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スマホをタッチせずに改札もレジも通過 日本で広がる「UWBタッチレス決済」最前線(3/3 ページ)

UWB技術を活用した公共交通のタッチレス改札やバス乗降、小売店決済の実用化に向けた動きが国内で加速している。FiRa ConsortiumにはJR東日本やソニーに加え、りそなやJCB、小田原機器、ゼンショーも参画し開発が進む。スマホのモバイルウォレット連携やJR西日本の動向も含め、2028年度の商用化へ向け水面下の連携が活発化している。

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FeliCaの仕組みでUWBの活用が可能になる? スマホの連携にも注目

 FiRa Consortiumに参加している企業のメンバー表を見ることで、どういった業界でどの会社がUWBの実装に向けて動いているのかが分かるメリットがある。UWBそのものは、もともと中近距離での高速通信技術としてデビューしたものだが、どちらかといえばToF(Time of Flight)というデバイス間の距離を最大誤差数センチ程度で正確に計測できる性質に近年では注目が集まっている。

 これを利用した屋内での位置計測や、「リレーアタック」などのハッキング行為が問題となっている車のスマートキーのセキュリティを高める技術としての応用が盛り上がっている。NFCと比べて通信距離が最大で数メートルから数十メートルと長く、デバイス同士を接近させなくても大容量のデータ交換ができる点も特徴だ。これにより、前出の「近づいてチェック」のような離れた場所にいても決済に必要な事前情報をやりとりできるなど、さまざまな応用が可能になる。


UWBではデバイス間の正確な距離を計測できる

 これらの性質全てを合わせることで、例えば家やホテルのドアキーの代わりとしてスマートフォン経由でUWBを利用したり、店舗での決済や公共交通の利用に活用したりと、さまざまな形での社会実装が模索されている。特に決済においては、JCBの他にVisaやMastercardで知られる国際ブランドが業界標準を定めるEMVCoが“リエゾン”という形でFiRaと連携しており、UWBを通じた決済の国際標準仕様がまとめられつつある。

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UWBの社会実装の例。既に各分野で実装に向けた動きが進んでいる

 UWBはスマートフォンなどのデバイスに組み込んで利用する形になるため、NXPを含む半導体を取り扱う部品メーカーが多く参加しているが、これらをスマートフォンなどのデバイスのOSから制御するため、AppleとGoogleの2大プラットフォーマーもFiRaのメンバーとして参加している。

 これは現在のNFCがそうであるように、スマートフォン内のセキュアエレメントからデバイスに搭載されたUWBのコントローラーを通じてUWB通信を制御できる仕組みを将来的に構築し、Apple PayやGoogle PayのようにUWBによる各種支払い手段をモバイルウォレット上から管理できる仕組みを準備しつつあることを意味する。

 情報源によれば、ソニーもまたFeliCaの仕組みでこれを実現するためにAppleやGoogleと水面下での作業を進めているとのことで、2027年にもJR東日本が本格的な実証実験をスタートしようとしている「UWBタッチレス改札(ウォークスルー改札)」で、(作業が間に合えば)テスト用端末ではなく“実機”を使った実証実験が可能になるかもしれない。


FiRaのメンバー表にはAppleとGoogleの名前もある

 また、FiRaのメンバー表には出てきていない“隠れパートナー”の存在にも注目したい。筆者の情報源によれば、大手鉄道会社2社が既に水面下で参加あるいは参加に向けた準備段階にあるという。この他、銀行業参入を含むキャッシュレス決済の加盟店開拓においてJR西日本とりそなホールディングスが提携しているが、これは既にFiRaのメンバーになっているりそなを介して、間接的にJR西日本がUWBの社会実装に向けた動きに関与してくる可能性が高いことも意味している。

 先日都内で開催されたJR西日本の社長会見では同件について質問があり、代表取締役社長の倉坂昇治氏はこれに関して特に否定もしていない。JR東日本を含む今回紹介した各社の動きが本格化するのは2027年以降となり、実際の商用サービスが登場するのは2028年以降とみられるが、今後しばらくは直接的なもの、そうでないものも合わせて断片的なニュースが出てくることになるので、興味のある方はぜひこの視点からウォッチしてみていてほしい。


JR西日本 代表取締役社長の倉坂昇治氏

JR西日本がりそなホールディングスとの提携で目指すもの。経済圏を広げるために、りそなのリテール事業に強いノウハウを活用していくという
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