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達人が選ぶ「2024年を代表するスマホ」 ハイエンド/ミッドレンジで厳選した5機種を語り尽くすスマートフォン・オブ・ザ・イヤー2024(2/3 ページ)

ITmedia Mobileでは、2024年を代表するスマートフォンを決定する「スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2024」を開催しました。審査の対象となるのは、2024年1月1日から2024年12月中旬までに発売したスマートフォン。今回は、審査員が推薦した5機種とその理由を紹介します。

佐野氏:「moto g64y」のようなキャリア売りローエンドは希少な存在

・推薦機種(ハイエンド)……Galaxy Z Fold6、Xiaomi 14T Pro、AQUOS R9 pro
・推薦機種(ミッドレンジ)……Libero Flip、moto g64y


佐野正弘氏

 2024年を振り返ると、やはり各社「AI」機能を打ち出してきていました。一方で、石野さんもおっしゃっていた通り、「AIを搭載しても日本語に対応していない」という新しいローカライズの問題が出てきた年でもありました。そういう視点で、日本語対応が遅れたiPhoneとPixelは外しました。その上で、割と最初からAI機能を日本でも対応させてきたものを入れるようにしています。

 ハイエンドの1台目は、AI機能をいち早く搭載したGalaxyです。その中で「Galaxy Z Fold6」を挙げたのは、現在の生成AI技術が、ビジネスユースやクリエイティブで評価されているから。要はコンシューマー向けではないんですよね。いろんな会社がコンシューマー向けにAI機能を用意していますが、結局すぐ飽きるものが多い。こうした機能をビジネスユースで生かせる端末となるとFoldだろう、という理由でチョイスしています。

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 「Xiaomi 14T Pro」はバランスのいいハイエンドで、なおかつAI機能を、そこまで多くはないものの、比較的日本に対応させていた印象でした。カメラの出来も、ハイエンドのなかでは評価が高い方だと思います。

 AQUOS R9 proは入れるかどうか悩みました。皆さんがおっしゃる通り、Xiaomi 14 Ultraと方向性が近くて、もちろん“カメラ”はいいのですが、どちらもそのカメラが大きすぎて“スマートフォン”として見たときのバランスは、正直どちらも悪い。“スマートフォン”・オブ・ザ・イヤーとして、これはいいのだろうかという部分が引っ掛かりました。とはいえどちらかを入れようと思い、カメラとしての使いやすさや、ローカライズがしっかりされている部分を評価して、AQUOS R9 proの方を選びました。


2024年の“カメラスマホ”としてXiaomi 14 Ultraと双璧をなすAQUOS R9 pro。日本仕様をしっかり取り込んでいるところも評価された

 ミッドレンジには、キャリア売りのローエンドだったモトローラの「moto g64y」と、フォルダブルを安くしてきたことで印象的だった「Libero Flip」を挙げました。どちらもキャリアモデルです。やはり何だかんだキャリアの影響力は強いと思いますし、特に今年はソフトバンクがいろいろな端末を頑張って出していたので、スマートフォン・オブ・ザ・イヤーとして直接は評価できないですが、その端末は評価したいと考えました。

 実は、本当は「Redmi 12 5G」(※2023年12月発売)と「らくらくスマートフォン F-53E」(※2025年1月下旬以降発売予定)も入れたかったのですが、発売日が2024年ではないので入れられませんでした。Redmi 12 5Gの理由は「ローエンド」であること。いまエントリーモデルを出すメーカーがすごく減ってしまっていて、ぽっかり空いた穴にうまくXiaomiが入ってきていることに注目しています。一方、らくらくスマートフォン F-53Eは環境を変えたくないシニア層の方をしっかり守って、高いコストをかけてでも、継続して同じものを作ってきた姿勢を評価しています。

房野氏:「AQUOS sense9」はミッドなのに「iPhone 16」よりいいところも

・推薦機種(ハイエンド)……Galaxy S24 Ultra、motorola razr 50、Xiaomi 14T
Pro・推薦機種(ミッドレンジ)……AQUOS sense9、Nothing Phone (2a)


房野麻子氏

 ハイエンドの「Galaxy S24 Ultra」は、個人的にも購入した端末でした。進化幅はあまり感じなかったですが、使ってみるとハイエンドモデルとしての安定感があります。カメラ、Sペン共に使いやすいですね。私はAI機能を重視していませんが、皆さんがおっしゃっているように、スマートフォンにAI機能を先駆けて搭載したという点は評価できます。

 「motorola razr 50」は、今年は縦折りのフォルダブルを入れたいと思って選んだ1台です。手に持ったときのコンパクトさや、畳んだまま操作できる楽しさ・手軽さがある。「motorola razr 50 Ultra」じゃないのは、並べてみたときにサブディスプレイの大きさもそこまで変わらなくて「50」でいいのではと思えるからですね。

 先ほどから挙がっているXiaomi 14 Ultraはスマートフォンとして見たときに、頭が重くてバランスが悪いと感じます。個人的にはXiaomi 14T Proの方が一般的で扱いやすいと感じるので、こちらを選びました。

 ミッドレンジのAQUOS sense9については、皆さんがおっしゃる通りですね。iPhone 16と同時期に使う機会があって、正直「あれ、iPhone 16よりAQUOS sense9の方がいいのでは?」と思うことが多々ありました。ディスプレイのリフレッシュレートは高いですし、画面もきれい。コストパフォーマンスの高さは圧倒的だと思います。


隙のないミッドレンジスマホとして文句なしの選出だったAQUOS sense9

 Nothing Phone (2a)も、スタートアップでほそぼそとやるのかと思いきや、日本市場向けにFeliCaに対応してきて、ミッドレンジながらも面白いモデル展開をしているのが、うれしかったですね。

太田氏:多様なAI機能が模索される中で「Pixel 9 Pro」の「一緒に写る」は楽しかった

・推薦機種(ハイエンド)……Xiaomi 14 Ultra、Pixel 9 Pro、Galaxy S24 Ultra、motorola razr 50 ultra
・推薦機種(ミッドレンジ)……AQUOS sense9

 今年はやはり「AI」だろうと思い、それを基準に選んだのですが、Xiaomi 14 Ultraは、スマートフォンのカメラとして突き抜けていた1台だったので挙げました。絞りがいじれたり、フォトグラフィーキットを使ったり、と撮影が楽しかった。AQUOS R9 proとどちらを入れるか悩みましたが、Xiaomi 14 Ultraの方がライカブランドをうまく取り込んでいると思いました。

 「Pixel 9 Pro」は、Pixel 9シリーズの代表として挙げました。例えば、AIを使った「一緒に写る」という機能があります。最初は「こんなの誰が使うんだろう」と思っていたのですが、実際に友達と旅行に行ったときにいろいろなところで撮りまくって、めちゃくちゃ楽しかった。後から編集するのではなくて、その場で合成してワッと盛り上がれるのがいいです。いろいろなAIの使い方が模索されている中で、面白い提案だったなと思います。また、この端末に限ったことではないですけれど、「Gemini Live」などの機能がいろんな端末に意外と早く展開されたことは評価しています。

 同じ文脈で、Galaxy S24 Ultraを挙げました。こちらは通話そのものを翻訳できるのが新しく感じました。ZenFoneシリーズなど追従する機種も出てきましたね。こういうAI機能はGalaxyシリーズの多くの機種に共通しているので、最初はFlipでもいいかと思ったのですが、「かこって検索」機能をPixelシリーズ以外で先駆けて搭載していて、これを使うならSペンが使える方が相性がいいと思ったので、Galaxy S24 Ultraにしました。


Googleとも協業しながらAI機能の日本語化も早かったGalaxy。Galaxy S24 Ultraは、その象徴的なフラグシップモデルだ

 そして、モトローラのrazrシリーズを1台入れたいと思い、最上位のmotorola razr 50 ultraを選びました。今年は縦折り型のスマートフォンを、若い人が使っている方を目にする機会が増えました。もちろん、それがGalaxyなのかmotorolaなのか一つ一つ確認できているわけではありませんが、「使っている人が増えた」と思えるくらいには、とがった存在ではなくなってきていて、普通の人が使えるくらいに市民権を得てきたのだなと感じています。

 個人的に縦折り型のスマートフォンは、AI機能を使う上でポテンシャルを秘めていると思っていて、生成AIを使って友達と会話するようなアシスタント機能が拡充してきたときに、スマートフォンを小さく持ち運べるというのはすごく便利になるだろうと期待しています。その上で、決済やGeminiなどの利用を含めて、外側のディスプレイの自由度が高いモトローラの端末を評価しました。

 ミッドレンジはAQUOS sense9を挙げました。今年はシャープがいろいろな取り組みをしていて、外部のデザイナーを入れてのシリーズのデザイン刷新を図ったり、「AQUOS R9」ではあえて1世代前のチップセットを搭載してコストを抑えたり、隠し球のAQUOS R9 proでは反対にコストをかけてカメラを作り込んできたり――。こうしたシリーズの中でユーザーの手元に届く端末として象徴的だったのが、AQUOS sense9だったと思います。

  “コスパモンスター”で誰にでもおすすめできる。リフレッシュレートが上がってディスプレイも見やすくなりましたし、6色展開など所持する楽しさが上がったと思えました。ちなみに、台湾とシンガポールでも同時発売をしていて、日本国内だけでなく海外市場へも展開している端末として、スケールメリットが出てきたときに夢が広がるな、と期待しています。

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