新生「ドコモ・フィナンシャルグループ」本格始動 強みのドコモショップを生かし“やさしい金融”を訴求(2/2 ページ)
NTTドコモ・フィナンシャルグループが7月9日、設立に関する記者会見を開催した。発表会では、従来の金融サービスにおいて課題となっていた難しい手続きや、身近に相談できる場所がない問題を解決する、生活者目線の「やさしい金融」への取り組みを紹介した。日常の決済を起点に各サービスがシームレスに連携し、安心でおトクな金融体験を強力に推進していく構想だ。
ドコモショップを合わせた有人店舗網を、5年間で1500店舗以上に拡大
ドコモ・フィナンシャルグループは、全国のリアル店舗とデジタル技術を融合させた独自の強みを持つ。廣井氏は、質疑応答でドコモの携帯電話契約顧客基盤以外の強みを問われ、次のように回答した。「われわれが持っているドコモショップのリアルチャネルは、かなり効果があるのではないか」と廣井氏。この店舗網こそが強みであり、選ぶ価値の1つになるはずだ。
「それらに加えて、われわれはd払いやdカード、それから携帯電話の使い方を含めて、非常にお客さまの生活を捉えた形でのデータがある中で、非常に有効なアドバイスができるのではないかと考えている。これらを活用し、お客さまに寄り添ったきめ細かい提案が可能になる点が、われわれならではの大きな強みだと認識している」と廣井氏は語る。
リアルなサポートの拡充として、ドコモショップでの金融サービス取り扱いが拡大する。既に一部店舗ではマネックス証券口座やNISA口座の開設を支援している。8月からは、ライセンスを取得した店舗でドコモの銀行の口座開設や初期設定のサポートも開始する。店舗スタッフが操作を案内するため、初心者の不安を取り除くとしている。
住信SBIネット銀行の円山法昭社長も、リアル店舗の拡大計画に言及。「住宅ローンなどのフル機能を取り扱う銀行代理店店舗を現在の75店舗から150店舗へ拡大する」と同氏。ドコモショップを合わせた有人店舗網を、5年間で1500店舗以上の規模に広げるとしている。ネットとリアルを融合し、より多くの人に便利で安心な銀行サービスを提供する構えだ。
デジタル面でのアプローチとして、ドコモグループは金融AIの開発を進める。廣井氏が紹介した金融AIは、通信や決済を通じて蓄積した膨大なデータに基づき、顧客一人一人の価値観やライフスタイルを最初から理解する。AIは日々の行動データを自動で連携し、お金の流れを可視化する。これにより、ユーザーは自身の状況を自然に把握できる。
このAIは、顧客の趣味や志向を考慮しながら、無意識な支出を抑えるアドバイスやポイントがたまりやすい買い物プランを提案する。「このAIが顧客の価値観と金融をつなぐ存在になる」と廣井氏。「AIは利用状況に応じて継続的に学習し、提案の精度を高めていく」そうだ。
他社サービスとの連携でドコモ経済圏以外にも広がる金融サービス
ドコモ・フィナンシャルグループは今後の事業展開において、パートナー企業への金融フルサービスの展開を見込む。同グループはスマートライフプラットフォームという仕組みを通じ、金融サービスをBaaS(Banking as a Service)の形でパートナー企業へ提供する。パートナー企業は自社のサービスに同グループの金融機能を組み込み、独自のお客さま向けサービスを展開できる。
この取り組みの第一歩として、ドコモおよび住信SBIネット銀行がタイミーと基本合意を締結している。今後もさまざまな企業との提携を進め、決済データに基づく即時与信によるレンディングなど、次世代の決済や金融領域全体への展開を目指す。ドコモ・フィナンシャルグループはこれらの積極的な展開により、2025年度に5965億円だった金融領域の収益を2030年度には1.2兆円へと倍増させる目標を掲げる。
ドコモとしては、携帯電話契約のいわば「顧客基盤」を保有しているが、これを金融サービスにどう生かしていくのかも、目標達成のための鍵になるだろう。
廣井氏は、「われわれドコモの銀行、それからマネックス証券、ドコモ・ファイナンスなどのお客さまは完全に被っているわけではないので、相互送客を進めていく」としている。さらに、「法人営業やBaaSの展開を通じて、ドコモサービス以外の他社サービスを使っているお客さまがわれわれの間接的なユーザーになることも可能だ」(廣井氏)という。このような形を取ってユーザー拡大を目指す。
PayPayに楽天グループに……と、携帯キャリアの経済圏争いが激しさを増す中で、ドコモ・フィナンシャルグループはやさしい金融を多くの人の手に届けられるのか、ユーザーの反応を含め今後の成長に注視したい。
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