ソニーが「Xperia 1 VIII」で方針転換を図った理由 一般層に間口を広げるも、23万円超の価格がネックに:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
ソニーは望遠カメラの刷新やAIカメラアシスタントを搭載したフラグシップ「Xperia 1 VIII」を発表した。クリエイター向けからライト層へ間口を広げた背景には、Xperia 5シリーズの事実上の終了に伴うラインアップ集約がある。一方、最小構成で23万円超への値上げは、一芸を重視する他社ハイエンド競合の中で販売への大きな挑戦となる。
ソニーは、Xperia 1シリーズの最新モデルとなる「Xperia 1 VIII」を発表した。Xperia 1は、Xperiaのフラグシップに位置付けられる製品で、カメラ、映像、音楽にソニーの技術を詰め込むことを売りにしてきた。最新モデルのXperia 1 VIIIでも、この方針は継続しており、望遠カメラのセンサーに1/1.56型の比較的大きなセンサーを採用。3つのカメラにRAWの重ね合わせ処理を入れ、画質を向上させた。
Xperia 1 VIIIでは、よりユーザーの間口を広げる機能も搭載されている。写真の彩度や明るさなどを自動で調整する「クリエイティブルック」を自動適用したり、画角やボケの提案をしたりする「AIカメラアシスタント」が、それだ。公式サイトなどのキャッチコピーでは、望遠カメラ以上にこの機能をアピールしている。構図や設定に自信のないユーザーには、便利な機能といえる。
もともとXperia 1シリーズはフラグシップモデルとして、クリエイターのコンテンツ制作を助ける道具と位置付けられてきた。一方で、AIカメラアシスタントは、撮影にあまり慣れていない初心者のユーザーに向けた機能のようにも見える。Xperia 1 VIIIで、何か戦略の転換があったのか。ソニーのスマホに対するスタンスを読み解いていく。
望遠カメラ刷新でデザインもリニューアル、売りとして打ち出したAIカメラアシスタント
Xperia 1 VIIIでは望遠カメラを刷新し、センサーサイズを先代比で4倍に拡大。RAWのままでの重ね合わせ処理を行うことで、全てのカメラの画質を向上させた。そのアップデートに伴い、デザインを変更。「Xperia 1 II」以降、同シリーズのトレードマークにもなっていた背面端の縦に3つ並んだカメラのデザインを変え、スクエアな台座の上に、2×2でレンズが入るスペースを取ってそれぞれのカメラを配置した。空いたスペースには「Sony」のロゴが入る。
Xperia 1 VIIでは左上の端にあった超広角カメラがXperia 1 VIIIでは広角カメラの右隣に移動したので、超広角撮影時でも指が写り込みにくくなった。スピーカーも上下(横にした場合左右)で同じものを搭載できるようになり、より音量が上がった他、低音や高音が改善されて音の解像感が高まっている。機能的には「Xperia 1 VII」から正統進化している部分も多いが、それに合わせて設計を大きく変え、フルモデルチェンジを果たした格好だ。
1月にイメージングコミュニケーション事業部門 事業部門長に就任した大澤斉氏は、「3眼全てがフルフレーム並みの暗所性能」と、その実力をアピールする。確かに、暗所で望遠カメラを使って人物を撮影しても、前モデルのXperia 1 VIIよりノイズが少なく、人の肌も滑らかに表現できている。背景の照明が、キレイな玉ボケになっているのも、新しい望遠カメラの実力といえる。
その望遠カメラ以上にソニーがアピールしていたのが、新機能のAIカメラアシスタントだ。この機能は、Xperia 1 VIIIの開発コンセプトにもつながっている。大澤氏は、同機を紹介する際に「新しいフラグシップのXperia 1 VIIIは、感性とテクノロジーの距離をできるだけ近づけ、撮ることをもっと自然に楽しめるようにしたいという思いから生まれた」と語っている。その自然な撮影ができるのが、AIカメラアシスタントというわけだ。
AIといっても、生成AIで撮った絵そのものを大きく編集してしまうのではなく、この機能はあくまで“助手”に徹している。もともとデジタルカメラの「α」に搭載され、Xperiaにも受け継いだ「クリエイティブルック」を被写体に合わせてワンタップで適用するというのがその中身。これに加えて、レンズの変更や背景ボケの提案をしてくれるのがAIカメラアシスタントの全体像だ。
GoogleのPixel 10シリーズには「カメラコーチ」と呼ばれる機能があり、構図や画角、ポートレートモードなどの使用を提案する。Xperia 1 VIIIのAIカメラアシスタントでは構図の提案までは踏み込んでいないものの、設定の変更をワンタッチで済むようにしているのが特徴だ。両機種ともに、AIはあくまでユーザーの撮りたいであろうイメージを実現するために補助する存在で、写真そのものを生み出すものではないという点で共通している。
ただし、AIカメラアシスタントは、まだ導入したばかりの機能で、不完全な部分もある。個人的には、レンズ選択のアシスタントが出づらく、さり気なさ過ぎて目立たないところが気になった。「画作りには、ソニーが長年培ってきた膨大なデータを解析した」(同)というが、「フィードバックもいただき、この後どんどん進化させていく」(同)といい、今後も継続的にアップデートしていく方針だ。
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