「ATOK Pocket」の実力は?ケータイでの快適な文字入力環境の実現に,「必要な文字入力量を減らす」という形で1つの回答を示したのがソニーのPOBox。そしてもう1つの回答がより正確なカナ漢字変換で快適な文字入力環境を目指した「ATOK Pocket」だ。
NTTドコモの「D503i」に初めて搭載されたのが,PCでもお馴染みのATOK。ケータイ用のATOKは「ATOK Pocket」(用語)と呼ばれ,現在はドコモの「D210i」(3月19日の記事参照)やauの「C407H」(5月15日の記事参照)などにも採用されている。 ATOK Pocketが目指すのはとにかく正しいカナ漢字変換。つまりPCのカナ漢字変換に要求されるものをそのままケータイに持ち込んだものだ。悪くいえばPOBox(用語)のように必要な文字入力数を減らすといった工夫はない。 複文節の切り出しに威力を発揮しかしATOK Pocketのメリットは非常に大きい。従来のケータイと比較するとかなり精度の高いカナ漢字変換を実現している。 現在では多くのケータイが複文節変換を採用しているが,実際には“複文節の読みを入力も可能”という程度の場合が多い。つまり単文節変換機能に文節の自動切り出し機能を付加した程度なのだ。 ATOK Pocketはほぼ完全といえる複文節変換を実現している。一度に入力できる読みの文字数が16文字なので実際には2〜3文節単位での入力となるが,その変換単位とする文節の切り出しもカナ漢字変換もかなり適切だ。
たとえば「が私は考えた」という文字を入力したいとしよう。「がわたしは」という読みに対し,多くのケータイは「がわ」をまず切り出して変換を行ってしまう。ATOK Pocketはしっかり「が」「わたしは」「かんがえた」と変換単位を切り出し,適切なカナ漢字変換を行ってくれる。 もちろん「が」を先に確定してしまえば多くのケータイで正しいカナ漢字変換が行われるが,こういった部分が文字入力に必要な手間を大幅に削減してくれる。
ATOK Pocketは,辞書も特徴的だ。いわゆる現代用語を多く含むため,現代的な口語にも非常に強い。このあたりはまさしくATOKらしい部分であり,長年PC用のカナ漢字変換システムを開発してきたジャストシステム製ならではといえる。 ATOK Pocketは必要な文字入力数という点は従来のケータイと変わらないが,高い精度の複文節変換を持つことで,安心して読みを一気に入力できる。ケータイの10キーを用いたカナ入力になれた人にとってはPO-BOXよりも快適な文字入力環境となる場合も多いだろう。またPO-BOXはある程度使いこなしのコツを抑える必要があるのに対し,ATOK Pocketはより万人に対して快適な文字入力環境を提供してくれるといえる。 過去の変換結果から予測変換を行うJ-K04POBoxやATOK Pocketほど話題にはなっていないが,予測変換機能を備えているのがJ-フォンの「J-K04」(ケンウッド製)。 それほど高度だといえる機能ではないが,従来の学習機能を拡張する形でより短い読みの入力でカナ漢字変換が行える予測変換機能を実現している。 J-K04で実現された予測変換は,辞書学習機能をそのまま活用している。 たとえば「けんうっど」を「ケンウッド」で1度変換したとしよう。これ以降「けんう」と読みを3文字入力すると,入力した文字が赤色に変化して予測変換が可能なことを知らせ,4方向キーの上を押すと「ケンウッド」が候補に表示される。もちろんさらに読みを入力して通常のカナ漢字変換を行うこともできる。
短文登録の進歩したものといえなくもないが,通常の文字入力からシームレスに利用できるメリットは大きい。また読み3文字を予測変換用に設定しているため,予測変換の候補もある程度絞り込まれる。長いカタカナ語への変換を頻繁に行う人にはかなり威力を発揮するはずだ。 J-K04の予測変換機能はPOBoxの一部のみを取り出したような機能ではある。しかしジョグダイヤルを持たない製品であり,操作性に悪影響を与えずそれなりに実用的な予測変換を実現した点は大いに評価できる。 ケータイの多機能化はめざましいものがあるが,文字入力環境はようやく進化を始めたばかり。最新のブラウザフォンでありながらカナ漢字変換に関しては頻度学習すら備えない端末もある。これからケータイで電子メールを使いこなしたいと思っている人はぜひ文字入力環境にも着目し,機種選定してしてもらいたい。 [坪山博貴,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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