SH506iC特集![]() ![]() 昨今、液晶が回転する回転2軸ヒンジ構造が人気だ。単なる折りたたみ型を一歩進め、ねじるように液晶を回転させると、折りたたんだ状態で液晶が前面に来るスタイルである。 多くの携帯電話では、この形状を採った理由がカメラの進化と結びつけられている。大きなメインディスプレイをファインダーとして使い、ダイヤルキーの裏側に配置したカメラで撮影を行いやすくする。これが狙いだ。 シャープ製の「SH506iC」も「回転液晶スタイル」と名付けた回転2軸ヒンジ構造を搭載。しかし、この狙いはカメラの活用だけではない。 「バリューのビューアをどう形にしていくか」。それがSH506iCの形状の基本コンセプトだったと、商品企画を担当した田中宏生主事は説明する。
この“バリュービューア”というコンセプトに対して、「情報の窓とコントローラーの理想的な関係はどんな形か」と考え、ビューアコントローラースタイルを生み出したのがシャープ 通信デザインセンターの芝田博和係長だ。 「バリュービューアは片手操作が基本になるだろう。手を持ち変えることなく操作するには、側面にコントローラーが必要になる」(芝田氏) 情報の詰まった端末から素早く情報が見られて、操作するにはどうしたらいいか、そして携帯電話としての使い勝手を維持するには? その答えが、SH506iCの回転2軸ヒンジ構造とコントローラーを融合させたスタイルにある。 ヒンジ構造など、大きなコアスタイリングは決まった。では細部をどう詰めていくか。コンセプトとして出てきたのは“スマート”という言葉だ。 スマートには、「すらりとしている様」という意味のほかに「賢い」という意味がある。さっと取り出して数々の情報を閲覧。自分を高めてくれる知的な存在。それでいて、大きくゴツイ形ではなく、すらりとしたコンパクトな形状。確かにできあがったSH506iCを見ると、スマートという言葉がぴったり来る。 「手の中に収まるサイズ感。特に横方向の大きさが重要だ」と芝田氏は、多機能端末であっても幅を絞り込み、握りやすさに重点を置いたと強調する。 最も出っ張った部分で計測するスペック表記では、SH506iCの幅は49ミリ。しかし実際に握る部分を計ると、SH506iCは実際には47ミリの幅しかない。 さらに底面には丸みを付けてホールド感を上げた。「全体に丸みを付けてしまっては石ころのような鈍重なデザインになる。手のひらに当たる部分は大きくアールを付け、それ以外の部分はシャープなラインを出すことでホールドのよさと同時に、メリハリのあるデザインとした」(芝田氏)。
カメラ起動時はこれらのキーが底面に来るあたり、バリュービューアでの利用を前提としたキーであることがよく分かる。 「デザインモデルも、実際のキーを埋め込んで操作感を確かめながらテストした」と田中氏。例えば側面のクリアボタンは最初は下に配置していたが、操作感との兼ね合いで上に変更されたのだという。 メニューアイコンは、その携帯の“情報の顔”である。外観に次いで製造メーカーのデザインセンスが問われると共に、最近では着メロ、壁紙に続くカスタマイズ可能な部分として注目を浴びている。 「各社の画面デザインの変遷を見ていくと、できるだけリアルに──影を付けて3Dにして──とデコラティブになってきている。そうした中で、SH506iCはコンセプトである“スマート”を表現することを考えた。アイコンもリアルさとは一線を画したものを目指した」と、画面グラフィックスデザインを担当したソフトデザイン室の長谷川敬一主事はコンセプトを説明する。 CPUパワーの向上により、アイコンがぐりぐり動くようなメニューを用意した機種も増え、表現の幅が広がっている。しかしSH506iCは、キビキビ動く操作性のほうを重視し、デザインもそれに沿った。 「アノニマスなデザイン(記号としての形がしっかり分かって、かつ装飾的ではない。デザイン要素をシンプルに絞ったもの)を施し、フィーリング的にクールなイメージ」
従来のメニューから大きく構成を変え、9つのアイコンが升目状に置かれるようになったのもSH506iCの変更点だ。しかもアイコンから背景まで、ユーザーが自由に変更できるようになった。 「カスタマイズへの対処は苦労した点の1つ。これまではバックとアイコンが一体となって1つの世界観で統一されていた。SH506iCでは、背景やアイコンがカスタマイズされることを前提に、ひとつひとつアイコンをしっかりとした存在感を持ったものにした」(長谷川氏)。 [ITmedia] FEED BACKピックアップ
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