“シャープナイン”が語るAQUOS PHONE ZETA SH-06Eが気持ちいい理由：目指すのは「生きているスマートフォン」（3/3 ページ）

[ITmedia]

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AQUOS PHONE ZETA SH-06Eを人に近づけるソフトウェア

　シャープ 通信システム事業本部マーケティングセンターマーケティング企画部副参事の景井美帆氏は、ソフトウェアの企画を担当した。

　AQUOS PHONE ZETA SH-06Eの「人間の感性と融合すること」は、ユーザーと直接向き合うソフトウェアでも重要になる。ソフトウェアの企画開発を担当したシャープ 通信システム事業本部マーケティングセンターマーケティング企画部副参事の景井美帆氏は、AQUOS PHONEシリーズで重要なコンセプトとなるFeel Logicに基づいてソフトウェア企画を行ったと述べた上で、「お客さまが自然な動作で使えることを重視してユーザーインタフェースを開発している」とタッチ操作が分かりやすくできるユーザーインタフェースに注力したと説明する。

　ディスプレイにおいては、HSV色空間の実現を重視した「FEEL artist」を実装している。色相（H）と彩度（S）、そして、明度（V）で制御するHSV色空間は人間が色を視覚で認識する思考過程や絵を描くときに色を作る過程に近い色調整が可能で、ユーザーにきれいと思ってもらえる画質の調整が可能になった。

　また、AQUOS PHONE ZETA SH-06Eで新たに導入した画面表示モードの「ユースフィットモード」は、Feel Logicに基づいたユーザーの快適さを意識している。周囲の照明の種類や利用する時刻にあわせて、見やすく、快適な気持ちをユーザーに与えるため、画質を自動的に切り替えている。

　AQUOS PHONE ZETA SH-06Eでは、画像処理エンジンとして「FEEL photographer」も実装している。同じ画質を重視するエンジンながら、こちらは、カメラの撮影画像を向上するために用意し、プロカメラマンの画像チューニングのノウハウを取り入れている。景井氏は、FEEL photographerを開発した理由として、スマートフォンで撮影するユーザーの特性を挙げている。

　「スマートフォンで撮影するときは、誰もがいつでもどんな状況でもきれいに撮影できることを望む。今回は、F値1.9の明るいレンズの採用を念頭にして、プロカメラマンに撮影してもらい、さまざまな撮影シーンごとに画質についてアドバイスをいただき、それを参考にチューニングをしてきた。特に夜景撮影の画質では、かなり自然な雰囲気の画像を撮れるようになっている。お客さまは設定は何もせず、何も意識することなく、そのシーンに合わせたきれいな画質で撮影ができる」（景井氏）

ユーザーの感性が自然に感じるUIを

　シャープ 通信システム事業本部パーソナル通信第一事業部商品企画部主事の三枝卓矢氏も商品企画と開発を担当する。

　「人間の感性と融合する」ためにAQUOS PHONE ZETA SH-06Eが用意するFEEL UXでは、「自然な操作の感触を実現する振動」といったユーザーインタフェースを重視した。この実装でも、機構設計や回路設計、そしてソフトウェア開発の各チームが「かつてないほどの頑張り」で実現したという。

　FEEL UXのコンセプトと特徴を説明したシャープ 通信システム事業本部パーソナル通信第一事業部商品企画部主事の三枝卓矢氏は、アイコンをタッチしたときや、画面をスクロールして端まで到達したときなど、それぞれの場面で生きているように感じる、まるで、物理的に紙やシートが存在する“モノ”が実際に動いているように感じる振動を実現するためには、バイブレータの設置場所からそれを可能にするために回路レイアウト、その振動をボディの適切な場所まで伝える機構設計、どこで鳴動させるかのプログラム設計などが重要になると主張する。

　もちろん、振動のパターンや強度などのチューニングも“使い心地”を左右するが、「そのチューニング以上に、その前提となる物理的な開発において、機構や回路設計の部署には、無理をお願いした」（三枝氏）という状況で開発は進んでいった。

　シャープ 通信システム事業本部パーソナル通信第一事業部開発部主事の松山茂丈氏は、AQUOS PHONE ZETA SH-06Eに導入するソフトウェアの開発を担当した。

　AQUOS PHONE ZETA SH-06Eで導入した新機能で苦労するのはハードウェアの実装チームだけではない。シャープ 通信システム事業本部パーソナル通信第一事業部開発部主事の松山茂丈氏が取りまとめを担当したソフトウェア開発チームも、フルHD解像度に進化したディスプレイに合わせて、ユーザーインタフェースのデザインチューニングや仕様変更の対応に、時間のない中で苦心することになる。

　FEEL UXで採用したタッチした瞬間や、フリックしている最中、画面をスクロールして端まで到達したときをはじめとするアニメーションなども、実際に生きているように、スクロールの端でページがバウンドしたり、アイコンがなぞった指にあわせて動いたりするアニメーション効果を導入した。加えて、松山氏はドコモが用意するアプリにおいても、AQUOS PHONE ZETA SH-06Eに最適な動作となるパラメータ調整にも相当な時間をかけている。

　また、設定画面などAndroidが標準で用意している画面でも、アイコンの色やデザインなども、シャープがオリジナルで用意している。製品の個性を主張するとともに、これも、ユーザーが気持ちよく使えるために開発が行うべきこと、というのがシャープ開発陣の考えだ。

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　AQUOS PHONE ZETA SH-06Eは、フルHD解像度のIGZOディスプレイに2日以上のバッテリー駆動を可能にする省電力設計、人間の視覚認識に近いHSV色空間を取り入れた画質エンジン「FEEL artist」や、F値1.9のレンズやプロカメラマンのチューニングを取り入れた「FEEL photographer」というハードウェア的な優位性はもちろん注目すべきポイントだ。

　しかし、それ以上に、「人間の感性との融合」というユーザー本意のコンセプトのために、これまでのスマートフォン開発とは異なる機能を実現するべく、企画チームは、スマートフォンでユーザーが本当に望む機能と性能を追求し、その“厳しい”要求を、機構や回路、無線の実装チームとソフトウェアの開発チームが、“かつてないほどの頑張り”で可能にしていった。

　「みなさん、同じ席に座っていて大丈夫ですか」との問いに「はっはっはっは、今だから笑っていられる」と答えるシャープの開発陣のような、意外と人間くさい技術者たちだから「人間の感性に近い」AQUOS PHONE ZETA SH-06Eが登場した、といわれれば、なぜか、すっきりと納得できてしまったりする。

　こういう人たちが作っているシャープから、将来、もっと人に近づいたスマートフォンがきっと登場する、と期待しても間違いではないだろう。

無事にAQUOS PHONE ZETA SH-06Eが完成したいまだからこそ、みんないい笑顔でいられます。撮りますよー、いいですかー、はい、笑顔