「広告多い」「起動遅い」Rakuten Linkの使い勝手は改善する? my 楽天モバイル統合で巨大化するアプリの今後
楽天の無料通話アプリ「Rakuten Link」は人気だが、広告や使い勝手に不満の声もある。なぜアプリに広告が詰め込まれているのか、今後使い勝手が改善される見込みはあるのかが焦点だ。5月のメディア向け勉強会での担当者の発言から、アプリの今後の位置付けと展望を探っていく。
楽天モバイルの最大の特徴ともいえる、国内通話が無料でかけ放題となるスマートフォン向けアプリ「Rakuten Link」。通話料を大幅に節約できる強力な武器として多くのユーザーに支持されている一方で、インターネット上ではアプリ内の広告や使い勝手に関して厳しい声も少なからず挙がっている。
なぜ通話アプリに広告や他サービスへの導線が詰め込まれているのか、そして使い勝手が改善される見込みはあるのか――。2026年5月26日に開催されたメディア向けの説明会での担当者の発言や質疑応答の内容から、楽天モバイル側のアプリへの位置付けと今後の展望を探る。
ネット上で噴出する「広告の多さ」と「起動の遅さ」への不満
「お困りごと解決!みんなの楽天モバイルコミュニティー」やアプリストアのレビューなどのインターネット上の声をまとめると、Rakuten Linkのメリットとして通話料無料が高く評価される一方で、多機能化に伴う不便さへの不満が多く見受けられる。
目立つ不満の1つが広告表示に関するものだ。ユーザーからは、月額料金を支払っているのに広告が付くのがふに落ちない、メッセージ(チャット)の一覧画面の間にバナー広告が挟み込まれて見づらいといった声が挙がっている。また、通話終了後や着信履歴を開いた際にもポップアップ形式の広告が表示されることや、「Rakuten Linkお得通信」といった公式からのSMS広告が頻繁に届くことに対し、配信を停止したいという要望も多い。
さらに、アプリの使い勝手の悪化を指摘する声も目立つ。以前はアプリを起動してすぐに通話ができていたが、アップデートによってホーム画面やキャンペーン情報、広告が表示されるようになったため、急いでいるときにすぐに電話がかけられずストレスを感じるといった意見が寄せられている。
こうした現状に対し、ユーザー側も独自の自衛策を講じている。広告表示や、時に発生する着信の不具合を回避するために、普段はアプリからログアウトしておき、自分から電話をかける発信時のみログインして使うユーザーや、Android端末において非公式のサードパーティー製サポートアプリを導入し、スマートフォンの標準電話アプリから直接Rakuten Link経由で発信できるように工夫しているユーザーもいる。
一方で、データ容量を消費せずに無料で通話ができるメリットは絶大だ。ユーザーの中には広告は無料通話の代償として仕方がない、他社回線へ通話する際の接続料(アクセスチャージ)を楽天側が負担していることを考えれば、広告による収益化は諦めるしかないと、楽天側の事情に一定の理解を示す冷静な意見も見られる。
楽天モバイルの狙いは? 電話アプリではなくスーパーアプリへの進化
ユーザーがシンプルにすぐ電話がかけられるアプリを求めているのに対し、楽天モバイル側はRakuten Linkをどのように位置付けているのか。楽天グループのマーケティングディビジョン グループエコシステム戦略統括部で執行役員 ディレクターを務める渡邉昌資氏は、以下の通り話す。
Rakuten Linkはもともと通話、メッセージ機能を中心としたスーパーコミュニケーションアプリとしてスタートしているわけだが、その後いろいろな機能拡充やUI/UXの改善などを通じて、今では楽天エコシステムのスーパーアプリとして進化してきている。
渡邉氏は、契約者がRakuten Linkを通じて、楽天の他サービスをシームレスに利用するための入り口にしていきたいと語った。
楽天グループ エコシステムプロダクト戦略企画部のシニアマネージャーである山田浩史氏も、楽天エコシステムとの連携について強調した。山田氏によれば、Rakuten Linkは楽天モバイルユーザーと楽天エコシステムをつなぐ架け橋のような存在だ。アプリ起動時に表示されるホームタブは、楽天グループのさまざまなサービスへシームレスにアクセスできるよう戦略的に設計されているという。
実際に、2025年に5回開催された「楽天モバイル最強感謝祭」では、Rakuten Linkのホーム画面をジャックすることで各サービスへの送客を大幅に強化した。その結果、2025年12月にはRakuten Linkから楽天グループサービスへの送客回数が月5000万回を超えるなど、エコシステムの拡大に大きく貢献していることが分かったという。
つまり、ユーザーが通話の邪魔になると感じているホーム画面のバナーや他サービスへの導線、そして広告は、楽天モバイルが無料でサービスを提供しつつ、楽天経済圏全体で収益を上げるための戦略の要そのものなのだ。
通話機能にアクセスしづらいという声への対応は?
では、エコシステムへの送客を重視するあまり、本来のコミュニケーション機能が使いづらくなっているという課題に対して、楽天側は改善する見込みなのか。例えば、電話の画面をデフォルト(初期表示)にするといった方法は考えられているのか。
この問いに対し、山田氏は以下のように回答した。
Rakuten Link自体はもともと通話アプリ、メッセージアプリが主の機能だったが、ホームタブ提供後も、私たちが見る限りしっかりと通話やメッセージをご利用いただけている。アクセシビリティー(通話機能へのアクセスしづらさ)についてのご意見は確かに出ているが、起動してすぐに通話メニューが開くよう改善するかどうかは、現在のところまだ検討段階としか答えられない。
楽天モバイル側は、通話メニューにアクセスしづらいというユーザーの声を認識してはいるものの、現状の仕様でも通話機能自体は十分に利用されていると評価しているようだ。
「my 楽天モバイル」アプリの全機能をRakuten Linkに統合
現状の公式見解を見る限り、広告の大幅な削減や、送客用のホーム画面を廃止してシンプルな電話機能に戻すといった改善の可能性は、短期的には薄いと言わざるを得ない。
むしろ、Rakuten Linkのスーパーアプリ化は今後さらに加速していく。2024年10月からは、悩み相談や商品検索ができるチャット形式のAIサービス「Rakuten Link AI」が標準搭載されている。楽天モバイル Link部 シニアマネージャーの山田彩氏によると、2026年7月頃からは、データ利用量や月額料金の確認ができる「my 楽天モバイル」アプリの全ての機能が、Rakuten Linkアプリ内に統合される予定だという。
国内通話が無料で使い放題になるという、他社にはない圧倒的なメリット。それを維持するためには、楽天が推進するエコシステムへの送客導線や、広告の表示を受け入れる必要があるというのが、現在のRakuten Linkのビジネスモデルの現実だ。
アプリがさまざまな機能を内包し、名実ともに楽天サービスの入り口となる巨大なスーパーアプリへと突き進む中で、電話という基本機能の利用をいかに阻害せずにUIを洗練させていくか。通話の使い勝手と収益化のバランスをどう取っていくのかが、今後のRakuten Linkに課せられた課題といえる。
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