ソフトバンク宮川社長が語る“ahamo対抗”の真意 純増だけを追わず、「ペイトク」プラン改定も検討(2/2 ページ)
ソフトバンクの宮川潤一社長は、11月8日の2025年3月期第2四半期決算説明会で、ドコモのahamo対抗で料金プランを決断した内幕を明かした。過度な値下げ競争への懸念を示し、ARPU向上を重視する戦略転換を明確にした。
PayPay黒字化、取扱高は7.2兆円に
PayPayの売上高は1765億円と17%増収。取扱高も22%増の7.2兆円となり、四半期ベースで2期連続の黒字化を達成。非通信領域の取扱高は27%増と順調に拡大している。宮川社長は「PayPayは世の中に受け入れられてきた」と手応えを示した。
同サービスはソフトバンクグループ、ソフトバンク、LINEヤフーの3社によるジョイントベンチャーとして始動。「グループ総出で1から事業を起こすという初めての試み」だったが、グループ横断での事業展開の好例となった。IPO(株式公開)については「彼らが判断する」として見守る姿勢を示した。
次世代社会インフラの整備も進展
全国にAIデータセンターを分散配置する計画も進んでおり、10月末にはNVIDIA H100による計算基盤が稼働を開始。計算能力は従来の5倍となり、国内最大級の規模という。2025年度上期には1万基まで増強する計画だ。
注目されるシャープ堺工場の転用計画については、年末までの最終合意を目指している。「データセンターの用途に使えるかという大きなイシューは、堺市の行政がまとめてくれたのでその懸念はなくなった」という。現在は必要な検査や配線の整理を進めており「触れるもの、触れないものを整理している段階」としている。
Perplexityに自社開発LLMの採用目指す
ソフトバンクは米Perplexity製のAIチャットツール「Perplexity」をスマホユーザーに無償提供している。これについて宮川社長は「意外と好評。ソースを示してくれるので次の質問が書きやすい」と自身も日常的に利用している様子を語った。
また、同社は4600億パラメーターの日本語LLMを開発。8日に研究開発用途向けに公開した。「Perplexityの選択肢の1つとして利用してもらいたい」としており、今後のAIモデルの選択肢として採用を目指す。「日本でも4000億パラメーターのモデルを作れることを証明したかった」と開発の狙いを説明。来期以降の計算基盤の増強計画も踏まえ、開発のスピードアップを図る方針だ。
コンシューマー向けについては「キャリアの責務として、どこでも使える環境を用意すること」を重視。「今作っているAIをコンシューマーに押し付けるつもりは全くない」とし、まずは通信事業者として基盤整備に注力する考えを示した。
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