mineoが「50GBプラン」を新設、使い放題を「5Mbps/200kbps」にアップデートした理由 格安競争からの脱却へ:MVNOに聞く(2/3 ページ)
低容量のデータ通信が主戦場だったMVNOだが、徐々に中・大容量のプランが拡充されつつある。3月に容量別の料金プラン「マイピタ」に50GBのコースを新設するオプテージのmineoも、その1社だ。50GBプランの新設と同時に、mineoは速度別の料金プランの最上位コースとなる「マイそく プレミアム」の通信速度を見直す。
マイそく プレミアムは5Mbpsで動画も視聴しやすく お昼も200kbpsでスマホ決済が使える
―― マイピタの50GBと同時に、マイそく プレミアムの速度も上げています。この狙いも教えていただけないでしょうか。
松田氏 マイそくは、お昼の時間帯に制限があり、それ以外の時間帯は一定の速度で使い放題になるというプランです。その中のプレミアムは、今まで3Mbpsで使い放題になっていました。ただ、3Mbpsだと、スタンダードの1.5Mbpsとあまり差がない。世の中のコンテンツもリッチになっているので、そういった意味もあって5Mbpsにグレードアップしました。高精細な動画を見ていただいたり、アプリのダウンロードに使っていただいたりというレベルを考え、5Mbpsにしています。
お昼の制限に関しても、今までの32kbpsから200kbpsに大きく緩和しました。ここについては、ご要望も多くいただいていました。スマホ決済などを使えるようにという意味も込めて、200kbpsにしています。
―― 確かに、32kbpsだとアプリ側に通信環境が悪いと見なされてオフラインモードになってしまうかもしれないですね。制限時間帯のお昼でも、ランチを食べて決済できるというとイメージがつけやすいですね。
松田氏 32kbpsだとなかなか厳しいですよね。
前田氏 マイそくのコンセプトは、使い放題というよりも帯域の有効活用から発想していました。そのため、お昼にはどうしても制限があります。一方で、お客さまからすると、ここがストレスになってしまう。フルフルで開放するのは難しいですが、少しでも使いやすくなるよう考えました。
―― イメージ的には、動画がちゃんとフルHDになると言えば分かりやすいですかね。
松田氏 そうです。
前田氏 Netflixの推奨速度は、5Mbpsです。じゃあ、3Mbpsで見られなかったかというと実際には見られていましたが、5Mbpsにすることで推奨速度に達することはできました。
―― 使い放題でこの値段はかなり引きが強そうと思ったのですが、実際にはマイピタの方がユーザー数は多いですよね。これはなぜでしょうか。
松田氏 なぜなのかつかみ切れていないところはありますが、先ほどお話していたお昼の制約のところに引っ掛かる方はいると思っています。また、マイピタのように容量が決まっていると、他社と比べやすいところもあります。他社から移ってくるときに、容量を合わせれば同じような使い勝手でいけると分かるのは大きいと思います。加えて、マイピタに対してパケット放題 Plusをつけると、結局はマイそくと同じような使い放題になります。
10周年記念イベントに2700人が来場、ファン∞とくは端末割引が好評
―― 2つの新プランですが、コミュニティーの声はどこまで意識したのでしょうか。
前田氏 声は挙がっていました。特にプレミアムに関しては、強くご意見いただくこともありました。逆に50GBは市場動向を加味して作ったところがあります。もちろん、大容量を求める声がなかったわけではありませんが、そこまで何件もあったというわけではありませんでした。
―― そのコミュニティー活動ですが、去年(2024年)はリアルな祭を開催しました。逆にその分、少しリアルイベントの回数は減ってしまったような印象ですが、この点はいかがでしょうか。
松田氏 昨年10周年を迎え、何か大きなイベントをしたいという思いがありました。普段、「マイネ王」にそこまで関われていない方でも気軽に来られるよう、リアルなイベントとして「マイネお祭り」を開催しました。その大きなイベントがあったので、なかなか他に手が回らないことはありましたが、力をかけた結果として2700人の方にご来場いただけました。ご家族連れや友人と一緒に来ていただく方も多く、これまでとは違った形で裾野を広げられたと考えています。コミュニティーとしてコアな方をよりコアにしていくのと同時に、裾野を広げてコミュニティーを大きくしていくのは方向性として重要だと改めて感じました。
―― ファン向けという意味合いだと、昨年「ファン∞とく」も改定し、継続年数に応じた特典がつくようになりました。こちらに関しては、どんな声が多いでしょうか。もっと豪華にして……という意見もありそうですが。
松田氏 正直、そういう声もありましたが、端末割引に使えたり、オプション代の足しにできたりと、今までより使い道が増えたところは評価されています。一方で「こんなんできへんか?」という声もあるので、そこは広げていきたいですね。
―― やはり利用が多いのは端末割引でしょうか。
松田氏 今は端末が多いですね。また、SIMカードを交換するといった手数料への充当にも使っていただけています。
前田氏 キャリア変更に使えるので、ドコモさんの通信速度が出ないので変えたというようなことも……
―― 速度が不満でキャリア変更する人もいるんですね。
前田氏 はい。多くはありませんが、実際にいました。
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