メルカリがMVNO事業に参入したワケ 売買したギガは「繰り越せない」が、ニーズを満たせると判断(2/3 ページ)
メルカリが3月4日、MVNO事業に新規参入し、「メルカリモバイル」の提供を開始した。メルカリモバイルは、フリマアプリのメルカリで誰でも簡単に申し込みを完結でき、データ容量をメルカリのように出品、購入できる機能が大きな特徴。同日開催の記者発表会場には、メルカリ 執行役員CEO Fintech 兼 新規事業責任者 永沢岳志氏が登壇し、新サービスの概要やMVNO事業への参入意図を語った。
なぜメルカリがMVNO事業に新規参入したのか MNO事業への参入は見込んでいない
メルカリのサービスに欠かせないのが、スマートフォンの端末と通信サービスだ。このセットがなければ、メルカリは成立しない。メルカリが新たに目を付けたのは通信サービス。個人間でものを売買するメルカリの仕組みを、通信サービスにうまく落とし込んだといえる。なぜ、いま端末ではなく通信サービスなのか、それもMVNOサービスを選択したのだろうか。永沢氏は調査データをもとに解説する。
2010年代にスマートフォンが広く普及して以降、大手キャリアのサブブランド、MVNOサービスが増加し、通信契約の選択肢が広がった。国内の携帯電話市場を見ると、2020年に楽天モバイルが正式にMNO事業を開始して以降も、依然として大手キャリアのシェアは大きいが、2021年3月末時点から2023年12月末時点にかけて、後発の楽天モバイルやMVNOのシェアが伸びており、こうした現況はメルカリにもチャンスと映った。
一方、外部機関による18~69歳の男女522人を対象としたインターネット調査によると、「スマートフォンの通信キャリアを変更したことがない」もしくは「変更経験が1回まで」の消費者は64.4%を占めることから、依然として乗り換えのハードルが高いという。
乗り換えた経験がない人にとってハードルとなっているのが、「乗り換えの手続きが面倒」という点だ。メルカリは「さまざまなサービスを使いやすくする、分かりやすくする」というメルカリと同じコンセプトが通信サービスでも受け入れられると考え、契約から用までをメルカリアプリで完結できるようにした。
一方、永沢氏は「ただ単にサービスを使いやすくしただけでは、お客さまに選んでいただけないのではないか?」と懸念を示す。
毎月のデータ使用量を把握している、18~69歳の男女1242人を対象としたインターネット調査によると、毎月のデータ通信量が余っても「特に何もしていない」「繰り越しているが、結局使わず余る」の合計が75.0%、データ量が足りない人のうち45.2%は「毎月追加でデータ容量を購入する」など、契約内容と実際の利用実態にはギャップがあることが判明。加えて、料金プランの柔軟さへのニーズについて聞いたところ、「使い方に合わせてプランを自由にカスタマイズしたい」意向がある人は78.6%に上ったという。
メルカリは、スマートフォンの料金プランに足りない要素として、「柔軟さ」を挙げている。「毎月のデータを余らせてもったいない」「データの追加購入が割高」と感じる人は、回答者全体の半数を超えており多いことが分かった
月間データ容量が余っている人で「特に何もしていない」「繰越しているが、結局使わずに余っている」という人は75%いた。「足りない」と感じる45.2%が追加購入していることも分かった。裏を返せば、残りの55%が「足りていないのに、追加を我慢している」といえる
こうした問題を解決すべく、メルカリは「ギガ(データ容量)の売り買いができる、日本初の機能を実装した」と永沢氏は続ける。個人間取引の仕組みはそのままに、売り買いする「もの」が「データ容量」に置き換わったイメージだが、「誰のデータ容量を買っても基本的には中身は同じ」であることから、評価やコメントの機能はない。
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