携帯で通話するだけでAIが業務代行、カスハラ判定も アドバンスト・メディアが「AmiVoice Mobile Genie」発表(1/2 ページ)
アドバンスト・メディアが法人携帯の通話をAIで自動解析する新サービスを発表した。通話後に特別な操作をすることなく、要約作成やCRM連携、メール作成などを自動処理する。番号や端末を変更せず、大手キャリアの回線をそのまま活用できるのもメリットだ。
アドバンスト・メディアが10月27日、法人向け携帯電話の通話音声をAIで自動解析し、要約や業務システムへの連携を行う新ソリューション「AmiVoice Mobile Genie(アミボイス モバイル ジーニー)」を発表した。11月2日から提供する。
Web会議やコールセンターでは音声のテキスト化やAI要約が急速に普及しているが、外回りの営業職などが利用する法人携帯の通話内容は録音・蓄積されず、担当者個人の記憶やメモに依存する「属人化」が課題となっていた。同社はこの点に着目し、音声認識と生成AIを組み合わせたサービスを提供する。
携帯通話は「AIが届いていない巨大な業務領域」
アドバンスト・メディア 執行役員 兼 CTI事業部 部長の今宮元輝氏は、国内企業における生成AI活用が進む一方で、「現場の日常業務への定着」に大きな壁があると指摘した。「プロンプト入力の手間やツールの切り替えが発生すると、現場へ定着しづらくなる。定着させるには、ユーザーがAIを意識せず、日常の行動の中で自然に使われている状態が必要になる」
さらに法人携帯の市場環境について、国内の法人契約スマートフォンが1600万件を超えている現状(MM総研調べ)に触れつつ、その通話データが活用されていない現状を問題視する。
「商談や日程調整、クレーム対応など、ビジネスの最前線の会話が携帯電話の上で交わされている。しかし、その多くは録音も蓄積もされず、組織が把握できない。携帯電話の会話は、生成AIがまだ届いていない巨大な業務領域だ」(同氏)
Web会議やコールセンターと異なり、携帯電話の通話は相手や用件、形式が多種多様で、事前にAI活用のルールを定義しにくい。そこでAmiVoice Mobile Genieでは、AIが通話内容を自ら判断し、必要な業務処理を自動選択するアプローチを採用した。
話すだけでCRM連携、メール下書きの自動生成も
AmiVoice Mobile Genieの利用イメージは「いつも通り携帯電話で通話するだけ」だ。ユーザーが特別なアプリを操作したり、通話後にプロンプトを入力したりする必要はない。
通話音声はギークフィードが提供する通話録音サービス「YouWire」経由で保管され、アドバンスト・メディアの音声認識エンジン「AmiVoice」でテキスト化される。その後、生成AIが内容を解析し、後続の業務システムへとデータを引き渡す。録音以降の処理は全てAWSの国内リージョンで完結し、通話データが海外に転送されることはない。
発表会では、実際に今宮氏が3つのシチュエーションで通話をしながら、どのように解析されるのかを実演した。
商談・日程調整
顧客との通話終了後、AIが商談と判定して要約を作成。SalesforceなどのCRM/SFAへ自動登録する他、通話内で合意した次回訪問日時をOutlookのスケジュールに自動登録し、顧客宛てのフォローメール下書きまで自動生成した。
コンプライアンスチェック
金融商品の案内において「元本割れのリスク」を説明せず契約を急かすような会話を検知。AIが「重要事項の説明不足」と判断し、発話箇所を特定した上で管理職へ自動通知する。
カスタマーハラスメント(カスハラ)判定
配送遅延に対する顧客からの過度な要求やどう喝を検知。通話内容からカスハラの危険度レベルを判定し、配送遅延の原因分析や、今後の対応改善案を含めたレポートを自動出力した。
既存番号やキャリア回線を変えずに導入できる
他社サービスに対する優位性について、今宮氏は「既存環境を変えずにワンストップで提供できること」を強調する。
回線や端末の乗り換え、専用ネットワークでの通話を必須とするサービスもあるが、AmiVoice Mobile Genieはドコモ、KDDI、ソフトバンクの3大キャリアであれば、契約や電話番号をそのまま引き継いで利用できる。アプリを用いず、携帯電話の通話音声を活用する仕組みのため、iOSやAndroidのスマートフォンに加え、従来型ケータイでも利用できる。なお、本サービスを利用できるのはMNOの回線のみで、MVNOの回線は利用できない。
楽天モバイルでも通話録音データを活用した文字起こしや要約、業務システム連携などの機能を利用できるが、楽天モバイルは送話と受話が分離されていないモノラル録音方式のため、発話者を分離して認識することはできない。そのため、発話者の識別を前提とした機能には制限があるという。ドコモ、KDDI、ソフトバンクは、送話と受話で音声が分離されているステレオ録音を採用している。
4キャリアの音声回線を用いるが、携帯キャリアは「通信の秘密」に抵触するため、自社で音声通話の録音ファイルを保存することはできない。そこで、録音した音声ファイルはギークフィードのクラウドサービスに保存される。端末に内部ストレージに保存されることはない。1回あたりに録音できる時間は30分や1時間など、キャリアの通話録音サービスの仕様に準じる。
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