契約者数800万から1000万、月次EBITDA黒字化を目指す。ARPU向上のための施策も考えているという。
楽天グループは2月14日、2023年度通期および第4四半期決算説明会を行った。2023年度通期の連結業績は、売り上げ収益が27期連続増収を達成し2兆713億円と2兆円を突破したものの、営業損益は2128億円の赤字、最終的な損益は3394億円の赤字となった。
モバイル事業は引き続き赤字も業績改善
モバイル事業については、楽天モバイルを中心に売り上げ収益、Non-GAAP営業利益ともに大幅に改善。楽天シンフォニーと楽天エナジーにおいてもオペレーションの最適化を行ったことで、利益が大幅に改善している。売り上げ収益は前年比3.9%増の3646億円。Non-GAAP営業利益は年間を通じては3375億円の赤字となっているが、前年比で1417億円改善され「四半期ごとに大幅な改善がなされている」(三木谷氏。以下同)。
MNOの売り上げは順調に成長。契約回線数は法人も含めて23年第4四半期末時点で609万回線。バックアップ用回線の契約を除いても600万回線に近づいている。また、解約率が1%台まで下がった。23年の大きな目標としてきた月間150億円のコスト削減も達成し、月間160億円の削減を実現した。
24年は契約者数800万から1000万、月次EBITDA黒字化を目指す
三木谷氏は楽天モバイルの戦略について時間をかけて詳しく説明した。
「いろいろな議論を呼んだ」楽天モバイルの事業について、社会的な意義が高く、新しい技術や楽天エコシステムを使うことによって他社とは全く違う収益性を実現ができ、さらに楽天シンフォニーで技術を輸出していくという「一石三鳥」の戦略を目指すと三木谷氏は語る。
「そうはいってもネットワークがなくては仕方がない」ということで、2020年から2022年までのフェーズ1はかなり積極的に投資し、基盤構築を行ってきたと振り返った。これによって自社回線による4G人口カバー率は96%を達成。現在はKDDIのローミングにより99.9%以上の人口カバー率に達した。また、取り組んできた仮想化技術については「今、世界の携帯電話業界で仮想化やO-RANが標準になっていくという話になっているが、楽天モバイルおよび楽天シンフォニーがその先駆者だったのかなと思っている」と胸を張った。
フェーズ2の2023年はリファラルマーケティングや法人向けサービスを開始し、契約回線数も大幅な増加を見せた。
そして、2024年以降は「もう一度成長フェーズに入っていく」。一般ユーザーの利用者数増加と法人サービスの強化を行って月次EBITDA黒字化を目指し、「国内ナンバーワン携帯キャリアへという道筋を作るフェーズ」とした。
そのための具体的な目標として、契約回線数は800万から1000万。ARPUは2500円から3000円を目指す。コストも現在のレベルに抑えていくことが重要と語った。
目標達成に向けたポジティブなデータは増えている。契約回線数が増加し、エリアやネットワーク品質は改善。解約率も下がっている。
23年の月次契約獲得数。現在の獲得を続けていけば24年中に800万契約、1000万契約も達成できる計算。「12月は年度末ということもあり大幅な契約増もあったが、それを除いても順調に契約数は伸びている」(三木谷氏)
三木谷氏は「加入以上に解約率が下がっていくことが重要」とも述べており、通信品質の改善は解約率の低下に寄与したという。契約して1カ月で解約するいわゆるポイントハンターを除くと、調整後の月次解約率は1.1%。高い頃は7%を超えていたので、その頃から比べると劇的に改善している。通信品質を理由に解約するケースも減ってきているという。
KDDIとの新ローミング協定に基づくネットワークの最適化は、「多少のタイムラグがあった」ものの繁華街については2月までにおおむね完了。それ以外のエリアに関しては「既に第1弾は完了しているので、改善しているということを実感していただけると思っている」と語った。今後も改善を進めていくという。
「21都道府県では接続性が一番いいという結果も出ている。エンドユーザーさんと意識のギャップはまだ少しあるかもしれないが、改善していければと思っている」(三木谷氏)
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