JR東日本、モバイルバッテリーを「可能な限り手元に置いて乗車して」 山手線での発火を受け注意喚起
モバイルバッテリーからの発火事故が相次いでいる。公共交通機関が対策に乗り出している。2025年7月にJR山手線の車内で乗客が所有するモバイルバッテリーが発火する事案が発生したことを受け、東日本旅客鉄道(JR東日本)は駅や車内での注意喚起を実施している。
モバイルバッテリーからの発火事故が相次ぎ、公共交通機関が対策に乗り出している。2025年7月にJR山手線の車内で乗客が所有するモバイルバッテリーが発火する事案が発生したことを受け、東日本旅客鉄道(JR東日本)は駅や車内での注意喚起を実施している。
多くの乗客で混雑する山手線の車内で起きた一件の事故は衝撃的だった。乗客のバッグの中から突然煙が上がったのだ。その後の調査で、原因がリコール対象のモバイルバッテリーだったこと、ティ・アール・エイが販売していた「cheero Flat 10000mAh」であることが確認された。スマートフォンなどの普及に伴い多くの人が日常的に持ち歩くようになったモバイルバッテリーの危険性が公になった。
この事態を受け、JR東日本は利用者の安全確保のため、具体的な情報提供と注意喚起を行っている。同社広報によると、まず8月13日から駅に設置されている異常時案内ディスプレイやデジタルサイネージなどを活用し、注意を促すポスターの放映を開始した。さらに、8月28日からは対象を拡大し、JR東日本の全線区を走る全ての列車内、及び業務委託駅を含む全ての有人駅において、注意を呼びかける放送を順次実施しているという。
実際に駅や車内で流れているアナウンスは、「国土交通省及びJR東日本からお願いです」という呼びかけから始まる。「モバイルバッテリーやハンディファンの発火が発生しています。落としたり、暑い場所に置いたりしないよう、ご注意ください」と、発火の具体的な原因となりうる行為に注意を促す。続けて、「万が一、発火や発煙を見かけたら、落ち着いて、安全を確保し、速やかに係員にお知らせください」と、緊急時の冷静な対応を要請。さらに、使用時についても「ご使用になる際は、可能な限りお手元に置くなど、状態が確認できる場所でのご使用にご協力ください」と、利用者の目の届く範囲での管理を求めている。
モバイルバッテリーの事故は航空機でも懸案事項に
こうしたモバイルバッテリーに起因する事故は、鉄道に限らず航空業界でも懸案事項となっている。航空機内での発火は多くの人命を危険にさらし、重大な事態につながりかねない。
7月8日からは機内におけるモバイルバッテリーの使用ルールが変更された。主な変更点は「席上部の収納棚への収納不可」という項目だ。これにより、乗客は機内に持ち込んだモバイルバッテリーを、自身の座席ポケットや足元、手持ちのバッグの中など、常に状態を目視で確認できる手元で保管・利用することが必須となった。
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