auの通信が速くなる「優先レーン」サービスを試す 混雑時にどれだけ効果が出た? 適用/非適用スマホで比較:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
KDDIは、7月1日に「au 5G Fast Lane」のサービスを開始した。これは、5G SAを契約しているユーザーの通信を文字通り“優先レーン”に乗せる仕組みで、混雑時に速度低下の影響を受けづらくなるのがメリットとなる。実際にau 5G Fast Laneを適用した端末と、適用していない端末で速度を比べてみた。
KDDIは、7月1日に「au 5G Fast Lane」のサービスを開始した。これは、5G SAを契約しているユーザーの通信を文字通り“優先レーン”に乗せる仕組みで、混雑時に速度低下の影響を受けづらくなるのがメリットとなる。同サービスは、現在、新料金プランの「auバリューリンクプラン」や以前から提供されてきた「使い放題MAX+ 5G」での利用が可能だ。
データ容量無制限でかつ、料金の高いユーザーをコンテンツなどのサービスだけでなく、通信面でも優遇する取り組みといえる。では、実際、au 5G Fast Laneが適用された端末と、そうでない端末にはどの程度の違いがあるのか。東京23区の複数箇所でスピードテストを行い、その効果の度合いや今後のサービス設計に与えそうな影響を考察した。
対象料金プランのユーザーを優先制御、混雑時の速度向上が見込める
au 5G Fast Laneは、対象となるデータ容量無制限の料金プランを契約し、かつ契約種別が「5G SA」になっている場合に適用される。端末側も、5G SAに対応している必要がある。KDDIによると、料金と契約種別、さらに端末がそろっていれば、実際の通信が5G SAである必要はなく、4Gとの組み合わせ使う5G NSAでも効果が発揮されるという。この条件がそろえた上で、別途サービスの申し込みが必要になる。
優先レーンというと意味が分かりづらいかもしれないが、このサービスは、対象となる端末に無線のリソースを多く配分するという基地局側の制御で成り立っている。4Gや5Gでは、無線をリソースブロックと呼ばれる細かな単位に分割して、それを端末に割り当てることで通信が行われている。同じ基地局配下に複数の端末があると、1台1台に割り当てられるリソースブロックは少なくなる。
ただし、接続している端末が常時割り当てられた、リソースブロックを占有していたりするわけではなく、ダウンロードやアップロードが終わると開放され、別の端末に割り当てが増える。これによって、複数の端末が一斉に通信しても、それをさばくことが可能になっている。この制御がWi-Fiとの大きな違いで、一斉に複数の端末が接続しても、(ある程度までは)きちんと通信が継続できるのはそのためだ。
一方で、これまでは、どの料金プランでもある意味平等にリソースブロックを管理、割り当てていたが、KDDIはau 5G Fast Laneでここに手を加えた。あくまで相対的にだが、auバリューリンクプランや使い放題MAX+を使う5G SA契約のユーザーにだけリソースブロックを多く割り当てることで、通信の快適さを向上させる。同じようなトラフィックのデータ通信をしようとした場合、au 5G Fast Laneの方が作業は早く完結する。
“相対的に”というのが鍵で、非対応端末に割り当てるリソースをゼロにしてしまうわけではない。イメージとしては、5:5だったのを6:4なり7:3なりに変えるような形で、10:0になるわけではないため、au 5G Fast Laneに対応していなくても、通信自体は継続できる。正式提供に先駆け、KDDIが行ったフィールドトライアルでは、山手線乗車時の速度が1.8倍、大阪・関西万博会場での速度が2.2倍に向上する効果が得られたという。
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