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ソフトバンクが5G音声通話サービス「VoNR」をXperia 10 VIIから開始――5G SAで先を行くソフトバンクとKDDI。ドコモ、楽天は大丈夫か石川温のスマホ業界新聞

ソフトバンクが、5G SAネットワーク上で音声通話を実現する「VoNR」を導入する。最近5Gネットワークについての取り組みが“前のめり”な感もある同社だが、そこで気になるのはNTTドコモと楽天モバイルの動向だ。

 ソフトバンクは5G SAネットワーク上で音声通話を行う「VoNR」を2025年10月9日より開始すると発表した。対応機種はソニー「Xperia 10 VII」で、順次、拡大していくという。

 VoNRは提供エリアにおいて、4GのVoLTEに接続することなく、5G SAのままで音声通話が可能になるという。そのため、発信から通話接続までの時間が短縮され、通話中にウェブ閲覧など5G SAによるデータ通信も可能になる。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2025年10月4日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。

 ここ最近、ソフトバンクのネットワーク部隊による「前のめり感」が半端なく伝わってくる。

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 先月、Apple Watchが5G通信に対応した際には「RedCap」を他キャリアに先駆けて開始した。我が家でもApple WatchがしっかりとRedCapでつながることを確認できた。

5G SAのエリア展開を早めてきたことで、他キャリアとの差別化に見事成功しているようだ(もちろん、対応機種が限られているため、恩恵を受けられるユーザーはかなり限定的だが)。

 先日、エリクソン・フォーラム 2025が開催されたが、そのなかで、KDDIの「au 5G Fast Lane」が、5G SAによるユーザーの体感向上として紹介されていた。

 つまり、au 5G Fast Laneはエリクソンの技術が生かされているということだろう。

 ソフトバンクとKDDIは、4Gから5Gへのシフトが上手いこといき、5G SAによって、さらに新たな技術を投入し、ユーザーの体感向上につなげられているように見える。

 4G周波数帯の5Gへの転用やDSS(Dynamic Spectrum Sharing、動的周波数共有技術)などに対して、NTTドコモから「なんちゃって5Gは優良誤認だ」と指摘されていたが、結果として、なんちゃって5Gをやったことで、真の5Gへの移行が早く進んだのは間違いない。

 一方のNTTドコモは4Gと5Gを別物と考えていたが、スムーズな移行ができておらず、いまだに手を焼いている印象だ。

 Apple Watch対応の5G SAエリアが改めて公開されたが、東京都内でサービスが提供中なのは1カ所のみで、ほかは10月中の提供開始となっている。

 楽天モバイルもプレスカンファレンスで「最強のネットワークを目指す」と宣言したが、5G SAの本格展開はまだまだの状況だ。

 5G SAについて三木谷浩史会長に尋ねたところ「ソフトウェアアップデートで対応できるので、来年中には実現できる」という。現在の5GはNSAであるため、4Gのアンカーバンドを利用している。これが5G SAになれば、アンカーバンドが不要になる。三木谷会長は「アンカーバンドが要らなくなるのは、キャパシティを上げるうえで重要になってくる。5G SAに対して、プライオリティ高くソフトウェアの開発を行っている」とのことだった。

 2026年は「5G SAでどんな差別化されたネットワークサービスを提供できるか」という競争軸に投入するかもしれない。

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