Genspark、KDDI Biz Edgeと提携 スマホだけで仕事を終わらせる「Mobile Work AI」を掲げ、2027年1月から中小企業に販売
GensparkとKDDI Biz Edgeが戦略的パートナーシップを結んだ。KDDI Biz Edgeは2027年1月からGensparkを中堅・中小企業に販売し、スマートフォンだけで仕事を終わらせる「Mobile Work AI」を掲げる。
米シリコンバレー発のGensparkは11月5日、組織向けのナレッジ基盤「TeamBrain」の提供開始と、KDDI Biz Edgeとの戦略的パートナーシップを発表した。同社のAIワークスペース「Genspark」は、ChatGPTやGeminiなど100以上のAIモデルを使い分けながら、指示に沿って調査や資料作成を進める。日本の法人契約数は約2500社を超えた(2026年5月末時点の同社集計)。
KDDI Biz EdgeはKDDIの100%子会社で、全国41拠点から中堅・中小企業に通信やオフィス環境を提案してきた法人向けの販売会社だ。同社は2027年1月からGensparkの販売と導入支援を始め、同日から特設サイトで先行予約を受け付けている。両社はスマートフォンだけで仕事を終わらせる働き方を「Mobile Work AI」と呼び、提携の柱に据えた。
法人でのAI利用は15%、スマホからは3.4%
個人の生成AI利用率は1年で27%から59%に増えた一方で、法人向けの生成AIサービスを使う企業は15%にとどまる(ICT総研の2025年7月調査)。KDDI Biz Edgeの落合孝之社長は、情報処理推進機構の調査でAI導入率が従業員1001人以上の企業では78%なのに対し、300人以下では25%だと示し、中堅・中小企業にはAIの恩恵が届いていないと話した。
Gensparkの法人ユーザーでも、モバイル経由の利用は3.4%にとどまる。同社はこの数字を、現場や外出先で使えるAIがチャットだけで、業務に組み込めるサービスがなかった根拠として示した。
Mobile Work AIは、現場や移動中にスマートフォンから音声やチャットでAIエージェントに仕事を頼み、成果物まで受け取る使い方を指す。データとエージェントはGensparkのクラウド上にあり、端末にはデータを残さない。入り口はGensparkアプリの他、人とエージェントが同じ場所で働く「GenTeam」のアプリ、LINE WORKS with KDDI、Slack、Google Chat、Teamsといった普段のチャットからも使える。
想定する場面は、営業なら商談中の音声記録から議事録と日報を作る、移動中に社内データベースを引いて提案書を作らせるといったものだ。建設や製造なら高所でも作業記録を残し、報告書を作って関係者に展開するところまでスマートフォンで済ませる。営業、建設、不動産、介護など業界別のソリューションも両社で開発する。
KDDI側から持ちかけた提携、契約はスマホと別
発表会後の取材で落合氏は、スマートフォンを契約する既存顧客に「アドオンできるAIはないのか」と探していたのが始まりで、KDDI Biz Edge側から声をかけたと明かした。幹部が先行して試し、社内で使っているビッグテックのグループウェア付属のAIと比べて、業務特化の用途で使いやすく精度が高いと判断したという。
Genspark側はこれまで直販で大企業を狙ってきた。エンタープライズセールスリーダーの中島隆行氏は「ふたを開けてみると地方の企業あるいは割と中堅の企業も結構ニーズがあり」、自分で申し込んで使い始める企業が続いたと語る。現場にAIを届けるには「通信キャリアベースのパートナーしかいない」と考え、提携に応じた。
提供形態は、スマートフォンの回線契約とは別の契約で始める。他社のスマートフォンを使っている企業にも提供でき、端末とのセット割引は今後の需要を見て検討する。KDDI Biz Edge経由の価格は明らかにしていない。
落合氏は、KDDI Biz Edgeとして販売目標を社内で持っているが、1月以降の販売状況を見てから妥当性を確かめるとして公表しなかった。KDDI Biz Edgeは24時間365日、Genspark専用のチャットbotで使い方の質問に答える体制を用意する。
KDDIのコンシューマー向けサービスに広がる可能性について落合氏は、KDDIグループにはビッグテックのAIを含む多様な商材があり全体のバランスを見る必要があるとして、当面は中堅・中小企業を中心とした法人向けに集中すると答えた。顧客からはAIを単体で入れたいというより構築が難しいという声を聞くとして、KDDIグループのセキュリティ商材と組み合わせて提案していくと補足した。
TeamBrainは組織の文脈をAIに渡す
Gensparkが同日に提供を始めたTeamBrainは、資料、メール、議事録、チャットを取り込んでAIが自動で整理し、人とAIエージェントが参照できる形にする組織向けのナレッジ基盤だ。対象はエンタープライズプランに限る。7月に発表した個人の記憶を担うSecondBrainが1人分の文脈を扱うのに対し、TeamBrainは組織の文脈を扱う。整理してから入れるのではなく、入れてからAIに整理させ、矛盾があればフラグを立てる設計だ。
TeamBrainの導入事例として3社を挙げた。製造系人材サービスの日総工産では、TeamBrainとGenTeamを組み合わせ、採用部門の求人市況分析、求人原稿のリライト、人と求人のマッチングを担う3体のエージェントが稼働している。船井総合研究所は約200の経営研究会に蓄積した知見の体系化を検討中で、ADKマーケティング・ソリューションズは開発と営業の2チームでPoCを進めている。
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