Ankerが挑む“家まるごと”の電源確保――モバイルバッテリーの先にある“新市場”(1/2 ページ)
モバイルバッテリーで知られるアンカー・ジャパン(Anker)が、家庭用蓄電池事業への参入を発表した。モバイルバッテリーからポータブル電源を経て、いよいよ“家まるごと”のバッテリーにも取り組むことになる。
モバイルバッテリーでおなじみのアンカー・ジャパン(Anker)が、家庭用蓄電池事業に参入する。2025年春をめどに、最初の製品「Solix XJシリーズ」を発売する。システム価格は構成によって異なり、工事費込みで100万円台後半から300万円程度だ(ソーラーパネルは別途/見積もりにより異なる)。
これまでAnkerは、スマートフォンやノートPC向けの「モバイルバッテリー」や、AC(交流)電力も供給できる可搬型の「ポータブル電源」など、いわば“手軽に持ち運べるバッテリー”の領域で支持を集めてきた。同社はそれをさらに拡張し、屋外に設置する大容量の蓄電システムで家庭全体の電力を賄うソリューションを提供する。
Solix XJシリーズってどんなシステム?
Solix XJシリーズは、「リン酸鉄リチウムイオン蓄電池」「パワーコンディショナー」と「太陽光パネル」(オプション)という、一般的な家庭用蓄電システムと同様の構成を取る。
太陽光パネルで発電した直流電力は、パワーコンディショナーを通して蓄電池に充電される。蓄電池から家庭内の電力系統に電力を供給する際は、パワーコンディショナーを通して交流電力に変換される。
4人家族の日常利用を想定した場合、小容量の5000Whモデルで約1日分、中容量の1万Whモデルで約2日分、そして大容量の1万5000Whモデルなら約3日分ほどの電力を備えられるという。
本シリーズは、設置のしやすさも特徴としている。蓄電池とパワーコンディショナーの奥行きは約15cmに抑えられており、IP65等級の防じん/耐水性能を確保している。駆動音も29dB以下と静かで、生活環境への影響を最小限に抑えている。
製品保証期間は、基本的に蓄電池が15年間、パワーコンディショナーが20年間、ソーラーパネルが25年だが、「重塩害地域」(海岸から500m以内)に設置する場合は10年に短縮される。
「家庭用蓄電池」と聞くと、モバイルバッテリーのように「外部機器に直接給電できる」とイメージする人もいるかもしれない。しかし、家庭用蓄電システムというものは、家の分電盤と連動して住宅全体の電力供給をカバーすることに特化しているものがほとんどだ。本シリーズもご多分に漏れず、蓄電池からスマホやノートPCを直接充電することはできない。
最近では電気自動車(EV)からの給電を受けられるシステムもあるが、本シリーズは現時点では対応しない。ただし、将来のラインアップ/システムの拡充時にサポートする可能性はあるという。
蓄電池は、安全性にも配慮している。リン酸鉄リチウムイオン電池は、発火のリスクが低い。その上で、各電池パックに8つのセンサーを搭載し、異常を検知するとすぐにアラートを発するようになっている。電圧が高まったときに発生する「アーク放電」を0.5秒以内に検出して遮断する機構も備えている。これは日本国内では必須とされていない機能だが、より厳格な海外の規格を考慮して搭載したという。
日本市場への投入に当たり、国内では「電気安全環境研究所(JET)」からの認証を取得し、国際安全規格の「IEC 63027」にも準拠している。
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