KDDIとローソン、スマホやモバイルバッテリーを回収 発火事故を受け一部店舗で実施
KDDIは10月15日から、使用済みの携帯電話やモバイルバッテリーなどに内蔵されたリチウムイオン電池の店頭回収を行う実証事業に参画する。ごみ収集車や処理施設での火災原因となり社会問題化しているリチウムイオン電池の適切な処理を促し、安全確保と資源の再利用を推進することが目的だ。この取り組みは環境省の事業の一環で、まずは茨城県守谷市内のローソン2店舗で実施する。
KDDIは10月15日から、使用済みの携帯電話やモバイルバッテリーなどに内蔵されたリチウムイオン電池の店頭回収を行う実証事業に参画する。ごみ収集車や処理施設での火災原因となり社会問題化しているリチウムイオン電池の適切な処理を促し、安全確保と資源の再利用を推進することが目的だ。この取り組みは環境省の事業の一環で、まずは茨城県守谷市内のローソン2店舗で実施する。
深刻化する火災事故受け実施
スマートフォンやモバイルバッテリーに不可欠なリチウムイオン電池は、小型で大容量の電力を蓄えられる一方、外部からの強い衝撃で発火する危険性を有している。これらの製品が一般ごみに混入し、収集や処理の過程で圧縮されることによる火災事故が全国で後を絶たない。2020年から5年間で報告されたリチウムイオン電池搭載製品の事故は1,860件に上り、そのうち約85%が火災を伴うものだった。
守谷市でも2024年12月にごみ処理施設でリチウムイオン電池が原因とみられる火災が発生するなど、作業員の安全や施設の安定稼働を脅かす深刻な問題となっている。こうした事態を受け、2026年4月からは資源有効利用促進法の改正により、携帯電話などが「指定再資源化製品」に追加され、メーカーなどによる自主回収と再資源化が義務付けられる見通しだ。
コンビニエンスストアに回収窓口を設ける 法改正に先んじて
今回の実証事業は、この法改正に先んじて、地域住民にとって身近な生活拠点であるコンビニエンスストアに回収窓口を設けることで、リサイクルの促進を図る。実施店舗はローソン守谷松並庚塚店と守谷大柏店で、それぞれ10月15日と12月中旬から2026年1月31日までの期間、店内に専用の回収ボックスを設置する。
このボックスは温度・重量センサーを搭載し、発火リスクを低減する設計が施されており、携帯電話やモバイルバッテリー、加熱式・電子たばこを回収対象とする。事業全体は環境省から業務を受託した三菱総合研究所が事務局を担い、ローソンが店舗での運用を、KDDIが回収された携帯電話などのリサイクルをそれぞれ担当する。
KDDIは2005年から全国のau Style/auショップで使用済み携帯電話の回収を続けており、手作業による丁寧な分解で再資源化率99.8%という高い実績と知見を蓄積してきたという。これまで培ったノウハウを本実証に生かし、レアメタルといった希少資源のリサイクルを推進するとともに、地域に根差した資源循環型社会の実現に貢献したい考えを示している。今後は、本実証の結果を分析し、実施地域の拡大を検討しながら、持続可能な資源循環モデルの構築を追求していく方針だ。
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