「iPhone Air」本音レビュー:使って分かった「バッテリーの持ち」と「ケース選び」の悩ましさ(1/2 ページ)
2025年9月、筆者がベストなiPhoneだと感じたのは「iPhone Air」だった。わずか5.64mm(四捨五入で約5.6mm)の本体厚は、5.3mmのiPad Pro(M4)よりわずか0.3mm厚い程度である。iPhone Airを選んだ理由や、バッテリー持ちにケース選びの難しさも実感した話題をお届けする。
2025年9月、筆者がベストなiPhoneだと感じたのは「iPhone Air」だった。わずか5.64mm(四捨五入で約5.6mm)の本体厚は、5.3mmのiPad Pro(M4)よりわずか0.3mm厚い程度である。現行のスマートフォンが8mm台を主流とする中、この数値がいかに突き抜けているかは一目瞭然だ。
薄さと耐久性を両立させた点をアピールするiPhone Airは、強さと軽さを兼ね備えたグレード5の宇宙船用チタニウムを採用し、徹底的に薄型化されたフレームで構成されている。この頑丈な素材は鏡面のように磨き上げられ、軽快さを感じさせるカラーパレットで仕上げられている。
さらにセラミックシールドがチタニウムフレームを両面から包み込む構造を初採用し、高温プロセスで生成されるナノクリスタルによって耐久性は大幅に向上した。フロントガラスは従来比で3倍の耐傷性を持ち、過去のどのiPhoneよりも頑丈とされる。
この薄さを実現するために、アーキテクチャは根本から見直された。象徴的だったプラトーデザインを刷新し、カスタムメイドのチップやコンポーネント、革新的なカメラシステムを正確に収めるよう精密に設計されている。新たに搭載されたセンターステージカメラは、縦横いずれの向きでも自動的にセルフィーを最適な構図で捉える。
端的にいえば、薄くて軽いiPhoneといえばAir一択といえる。
iPhone選びでとにかく「軽さ」を優先したかった理由
筆者にとって魅力的だったのは薄さよりも軽さだった。薄さは、仕事用のメイン端末である「Google Pixel 9 Pro Fold」(折りたたみ時10.5mm、開閉時5.1mm)で十分に体感しているし、これまでのiPhoneもケースを装着すればある程度厚みが出るため、不満を感じたことはなかった。
一方で軽さには切実な理由がある。薄さを追求したiPhone Airは、アウトカメラが4800万画素のシングル構成にとどまり、望遠性能ではProモデルに大きく劣る。超広角カメラがないため、花などに寄って撮影する際に便利なマクロ撮影も非対応だ。機能面では明らかに犠牲を払っているが、それでも軽さを優先した。
実際、2022年発売の「iPhone 14 Pro Max」と比べて軽く感じたため、2023年は軽さを理由に「iPhone 15 Pro Max」を選んでいる。当時は大画面と軽量化を両立させたチタニウムフレームが決め手だった。カメラが何個搭載されているかより、軽くて持ちやすいことの方が重要だった。
いざiPhone Airを手にすると、やはり薄さよりも軽さを実感でき、久々に軽いiPhoneを手にできたと感じた。ただ、予想ではチタニウムフレームによって、硬い固形物(金属の塊)を手にしている感があり、軽さの感覚はAppleのうたい文句ほどないと思っていたが、実際には予想よりも軽いと感じ、この点だけでいえば購入してよかったといえる。
手への負担も軽減されたと感じる。200g台が当たり前のハイエンドスマートフォンを手にする機会が多かったためか、「長時間使用しても手が疲れにくい」とも思えた。
重量増加の流れを振り返る Pro Maxは年々重量増加
iPhoneはモデルチェンジを重ねるごとに重量が増している。iPhone 15 Pro Maxは221gだったが、翌年の「iPhone 16 Pro Max」は227g、そしてアルミニウムUnibodyを採用した「iPhone 17 Pro Max」は233gとなった。年々重くなり、携帯性を犠牲にしつつカメラ性能を優先する傾向が強まっている。
だが、カメラは本当にそこまで重要なのか。筆者はそう思わない。Appleが「映画が手軽に撮れる」とアピールしたとしても、映画制作を日常的に行わない身にとっては響かない。結局のところ、軽くて大画面のiPhoneが最適という結論に至った。
ならば、メインスマホとしてiPhone Airを使う人にとって、iPhone Airのシングルカメラは十分なのかも気になる。まず、超広角カメラはないため、ワイドなアングルでの撮影は諦めるしかなさそうだ。ただし、倍率を1倍と2倍(クロップ処理)で撮影でき、2倍撮影時は画素数は減るものの、解像度は劣化しない。ズームに関してはPro/Pro Maxのような望遠カメラはないが、最大10倍のデジタルズームに対応しており、遠くの被写体や風景を日頃から撮影しない人にとっては十分だ。
1倍と2倍はどちらもワイドなアングルでは撮影できないが、解像度の大幅な劣化は感じられない。最大10倍のデジタルズームは塗り絵のような仕上がりにはなる。遠くの被写体や風景を撮影しない人にとっては十分だろう
iPhone Airのバッテリー駆動時間の不安 結論はProの方が持つ
一方で悩ましいのはiPhone Airのバッテリー駆動時間だ。購入から1週間使用した実感として、決して良好とはいえない。
半日の使い方として、音声通話を数回、SNSを2時間、Web閲覧を3時間程度、iPhone 17 Pro MaxとiPhone Airとで比較したところ、iPhone 17 Pro Maxが朝8時から13時までで100%から70%程度に減ったのに対し、iPhone Airは100%から50%まで低下した。
YouTubeの動画を再生し続けて、バッテリー持ちを確認した。18時に充電が完了してから22時までの間、iPhone AirとiPhone 17 Pro Maxのバッテリー残量を約2時間おきに確認した。
18時から約2時間後の20時過ぎには、iPhone Airが100%から87%にまで減っているのに対し、iPhone 17 Pro Maxが92%まで減っていることを確認した。この時点で、すでに差は開いていることになるが、5%の差は「バッテリー持ちが極端に悪い」という印象につながらない。
しかし、計測開始から約4時間後の22時過ぎには明らかな差を感じた。iPhone Airが100%から74%にまで減っているのに対し、iPhone 17 Pro Maxが83%を維持していた。差としては9%となり、2時間前の20時過ぎの時点よりも開いている。
なお、Appleが公開している動画再生時間はiPhone Airが「最大27時間」、iPhone 17 Pro Maxが「最大39時間」なので、検証通りの再生時間となっていると思われる。ただ、この差を見越して、AppleではiPhone Air向けアクセサリーを販売している。「iPhone Air MagSafeバッテリー」(1万5800円)だ。これを利用すれば、バッテリー駆動時間を最大40時間まで延長できるそうだ。
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