ソフトバンク決算は過去最高売上 「純増数にはこだわらない」宮川社長が断行するモバイル事業の“大改造”とは(2/2 ページ)
ソフトバンクの2025年度第3四半期決算は、売上高が過去最高を記録し、通期予想を上方修正した。モバイル事業では短期解約者を抑制し、長期利用者を優遇する構造改革により、純減をいとわない姿勢を示した。AI事業では推論領域への注力を鮮明にし、経営陣の若返りによって次世代への継承と成長加速を図る。
大幅拡大するPayPay、IPOの準備は「順調」
メディア・EC事業は売上高が1%増の1兆2261億円だったが、アスクルのランサムウェア被害による減収影響が636億円で、この影響を除くと7%増となることから、基本的なビジネスは順調との認識を宮川氏は持つ。
営業利益は2%減となる2063億円で、同じくアスクルにおける199億円減益の影響が響いた。これも、アスクル影響を除けば7%の増益になっていたため、「長い目で見ていきたい」と宮川氏は今後の回復に期待する。
ファイナンス事業は売上高が24%増の2954億円、営業利益が103%増の660億円と大幅な伸張。PayPayグループの連結決済取扱高(GMV)も24%増の14.3兆円に達して、連結EBITDAを83%増の791億円まで押し上げた。
順調な業績だが、現時点でPayPayは新規株式公開(IPO)に向けた準備を進めている段階であるとして、好調の理由や今後の施策などについてのコメントはなかった。なお、IPOの時期については言及を避けたが「準備は順調」(同)とのことだった。
「推論AI」をクラウドサービスで提供
ソフトバンクが注力するAI事業では、AI計算基盤の「Brain DataCenter」に自社開発の「Infrinia AI Cloud OS」を導入し、AI計算基盤としてGPUクラウドサービスを貸し出すサービスを4月から開始する。従来、物理サーバを貸し出す際には専門家による初期設定として数週間から数カ月という時間と工数が必要だったが、クラウドサービス化によって即時提供が可能になるとしている。
宮川氏は、AIにおいて豊富な資金で計算資源に投資するOpenAIやGoogleなどが先行する「学習」の領域ではこれ以上追い付けないと判断。それとは異なり「推論」への需要が増加することを予測して、急ピッチで設備投資をして一気にサービス化を実現していく。
「Infrinia AI Cloud OSで海外の事業者と戦えるソブリンクラウドの提供を目指していきたい」と宮川氏。次世代社会インフラとしてクラウド環境サービスを提供する考えで、「“クラウドサービスをやる会社になる”宣言」とした。
1月30日に発表した、同社とソニーネットワークコミュニケーションズとの合弁会社についても説明した。これは、光回線サービスにおけるオペレーションを効率化し収益性を向上させることを目的としている。既存の光回線サービスのうち、NTT局舎内に自前設備を設置する場合に、合弁会社が両社の設備を買い取って保有し、投資効率を向上させる。光ファイバーも共同で利用することになり、1回線あたりの収容効率が上がってコスト削減につながる。宮川氏は「KDDIと作った(5Gネットワークの共同構築をする新会社)5G JAPANの光回線版」と説明する。
また、次世代の経営体制についても言及した。長年宮川氏を支えた「盟友」である取締役会長の今井康之氏、代表取締役副社長執行役員兼COOの榛葉淳氏の異動が発表され、取締役専務執行役員兼CFOの藤原和彦氏も異動予定となっている。宮川氏は「継続的な成長のためには次世代に経営を継承するのも重要なテーマ」としており、既にエンタープライズ事業では今井氏から若手への継承が進んでいたと説明。続いて榛葉氏がカバーしていたコンシューマー事業においても継承を進める。
これによって「大幅な若返り」と宮川氏。退任予定の役員の平均年齢は62歳だが、新任の役員は最年少の44歳を筆頭に平均年齢が52歳となった。もともと、若返りは宮川氏就任当初からの課題だったが、当時は携帯4割値下げの号令によって新体制への移行ができる状況になく、ここまで時間がかかったと宮川氏は説明。その上で、「新執行体制で、成長をこれまで以上に強力に推進していきたい」と意気込んでいた。
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