ドンキの格安SIM「マジモバ」誕生の舞台裏 3GB・770円でも収益性は問題なし、レジに並んでいる人に声かけ営業も:MVNOに聞く(3/3 ページ)
ホワイトレーベル戦略の下、黒子に徹してコラボレーション先のインフルエンサーや企業のブランドでサービスを提供しているエックスモバイル。そんな同社が新たに提携したのがPPIH。月額770円からの通信サービス「マジモバ」を提供する狙いについて、エックスモバイルの木野将徳氏に話を聞いた。
もう少し頑張れば上位MVNOに入れるぐらいの規模にはなっている
―― もう1つ、Wi-Fiルーターもありますが、これはクラウドSIMですよね。どのようなニーズを想定しているのでしょう。
木野氏 最近、電波が悪い(通信速度が出ない)じゃないですか。大手キャリアでも遅いときがあるので、サブ回線のニーズがあります。あとは、光回線も工事に時間がかかったりします。家族全員の通信をまかなうというのでなければ、モバイルWi-Fiで十分。Wi-Fiルーターは「限界突破WiFi」で慣れているので、これからも強めていきます。
―― ところで、木野さん自身が店頭に立っているのではなぜでしょうか。しかも緑色のスーツで(笑)。
木野氏 プロモーションや料金、端末の意思決定をするのは僕ですが、データを見ているだけでは分からないことが多いからです。例えば、お客さまが7年前、8年前のスマホを使っていたりする。店頭に立つと、「それが新しくなる」と言えば、「おー」と反応があることが分かる。お客さまからは、「いつまでやっているの?」と言われますが、これも一時のイベントになってしまうと安心できないから。店頭に立たないと分からなかったことです。毎日ここにいてもいいぐらいですね。
―― マジモバも始まり、エックスモバイル全体でも契約者数が増えていると思います。現状、どの程度まで大きくなったのでしょうか。
木野氏 まだ全然、100万回線には届きません。ただし、もうちょっと頑張れば上位MVNOに入れるぐらいの規模にはなっています。純増に関しては他社の動向も大体把握していますが、MVNOでいえば間違いなく上位に入ると思います。
―― やはり、ホワイトレーベルとしていろいろなブランドを出すことで、ユーザー層が広がっているのでしょうか。
木野氏 言っても、MVNOを使っているのはまだ10%ちょっとですからね。伸びしろはまだまだあります。例えば、今、ドンキに来ている人はほとんどMVNOを知らない。こういう水脈をどんどん広げていきたいと考えています。
取材を終えて:店舗を順調に拡大できれば勝算がありそう
これまでエックスモバイルが組んできたパートナーとは異なり、マジモバを共同で手掛けるPPIHは小売業がメイン。販売方法なども、従来のコラボとは変えつつ、手探りでユーザーニーズを取り入れていることがうかがえた。
3GBの驚安プランは安さを重視するなど、ARPUを狙う他のブランドとは違いも出しているようだ。イオンがイオンモバイルを展開しているように、MVNOと小売業は相性がよく、海外でも同様の事例は少なくない。店舗を順調に拡大していければ、これまでのコラボ以上に勝算はありそうだと感じた。
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