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iOSとAndroidで「eSIMクイック転送」がついに解禁 iPhoneとPixelで検証、OSの壁はなぜ越えられた?石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

KDDIが国内で初めてiOSとAndroidの間でのeSIM転送機能を提供開始した。最新OSとキャリア側の設備対応により、QRコードを読み取るだけでプラットフォームをまたぐ移行が可能だ。一方で対応機種の拡大やMVNOへの機能開放など、普及に向けた業界全体の課題も依然として残る。

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他社の追随はあるか? MVNOへの開放も課題に

 ただし、現状ではあくまでKDDIのみの機能。ドコモ、ソフトバンクや楽天モバイルでは利用ができず、同じKDDIでも傘下のKDDI Digital Lifeが手掛けるpovo 2.0は非対応だ。楽天モバイルとpovo 2.0は、AndroidのeSIM転送もサポートしていないため、プラットフォームをまたぐのには、まだ時間がかかる可能性がある。

 これに対し、ソフトバンクは対応を検討していることを示唆していた。2025年9月にソフトバンクの専務執行役員 コンシューマ事業統括を務める寺尾洋幸氏は、「課題になっているのはOS間の移行で、ここに対応するにはまだ少し時間がかかる」と語っていた。同時に、「秋(iPhoneやPixelが発売したタイミング)の段階では、まだ誰も対応できていない」として、対応を進めることを示唆していた。


ソフトバンクも、対応を検討していることを示唆していた。その布石なのか、機種変更を伴わないeSIM移行の手数料が1月から無料になっている

 ドコモは、現時点で回答できることはないとしており、対応するかどうかも含めて未定。楽天モバイルは現状、AndroidのeSIM転送も非対応のため、段階を踏むのであれば、まずはプラットフォーム間のeSIM転送よりも、Android同士になる可能性はありそうだ(もっとも、楽天モバイルは他社に比べてeSIMの再発行が簡単なのだが)。

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 また、対応機種をどのぐらいのペースで広げていくかも課題といえる。KDDIのプラットフォームをまたいだeSIM転送も、AndroidはPixel 9シリーズ以降にとどまっており、それ以前のPixelやGalaxy、Xperia、AQUOSなどの端末は未対応。今後拡大していく方針を示しているが、Pixelだけでは不完全だ。スムーズなeSIMの転送を実現するには、一般のユーザーが使う主要なシリーズを網羅する必要がある。


KDDIは、18日からSIMフリー端末(オープンマーケットモデル)向けのIOT(互換性テスト)のオプションメニューに、eSIM転送を加えている。メーカーが利用することで、対応機種が広がる可能性もありそうだ

 さらに、現状ではMVNOが蚊帳の外の状態になっている。iPhoneのeSIMクイック転送をサポートしているのは、KDDI傘下のBIGLOBEモバイルやJ:COM MOBILEのみ。IIJmioやmineoなどの大手MVNOに対しても、eSIM転送は提供されていない。総務省の有識者会議では、こうした状況が競争の支障になっているとして、大手キャリアに開放を求めているが、いつ実現するかは未知数だ。KDDIとApple、Googleの対応で一歩前進したeSIM転送を取り巻く状況だが、この機能が一般に浸透するにはまだまだ時間がかかるかもしれない。


総務省の委員会に、テレコムサービス協会MVNO委員会が提出した資料(参考)。その他の意見の3として、eSIM転送機能の開放が求められている
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