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インタビュー

約20万円でも「Xiaomi 14 Ultra」が想定以上の反響だった理由 ミッドレンジは“企業努力”で価格を維持(1/3 ページ)

これまで、フラグシップの投入を見送ってきたXiaomiが、日本で満を持して「Xiaomi 14 Ultra」を発売した。フラグシップモデルゆえに、その価格は約20万円と高いが、想定以上の反響だという。ミッドレンジモデルの展開も含めて、Xiaomi Japanに話を聞いた。

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 エントリーモデルやミッドレンジモデルを中心に日本で販売を伸ばしてきたXiaomiだが、フラグシップモデルの投入は見送られてきた。型番の最後に“T”のつく費用対効果を重視したハイエンドモデルは導入されていた一方で、Xiaomiの後に数字を冠したフラグシップモデルは発売されてこなかった。こうした状況を変える1台になったのが、5月16日に販売を開始した「Xiaomi 14 Ultra」だ。

 2月にグローバル版が発表された同モデルは、そのカメラ性能の高さや、装着するとまるでデジタルカメラのような撮影が可能になる「Photography Kit」が大きな話題を呼んだ。日本では、キャンペーンでこのPhotography Kitが付属。キャリアモデルとしての展開はないが、KDDIは「au +1 collection」として同モデルをauショップなどで販売する。また、MVNOではIIJmioが独占的に取り扱うことを表明した。

Xiaomi 14 Ultra
日本で待望の発売となったフラグシップスマートフォン「Xiaomi 14 Ultra」

 一方で、フラグシップモデルゆえに、その価格は約20万円(税込み、以下同)と高い。日本ではオープンマーケットの市場がまだまだ小さく、ハイエンドモデルとなると、その数はさらに少なくなる。ここに、Xiaomi 14 Ultraを投入した勝算はどこにあるのか。Xiaomi Japanで取締役社長を務める大沼彰氏と、商品企画を統括するプロダクトプランニング本部長の安達晃彦氏にお話を聞いた。

Xiaomi 14 Ultraの発売はユーザーからの要望が全て 反響は非常に大きい

―― ついにフラグシップモデルを日本で発売できましたが、その経緯や背景を教えてください。

大沼氏 昨年(2023年)の発表にさかのぼりますが、昨年は、日本でのビジョンや事業としてどうやっていくのかといったお話をしました。その中で、1つ目の扉を開けたつもりです。私の思いとして、その扉をどんどん開けていくというお約束もしました。(Xiaomi 14 Ultraは)その第2弾で、次の扉を開けたというのが大きなメッセージです。

 Xiaomiは日本に来たばかりで、他のメーカーと比べるとまだまだ歴史が浅い。しっかりブランドを立てていかなければいけないのは、課題の1つです。その課題を解決するのに、フラグシップモデルは最適です。やはり日本の皆さまにはグローバルの情報が入ってきますし、各メディアの方からも「いつ出すのか」というご質問がありました。そのご要望が全てだと思っています。

大沼彰
Xiaomi Japanの大沼彰社長

―― MWCで発表した際には、日本への導入が未定という状況でした。あの時点で、実は決まっていたのでしょうか。

大沼氏 認証やモノ作りなど、いろいろな手続きがまだまだ途中経過の段階でした。ただ、安達とも、これは諦めるわけにはいかない、やはり日本には必要だと言い続けてきました。ヘッドクオーター(本部)もダメとは言いませんでした。Xiaomiの中で、日本は大事な国だからです。

―― 過去のモデルと比べても、SNSなどを中心とした反響が非常に大きいと感じています。これはなぜだとお考えですか。完売している店舗もありますが、実際に売れ行きも伴っているのでしょうか。

大沼氏 数を申し上げることはできませんが、各ルートからの反響は非常に大きいと認識しています。先にグローバルで発売し、その評価があるのが1つ。いきなり出したというわけではなく、5月9日の発表会の前からいろいろな仕掛け……仕掛けという生意気かもしれませんが、盛り上げながら9日の発表につながったのは大きいと思っています。

安達氏 X(旧Twitter)でユーザーとやりとりをしていると分かりますが、今までは、どちらかというと反応する方々が海外のハイエンド商品を並行輸入するような(濃い)Miファン(Xiaomiのファンのこと)に閉じているようなところがありました。もちろん、彼らの中にも正規品を日本で使いたいというご要望はありましたが、変化したのは、今までXiaomiのスマホに親しまれていなかったであろう方々が、この商品をきっかけに弊社の技術の優位性などを語っていたことです。発売して数日ですが、そういった方々は多くいらっしゃいます。

安達晃彦
商品企画を統括する安達晃彦氏

ライカと2年間協業してきた全てが入っている

―― ライカとの協業ということもあり、カメラ好きにも訴求できたということでしょうか。

安達氏 われわれの戦略として、カメラ好きやカメラへのこだわりが強い方とコミュニケーションをしてきましたが、結果として、意図していた以上に波及しています。カメラ系のYouTuberやインフルエンサーも、個人のご興味で紹介してくださっているところがあります。忖度(そんたく)がない、正直な感想だと思いますが、かなりポジティブな内容が多く、想定以上にその声が広がっています。

大沼氏 私たちとしては、ライカだけでなく、Xiaomi 14 Ultraで何が楽しめるのかということをいっぱいアピールしてきたつもりでしたが、それがギーク層だけでなく、その周りにまで広がってきているような印象があります。

Xiaomi 14 Ultra
YouTuberやインフルエンサーからもカメラの支持が高いというXiaomi 14 Ultra

―― 一方で、今まではシャープが日本でライカと協業している関係で、日本ではブランドを使えませんでした。今回はなぜそれが可能だったのでしょうか。

大沼氏 そこは本社側がいろいろと交渉してくれました。日本市場にこういったブランドで投入したいということを、切々と訴えていきました。

安達氏 ユーザーインタフェースのいろいろなところにライカの設定があり、画作りや色作りまで、2年間協業してきた全ててが入っています。ライカなしに出すことはありえない商品でしたね。

大沼氏 昨年のTシリーズも、日本ではライカブランドで出せませんでした。Xiaomi 14 Ultraでは、そういったインパクトも出せたと思っています。

―― 結果として、一部家電量販店では完売してしまっています。

大沼氏 このお値段なので、そうはいっても急にはなくならないと想定していたところがあります。うれしい反面、もう片方ではお客さまにお届けできていない反省があります。生産面も急ぎたいと考えています。

Photography Kitが漏れなく付いてくる特典が「最後のダメ押し」に

―― Photography Kitが漏れなく付いてくるのも、大きかったのではないでしょうか。

大沼氏 最後のダメ押しになりましたね。これがあって何がいいのかというと、やはりお客さまの使いやすさや、驚きにつながります。今回は、製品の楽しさを知っていただきたいということで、清水の舞台から飛び降りた気持ちでつけました。

安達氏 出してみて改めて気付きましたが、別売にしていたら、ハイスペックでカメラに優れている“スマホ”という位置付けになっていました。このPhotography Kitを付けることで、ほぼカメラという認識になり、“カメラ”にスマホの機能がついているという商品としてのキャラクターがより際立ったと思っています。しかも、同梱することでお客さまをお待たせすることなくなり、買ったその日から楽しんでいただくことができます。漏れなく付けた提供の仕方も、評価されたのだと思います。

Xiaomi 14 Ultra
Photography Kitが無料で付く特典も話題を集めた
Xiaomi 14 Ultra
Xiaomi 14 Ultraに装着すると、コンパクトデジカメのように使える

―― Photography Kit付きで20万円を切っていると考えると、ものすごく安く見えますね。

大沼氏 いろいろなものと比べたときの相場観としてですが、これが付いてこの価格は本当に安いと思います。

安達氏 比べる方はカメラに詳しいので、ライカでこれだけ撮れてこの値段は破格ということで、総じてご納得いただけています。

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