ASUSに聞く「Zenfone 12 Ultra」の神髄 「脱コンパクト」の背景、キャリア販売なしでも“日本カスタマイズ”を徹底(2/3 ページ)
日本でも発売したASUSの最新スマートフォン「Zenfone 12 Ultra」の狙いを聞いた。AI機能は文字起こし、翻訳、記事要約など、実用面を重視した。キャリアでの販売は行っていないが、日本のローカライズは徹底している。
誰もがプロ級の撮影をできるよう工夫したカメラ機能
―― カメラのAI機能について教えてください。
阿部氏 主に3つのAI機能があります。まず「AIポートレート動画」。静止画のポートレートモードの動画版で、リアルタイムで背景をぼかしながら、まるでドラマのような映像を簡単に撮れます。玉ボケも疑似的に追加できます。
次に「AIトラッキング」。被写体を認識すると、カメラが自動的に人を認識してカメラの中心に被写体を映すように自動的にカメラを動かしてくれる機能です。私も先日試しましたが、子供を撮影する際に1回被写体でトラッキングすれば、あとはカメラを意識せずとも、被写体を追尾してくれます。子供が動いたとしても、特に子供は好き勝手に動くので、普通だったらブレがすごい動画になってしまいますが、この機能を使うことで抑えられます。
最後に「AI流し撮り」。ミラーレスカメラではシャッター速度を調整して意図的にシャッター速度を遅くして撮影しますが、この撮影モードを使えば、車が通り過ぎた一瞬の映像なども背景を流し、躍動感のある写真を簡単に撮ることができます。そもそもシャッター速度のことを知らない人も多いと思います。弊社の端末の場合、カメラモードの1つとしてこれがあるので、普通に構えてシャッターボタンを押すだけです。
これらはジンバルの強力な手ブレ補正とAI機能を融合させることで、誰でもプロが撮影したような作品を残せるようにしたものです。
―― カメラのハードウェアの変更点はありますか?
阿部氏 センサーがIMX890からLYTIA 700に変わりましたが、サイズは同じです。大きな変化は6軸ジンバル式手ブレ補正の角度が3度から5度になり、先代比で約66%性能が向上した点です。
キャリア展開はしないが、日本へのローカライズは徹底
―― キャリア向けの販売を狙わないのはなぜですか。
阿部氏 現状ZenfoneシリーズはSIMフリーでの展開です。ただ、だからといってローカライズができていないわけではありません。おサイフケータイも完璧に対応し、キャリアモデルに採用されるスペックの条件をほぼ満たした、完璧に近いローカライズをしています。
KDDIグループと楽天モバイルのIOT(相互接続性試験)も通っています。今回のZenfone 12 Ultraは5月28日に発表しましたが、その日の午後にはもうIOTサイトに掲載されるよう調整しました。ドコモのn79にも対応し、フィールドテストも行っています。ただ、キャリア展開については、やはり膨大なリソースが必要になってくるというのは事実としてあります。
―― おサイフケータイを見送るメーカーが増えています。
阿部氏 確かに最近、特にハイエンドで実装されないメーカーさんが目立ってきました。いち早くホットな状態で日本市場に投入したいからだと思います。ただ、弊社としては追従する予定はありません。おサイフケータイはインフラになじんでいて、当たり前のように存在する機能の1つです。早期投入よりも、ユーザー様の満足度を下げない状態で製品を投入したいと考えています。
―― 日本市場の重要度はどの程度あるのでしょうか。
阿部氏 具体的な数値は言えませんが、日本市場を重視しているのは変わっていません。Zenfoneだと台湾が1番で、その次は恐らく日本。確実に上位です。
実は本体カラーにも日本へのこだわりが現れています。今回の「サクラホワイト」は桜をイメージした色で、先代モデルのZenfone 11 Ultraでは「デザートサンド」という鳥取砂丘をイメージした色がありました。2連続で日本の地域の地名として採用されているのは日本だけです。
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