レビュー

3世代目「Pixel 10 Pro Fold」レビュー 薄型軽量への正直な評価、カメラは予想以上に高画質で使い勝手よし(2/3 ページ)

3世代目になってより成熟度が増したGoogleの折りたたみスマートフォン「Pixel 10 Pro Fold」をレビュー。防塵対応はうれしいが、Galaxy Z Fold7を使うと薄型化は改善の余地があると感じる。カメラはPixel 10 Proと差分はあるが、AI補正が効いており予想以上に高画質だった。

カメラは10 Proとの差分はあるが高画質、フォルダブルならではの使い勝手も評価

 カメラは、超広角、広角、望遠のトリプルカメラ。広角カメラには、4800万画素のセンサーが搭載されており、ピクセルビニングを解除して切り出すことで2倍相当のズームとしても使える。望遠カメラは広角からの倍率で5倍までのズームが可能だ。ホワイトバランスの正確さや、シャープなディテールは他のPixel譲り。人も料理も、サッとキレイに撮れる。


極端に色の強い背景と人物を組み合わせてみたが、人肌も正確に映し出している(モデル:逢坂真希さん、以下同)

切り出しの2倍ズームで撮影した料理の写真。マクロ撮影を使うよりも、影が写りづらく重宝する

 一方で、Pixel 10 Pro/Pro XLほどの望遠性能はない。端末名に“Pro”を冠しているため、同じことができると思った向きもありそうだが、少なくとも望遠での撮影を楽しみたいならPixel 10 ProやPixel 10 Pro XLを選択すべきだ。Pixel 10 Pro/Pro XLに搭載された拡散モデルを使う「超解像ズームPro」にも非対応となる。

 これは、望遠カメラが1080万画素と画素数が低いからだろう。Pixel 10 Pro/Pro XLの望遠カメラは4800万画素の5倍で、切り出しを使うことで10倍までほぼ劣化のない撮影ができる。これに対し、Pixel 10 Pro Foldでは、もとの画素数が低いため、切り出しが使えない。5倍以上には超解像ズームがかかる。デジタルズームで補正が入るということだ。

advertisement

0.5倍、1倍、2倍、5倍はデジタルズームなしで撮影可能。劣化なく、画角を調整できる

それぞれ10倍と20倍。超解像ズームがかかっているが、特に10倍は5倍の写真を拡大したとは思えないほど、ディテールも精細だ

 ただし、大本が5倍で、そこから2倍分を引き延ばしているだけなので、そこまで画質が劣化するわけではない。むしろ、補正はかなり優秀。少なくとも、単に画像を拡大しただけのデジタルズームとは大きく違う。肌のディテールもしっかり残っているし、Pixel 10 Proで撮った写真と比べても、かなり拡大しなければ違いが分からない。Pixel 10 Pro/Pro XLほどではないが、ズーム性能は優秀と評価していい。


同じく10倍と20倍をPixel 10 Proで撮影した写真。拡大したとき、こちらの方がディテールはしっかり出ているが、かなり細かな差になるため分かりづらい

 また、フォルダブルの形状を生かし、メインカメラで自撮りを楽しむことも可能だ。メインの広角カメラを使えばインカメラよりも高画質なのはもちろん、超広角カメラに切り替えて複数人でグループ撮影したり、ポートレートモードを使って背景をボカしたりといったことも自由自在にでき、かつクオリティーも高くなる。


カメラ起動後に外側のディスプレイに切り替え、自撮りの際にメインカメラを使える

メインの広角カメラを使っているため、画質が高い

自撮りでもクオリティーの高いポートレートモードを活用できる

超広角カメラに切り替えて、複数人を撮影するということも容易になった

 こうした使い方ができるのは、フォルダブルスマホならでは。画質の高さで定評のあるPixelシリーズならではのカメラと、表裏両方にディスプレイのあることの相乗効果で、撮影の幅が広がる。もちろん、折り曲げた状態のままテーブルなどの上に置き、自分も含めた状態で集合写真を撮るといった用途にも使える。単純な画質という観点ではPixel 10 Pro/Pro XLに及ばないものの、使い勝手まで含めると評価が高まる端末といえそうだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.