MVNOでもeSIMクイック転送を 「ドコモ、KDDIに働きかけをしている」とIIJ谷脇社長
eSIMを設定メニューから他の機種に移し替える「クイック転送」は、ほとんどのMVNOで利用できない。この機能をMVNOで利用可能にするには、キャリア側が開放する必要がある。IIJは、eSIMクイック転送の機能開放について、ドコモやKDDIに働きかけをしているという。
2025年9月に発売された「iPhone 17」シリーズと「iPhone Air」は、国内ではeSIM専用となっており、SIMカードが使えない。MVNOでもeSIMを提供しているところは多いが、ネックとなるのが機種変更時に「クイック転送を使えない」ことだ。
新しいスマートフォンに機種変更する際、SIMカードはSIMトレイからSIMを移し替えるだけでよいが、eSIMの場合、新たにマイページやショップなどで再発行し、QRコードを読み込んでプロファイルを登録する必要がある。こうした再発行の手間を省く機能が「eSIMクイック転送」だ。
iPhoneやAndroidの一部のメーカーは、設定メニューからeSIMのプロファイルを他のスマホに移行できる「eSIMクイック転送」に対応しており、現在は同じOS間で利用できる。
大手キャリアではeSIMクイック転送を利用できる一方で、この機能はMVNOでは利用できない。例外として、KDDI系列のBIGLOBEモバイルとJ:COM MOBILEのau回線では、iPhone同士でeSIMクイック転送を利用できるが、他のMVNOでは利用できないという不公平な状況が生まれている。eSIMクイック転送は、SIMを発行しているキャリア側が処理するため、MVNOで利用可能にするにはキャリア側が開放する必要がある。
11月7日のIIJ決算説明会で、谷脇康彦社長はeSIMについて「IIJmioではこれまで、eSIM対応を丁寧に取り組んできた。そうした取り組みをご評価いただき、iPhone 17でIIJmioを選んでいただける方もいらっしゃる」と話す。
一方でeSIMクイック転送については「私どもだけではどうしようもなく、キャリアさんからこの機能を開放していただく必要がある。その働きかけは、私どもからNTTドコモさん、KDDIさんに対して今行っている。なるべく早く実現できるよう、ご理解いただきながら前に進めていきたい」と説明する。
eSIMクイック転送が利用できれば再発行の手間を短縮できるが、気になるのは手数料の扱いだ。現在、キャリアが提供しているeSIMクイック転送ではeSIMの再発行手数料は発生しないが、クイック転送でもキャリアのシステムを介してeSIMを再発行しているため、一定のコストは掛かっているはず。
仮にキャリアと同様、eSIMクイック転送がMVNOでも無料になれば大きなメリットになる。現在、MVNOでeSIMに変更、再発行するには手数料が掛かるケースが大半だからだ。例えばIIJmioの場合、物理SIMからeSIMへの変更は、SIMの交換と同等の扱いになり、2200円の手数料が発生し(11月20日まではキャンペーンで無料)、eSIMの再発行には220円〜433.4円の手数料が発生する。
MVNOに開放後も手数料がどのような扱いになるかは不透明だが、開放も含めた今後の進展を待ちたい。
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