先生 さて、さっきS内が出した「ARROWS X F-05D」と「ARROWS Z ISW11」は、「ARROWSはハイエンド」というイメージを作り上げたという点では“元祖”と言ってもいいかもしれない。
いずれの機種も、当時としては最新のデュアルコアCPUを搭載していて、F-05DはLTE、ISW11FはWiMAXに対応したことで快適な通信ができる上に、防水・おサイフケータイ・ワンセグといった日本市場で人気の機能も搭載していて、ザ・キング・オブ・全部入りスマホといえるだけの機種だった。
それだけに、F-05DとISW11は発売からしばらくは品薄状態になって、当初は購入まで1カ月以上待たされることも当たり前だった。先生は、幸いなことにF-05Dを発売日に購入できたが。
F山 この2機種は確かに人気だったけれど、良くない評判もちらほら聞いたような……。
S内 (しょぼーん……)
M谷 S内、どうした、急に落ち込んで……。F山のいうとおり、この2機種はバッテリー持ちが良くないという話は確かにあったよ。
先生 うむ。歴史というのは、良いことばかりではない。良くないことも振り返ってこその歴史だ。
確かに、この2機種にはさまざまな問題があった。その中でも、一番問題として大きかったのは、M谷が言ったバッテリー持ちの問題だ。ハイスペックなCPUというものは、それなりに消費電力が大きい。その上、LTEやWiMAXはスマートフォンにとっては新しいチャレンジで、消費電力面での最適化も進んでいなかった。そして、何よりAndroidアプリは常時通信しようとするものある。ゆえに、F-05Dは1400mAh、ISW11Fは1460mAhと、フィーチャーフォンよりも容量の大きなバッテリーを搭載したにもかかわらず、実際の利用可能時間がフィーチャーフォンよりも短くなってしまったのだ……。
幸いなことに、両機種をAndroid 4.0にバージョンアップすると、後継機種で採用された省電力機能「NX!エコ」が追加されて、そのおかげでバッテリー持ちを少しだけ改善できた。しかし、その効果は本当に“少し”で、抜本解決とはいえなかった。後継機種では、NX!エコの搭載と同時にバッテリーそのものの容量を増やすことでバッテリー持ちを改善していくことになるんだ。
S内 (しょしょぼーん……)
F山 確か、F-05Dの兄弟機である「REGZA Phone T-01D」にも何か問題あったような……。
S内 (しょぼぼぼーん……)
先生 S内、なんでそんなに落ち込んでいるのか分からないが、確かにT-01Dにも問題はあった。
T-01Dは、ドコモ向けのREGZA Phoneとしては第2弾で、Androidスマートフォンとしては世界で初めて指紋認証機能を搭載したハイスペック機種だ。F-05DはLTE通信、T-01Dは指紋認証、ということで先端要素を“分けた”ようなイメージだな。
このT-01Dは、F-05Dの約1カ月前の2011年11月に発売した。しかし、発売直後に販売を見合わせるという失態を犯してしまったんだ。
M谷 何があったんですか……?
先生 一定の条件を満たすと、通話やパケット通信ができない、という不具合が発生したんだ。
M谷 それじゃあ、携帯電話としての用をなしませんね……。
先生 ソフトウェアの不具合が原因だったので、すぐさま修正を行って販売を再開したが、ケータイ以上にソフトウェアが絡み合うスマートフォンの開発の難しさを露呈した出来事だった……。
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