CDMA2000 1x EVでも“完全定額”はなし──4月以降のKDDIは?

3シリーズ構成に移行したKDDIは,CDMA2000 1xへインフラをアップグレードしたあとも,サービスに大きな変更はない。BREWのダウンロードサービスは2002年度に,HDRは2003年度にずれ込むようだ。

【国内記事】 2001年11月12日更新

 「GPSケータイ」「ムービーケータイ」を発表したKDDIは,これでいったんサービスの概要を固めた。用意された3シリーズの端末で,他社にはない独自のサービスを展開。今後はインフラの強化を中心にサービスを強化していく。

 来年4月1日にCDMA2000 1xを導入したあとは,しばらくの間1xの全国展開を進める。“定額制”が期待されるCDMA2000 1x EV(HDR)については,2003年度になりそうだ。また定額制の意味合いも微妙になっている。

3シリーズ構成で展開──価格は2万円程度

 この12月の新シリーズから,KDDIは3シリーズ構成に移行する。従来の「C4xxシリーズ」は機能はそのままで「C100x」に,新しい2シリーズは「C300x」「C500x」という型番になる。それぞれのシリーズの特徴は以下の通り。

機能 C100x C300x
(GPSケータイ)
C500x
(ムービーケータイ)
EZweb - -
EZweb@mail
GPSナビゲーション機能
(eznavigation)
-
Java(ezplus) -
WAP2.0 -
動画配信機能(ezmovie) - -

 4ケタの新しい型番を採用したのは,「3つのシリーズが分かりやすいように」(KDDI)であり,特にFOMAを意識したわけではないという。GPSケータイとムービーケータイの価格については,「従来に比べると多少値段が上がる。ドコモのFOMAの価格である4万円の半額以下を目指している」(KDDIの小野寺正社長)

 販売台数は「3月末までに合わせて100万台くらい」(KDDI)。「主流はGPS機能が付いたもの。エントリーモデル(C100xシリーズ)も重要になる」(KDDI上席理事au商品企画本部長の井上幾由氏)

 先日発表されたばかりのC100xシリーズは,従来機と機能に変更がないが,「将来WAP2.0を適用することも検討している」(KDDI上席理事 au商品企画本部長の井上幾由氏)(11月8日の記事参照)。

“定額”はパック料金

 KDDIは「CDMA2000 1xを4月1日からサービス開始」(小野寺社長)するが(9月20日の記事参照),インフラの変更が中心であり,サービスは今回のものを引き継ぐ。1x導入時も「1000」「3000」「5000」という切り分けは変わらないようだ。「(型番も)頭の“C”を変更する程度」(KDDI)

 「1x導入後は,1x対応端末しか出さない」(KDDI)方針のようで,4月以降は1x端末のラインアップに移行する模様。1x端末は現行のcdmaOneとも互換性を持っているため,当初から全国で利用できるのがほかの第3世代携帯電話と比較した場合の強みだ。

 1x導入時の料金は検討中とし,「FOMAの料金を頭に入れているのは間違いない。パックプランのことも検討すべきだ」(小野寺社長)と,まだ微妙なところ。

 1x導入から1年後以降には,大幅な通信料金削減が可能になる「CDMA2000 1x EV」(HDR)の導入に向かう(7月30日の記事参照)。ただし講演などで何度も語られた1x EV導入時の“定額制”導入に関しては,「完全定額制を追及していきたいのだが,まったくの定額は難しい。(FOMAのような)パック料金的なものにならざるを得ない」(小野寺社長)と説明した。

BREWは3月末までに,しかしダウンロードは2002年度

 Javaよりも高速で柔軟性に富んだ携帯向けプラットフォーム「BREW」の導入に関しては,「3月までに提供できる」(井上本部長)としながらも,「(BREWをサーバから)ダウンロードする環境は今年度内は無理。2002年度には実現する」(井上本部長)と,当初はプリインストールソフトに限られる見通しだ(1月31日の記事参照)。

 J-フォンの写メールで人気の内蔵カメラについては,「内蔵のカメラも付ける方向で検討している。(全機種に搭載ではなく)特定のモデルに付ける形になる」(KDDI,au商品企画本部商品企画部長の牧俊夫氏)。

 インフラに関しては,他社に先駆けてcdmaOne網を構築したKDDIは有利な位置にいる。第3世代携帯電話で期待される高速なデータ通信にも,一から基地局を作り直す必要なく対応できる。

 CDMA2000 1xのメリットは,データ通信速度が144Kbpsに高速化されることだけではない。電波の利用効率が増し「収容効率が1.5倍になる」(KDDI)ことが大きい。利用できる周波数が逼迫し,1.5GHz帯の利用を始めたり,2GHz帯のFOMAを推進するドコモとは違い,KDDIは「しばらくは800MHzで大丈夫」だと言う。

 これまでKDDIの問題と考えられてきたのは,端末の商品力とコンテンツだった。J-フォンに毎月差を詰められているKDDIだが,新シリーズの一挙導入と位置情報,動画配信,そしてWAP2.0によってどこまで加入者伸ばせるかが注目される。

[斎藤健二,ITmedia]

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