5G SA品質、auが1位でNTTドコモはまさかの「比較対象外」――「なんちゃって5G」が今になって差が出たか:石川温のスマホ業界新聞
Opensignalが、日本における5G SA通信品質の調査結果を発表した……のだが、中身を見てみるとauとソフトバンクの2キャリアしか比較対象にない。NTTドコモと楽天モバイルは「5G SAの通信ログ数が少ない」という理由で除外されたという。この差は「なんちゃって5G」に積極的だったか消極的だったかの差が大きそうだ。
オープンシグナルは日本における5G SA通信品質の調査結果を公表した。auが全6部門で1位を獲得したという。
気になってオープンシグナルのサイトを見たところ、比較されているのはauとソフトバンクのみであった。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2025年8月2日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
NTTドコモは2社に比べて主に高い周波数帯(Sub6やミリ波)を使用し、SAの通信ログ数が少ないために比較から除外されているという。
また楽天モバイルは、7月31日に開催されたRakuten AI Optimismで楽天モバイルのシャラッド・スリオアストーア共同CEO兼CTOが「来年から5G SAを本格展開する」とアナウンスしていることもあり、調査対象にはなっていないようだ。
ちなみに楽天モバイルは5月23日に「5G SAの導入が遅れている」と総務省からお叱りを受けている。楽天モバイルとしては、まずは「黒字化」に目処をつけなくてはいけないため、この1年ほど、設備投資を減らしていたのは間違いなさそうだ。ただ、資金的に余裕が出たのか「今年度、基地局を新たに1万局+α増設する」(矢沢俊介社長)とも語っている。
ただ、5G SAの展開が来年度からとなると、しばらく先行する2社に追いつくことはなさそうだ。
こういった状況を見ると、KDDIとソフトバンクはエリクソンなどとがっちりと組んでネットワークを作ってきたという点が大きそうだ。
5Gが導入されるタイミングで行われたクアルコムのSnapdragon SummitでDSSが将来された時には「LTEで使っている周波数帯の一部や全体に5G NRを導入する技術で、通信速度は出ないが、5Gの面展開できるので、5G SAへの展開が速い」というメリットがアピールされていた。
当時、「なんちゃって5G」と揶揄されたが、結局のところ、いち早く5Gエリアを展開でき、5G SAの全国展開につなげられたわけだ。
一方でNTTドコモはDSSなどの技術に対して「5Gの優良誤認だ」と牙をむき、5G用に割り当てられた周波数帯だけで、5Gエリアの展開を目指した。
その結果、5Gエリアの展開に苦戦し、さらにセルエッジ部分での品質低下などを招き、散々たる状況になってしまっている。
昨今のNTTドコモにおけるネットワーク品質低下は、前社長時代に「設備投資を控えたから」という理由が挙げられているが、よくよく振り返ると、かなり前の世代から「将来を見据えたネットーク、周波数戦略が戦できていなかった」とも言えるのだ。
KDDIは5G SAの前段階として「5G Fast Lane」といったように、混雑時でも安定した通信を実現するような技術も導入できている。
今後、5G SAにおけるスライシングなどが本当に実現できるのであれば、KDDIとソフトバンクが、他の2社を大きく引き離すなんてこともあり得そうだ。
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