ソフトバンク「Natural AI Phone」5つの疑問 なぜスマホを開発? 誰にどうやって売るのか(1/2 ページ)
ソフトバンクは米Brain Technologies開発のAIスマホ「Natural AI Phone」を4月24日に発売する。OSレベルでAIを統合し、アプリを横断した操作やユーザーの好みに応じた提案を可能にする。既存のAIスマホとの差別化や、メイン端末としての普及に向けた課題など、同機の戦略と展望を整理した。
米国のスタートアップ、Brain Technologies(以下、Brain)が開発したスマートフォン「Natural AI Phone」を、ソフトバンクが4月24日に発売する。
Natural AI Phoneは、独自のAI機能「Natural AI」を搭載したスマートフォン。ユーザーに代わってアプリを操作して情報を取得し、次のアクションを提案するという、ユーザーに寄り添った機能を特徴としている。
一方、GeminiやChatGPTをはじめとしたAIエージェント機能はスマートフォンでは標準的な機能になりつつある。iPhoneの「Apple Intelligence」やGalaxyの「Galaxy AI」など、メーカーも独自のAI機能を実装している。そんな中でなぜ、ソフトバンクは独自のAIスマートフォンを投入するのか。また、Natural AIは既存のAIエージェントとは何が違うのか。疑問を整理したい。
疑問1:なぜAIスマホを開発したのか
ソフトバンクは、コンシューマー向けのAIについて「一部の人のツールではなく、全ての人々の日常に寄り添うべき存在」を目指すと、プロダクト本部 本部長の足立泰明氏は話す。
生成AIは知っているが、どう使っていいか分からないという声が多いことを受け、スマホのロック画面にニュースを表示したり、洋服のコーディネートを楽しんだりできる「glance」を提供し、AIによる画像生成や画像合成などのサービスを体験できる「だれでもAI」も提供開始した。
Natural AI Phoneも、こうした考え方の延長線上に存在するデバイスだ。AIエージェントそのものをスマートフォンに搭載する方法もあるが、従来のAI機能は「アプリごとに閉じた形になる」と足立氏。複数のアプリを起動せず、より深い連携をするには「OSレベルに組み込む必要がある」と考え、デバイスの開発に至った。
「アプリからAPIを介したサービスでは制限があるが、制限を取り払うには最初から組み込む方がいいので、AIフォンという形を取った」(足立氏)
AI機能を実装するデバイスは、ウェアラブルやロボットなども候補になるが、なぜスマートフォンなのか。Brainのジェリー・ユー(Jerry Yue)CEOはタッチパネルの存在を挙げる。
「手を使ってものを触るのが自然で、人間に近い姿だと思う。タッチスクリーンが成功した理由はここにある。このタッチスクリーンは、向こう5年~10年はなくならない。手や脳の延長にあるものとして、どんな形状が優れているか考えたときに、タッチスクリーンがいいと考えた」(ジェリー氏)
疑問2:メーカーはどこ? ソフトバンクとBrainの共同開発?
Natural AI PhoneのメーカーはBrainであり、ソフトバンクは具体的なスペックについて協議したパートナーという位置付けだ。日本仕様についてもアドバイスし、FeliCa(おサイフケータイ)にも対応している。
端末の製造自体は、「世界でも秀でたスマートフォンを開発している」(ジェリー氏)という外部のパートナー企業に委託している。
Brainは、2024年にドイツテレコムと協業し、AIフォンのコンセプトモデルを発表しており、この時点でNatural AI Phoneのベースは出来上がっていたものと思われる。
ソフトバンクは米国のシリコンバレーのスタートアップを訪問し、AIエージェントを開発できるパートナー企業の発掘を進めていた。当初は「デバイスありきではなかった」(足立氏)が、米国のスタートアップ経由でBrainを紹介してもらい、AIフォンの開発がスタートした。
Brainにとって、Natural AI Phoneはスマートフォン初号機となる。日本のソフトバンクが世界初の発売国とキャリアになり、国内では1年間、ソフトバンクが独占販売する予定だ。ジェリー氏によると、2026年中に数カ国で展開する予定で、その1つに米国が含まれるという。
疑問3:Natural AI PhoneならではのAI機能とは?
Natural AI Phoneには、AIエージェント専用のホーム画面を搭載しており、ここから調べ物をしたりタスクを依頼したりできる。GeminiやChatGPTなど専用のアプリを起動する必要がなく、ホーム画面から使い始められる。
側面のAIキーを押すと、表示している画面から次のアクションを予測して提案してくれる。例えばInstagramで投稿されたレストランの写真を表示してAIキーを押すと、そのお店の場所やメニューを調べる、食事のお誘いについてのLINE画面でAIキーを押すと、予定に登録してくれるといった具合だ。スクリーンショットを撮る必要もなく、ワンタッチで次のアクションに移行できるのもメリットといえる。
調べ物をする際は、対応するアプリに飛ばすのではなく、対応するアプリから取得できる情報をNatural AI上で整理して表示する。このように、AIが最適なUIを自動生成する「Generative interface」も特徴の1つだ。
Natural AIからスケジュールを確認した上で、任意の相手にメッセージを送信するよう依頼することもできる。こうした操作は本来、複数のアプリを経由するものだが、Natural AIならアプリを起動することなく、複数のアクションを完結できる。
2026年4月時点で、Natural AIに対応するアプリはGmail、Google マップ、Google カレンダー、YouTube、LINE、食べログ、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング。今後、対応アプリは順次拡大していく予定だ。ただし決済を伴う操作はユーザーが決定するものなので、金融サービスは実装しない方針としている。
Natural AIは使うほどにユーザーを理解し、実際のアクションをベースにユーザーの嗜好(しこう)をインプットする。蓄積した記憶を活用する際に、その旨が表示され、ユーザーが選択できるようになっている。また、蓄積した記憶はユーザー情報の設定から個別に削除することも可能だ。
このユーザーを理解する仕組みは、他のAIエージェントにはない「一番の特徴」だと足立氏はアピールする。なお、蓄積したユーザーのデータはAIモデルの学習には使用せず、データはローカルと、日本国内のクラウドで管理する。
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