ハイエンドスマホ「POCO F6 Pro」が6万9980円からの衝撃 “オンライン特化販売”は日本で根付くか:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
Xiaomiは、サブブランド的に展開しているPOCOの新モデル「POCO F6 Pro」を5月23日に海外で発表した。円安の為替相場が続く中、ハイエンドモデルでわずかながら7万円を下回る価格は破格の安さと言っていいだろう。POCO F6 Proはオンライン専売モデルだが、日本でこうした販売方法が定着するのかも気になるところだ。
Xiaomiは、サブブランド的に展開しているPOCOの新モデル「POCO F6 Pro」を5月23日に海外で発表した。グローバル発表と同時に、日本での展開も明かされ、その価格も公表された。POCO F6 Proは、いわゆる「N-1」と呼ばれる1年前のプロセッサを搭載したハイエンドモデルで、処理能力などの性能は高い一方で価格は6万9980円(税込み、以下同)からに抑えている。円安の為替相場が続く中、ハイエンドモデルでわずかながら7万円を下回る価格は破格の安さと言っていいだろう。
日本では、2022年に「POCO F4 GT」を発売したXiaomiだが、2023年は後継の投入を見送っていた。一方で、そのコストパフォーマンスの高さから発売を望む声は多く、晴れてPOCO F6 ProでPOCOブランドが復活する形になった。POCOは、オンラインでの販売を重視したブランドでXiaomiとのすみ分けを図っている。とはいえ、日本ではまだまだECでスマホを購入する割合が低い。こうした壁を、Xiaomiはどう打破していくのか。その戦略を解説していく。
ゲーミングの要素は抑えつつも、ハイエンドスマホに迫る完成度
側面にポップアップで出現するキーを備えるなど、“ゲーミングスマホ”要素の強かったPOCO F4 GTだが、新たに発売するPOCO F6 Proは、冷却機構やソフトウェアに要素を残しつつも、よりスタンダードなスマホとして仕上げられている。プロセッサにはハイエンドモデル向けの「Snapdragon 8 Gen 2」を採用。ディスプレイも1440×3200ピクセルと高解像度な有機ELで、1Hzから120Hzにリフレッシュレートが可変する機能も盛り込まれている。
カメラは、Xiaomiの独自設計を入れた「Light Fusion 800イメージセンサー」を搭載しており、同社がこれまで培ってきた画像処理技術を実現する「Xiaomi Imaging Engine」も内蔵する。Snapdragon 8 Gen 2の高い処理能力を生かし、AIもフル活用している。Pixelシリーズでおなじみの「消しゴムマジック」に近い、被写体の写り込みを消すことが可能な「AI Magic Erase Pro」に対応している他、周囲を描き足すことで写真を拡大できる「AI Expansion」も利用できる。
Xiaomiといえば、ソフトバンクとタッグを組んでアピールした充電技術も有名だが、POCO F6 Proも、最大120WのHyperChargeに対応する。専用の充電器は必要になるが、バッテリー切れの状態から、わずか19分で100%まで充電できるスピードは驚異的だ。その一方で、バッテリー寿命を延ばしたり、充電時の安全性を高めたりする機能も搭載されている。こうした充電をつかさどる「smart charging engine」を搭載しているのも、POCO F6 Proの特徴だ。
プロセッサこそ、2023年のフラグシップモデル向けのSnapdragon 8 Gen 2で、最新モデルに搭載される「Snapdragon 8 Gen 3」よりやや性能は劣るものの、それでもここ数カ月の間に発売されたミッドレンジモデルより、パフォーマンスは高い。AnTuTuベンチーマークでのスコアは160万点を超えており、使用感に関しては、ハイエンドモデルに勝るとも劣らない。
【訂正:2024年5月25日10時10分 初出時、AnTuTuベンチマークのスコアに誤りがありました。おわびして訂正いたします。】
にもかかわらず、POCO F6 Proは6万9980円からと安い。POCO F6 Proが属するPOCOブランドの最上位ラインは「フラグシップキラー」をキャッチフレーズにしているが、まさにフラグシップモデルの市場を破壊しかねない価格設定だ。実際に触ってみると端末の質感は高く、チープさは感じられない。月面をイメージしたという背面の模様はやや人を選ぶ印象も受けたが、端末の完成度は高いといえる。
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