FOMA SH901iCついにここまで来た、というべきか。カメラに続き、シャープが最新FOMA端末「SH901iC」に搭載したのは「TV Recording」機能。テレビやビデオデッキに携帯を接続して、動画を録画することが可能になっている。
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miniSDメモリカード | 256Mバイトまで公式サポート |
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平型AV出力ケーブル | 型番「P01」 |
平型ステレオイヤホンセット | 型番「P01」 |
miniSDカードは端末には付属しないので、録画したいユーザーは忘れずに。7000円少々で128Mバイトのメモリが買える。128Mバイトで最大約2時間の録画ができるので、長時間のスポーツなどを録画したければ最大容量を買っておこう。平型AV出力ケーブルは、ビデオデッキなどとの接続に必要。787円(税込)で購入できる。
平型ステレオイヤホンセット(630円)は、撮った動画を再生するときに役立つ。「平型ステレオイヤホンセット」(P01)など、イヤホンマイクとして使えるものを買っておくと応用範囲が広がる。
これらを購入して自宅に帰ったら、ビデオデッキなどのAV機器とSH901iCを、平型AV出力ケーブルで接続してみよう。AV機器の「出力端子」にケーブルを差し込み、反対側はSH901iCのイヤホン端子(AV/IN-OUT)に差し込む。ケーブルは黄/赤/白のコンポジットなので、S端子やピンジャック端子に接続したい人は変換アダプタも用意しておこう。
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ビデオデッキ(DVD/HDDレコーダ)によっては、2系統の出力端子があるはず。テレビも、BSチューナ内蔵型ならば出力端子を備えている場合が多い |
準備はこれだけで完了だ。これまでも“PCで録画した動画を変換して、SDカードに保存して携帯で閲覧する”ことができる端末は存在した。しかしPCが必須な上、動画に関する知識が必要なこと、操作が難しかったことが利用の妨げになっていた。“単にケーブルをつなぐだけ”のSH901iCは、最初のハードルを大幅に下げたわけだ。
それでは、まずはテレビ番組を録画してみよう。これも操作は簡単。ビデオデッキの電源を入れて、メニューから「ツール」−「ビデオ録画」−「ワンタッチ録画」を選択する。携帯の画面にテレビ番組が表示され音が流れれば成功だ。
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ここで決定ボタンを押して「録画」を選ぶ。すると、miniSDカードに流れている番組の録画が始まる。残り何分間録画できるかは、画面下部に表示されている。最もシンプルな録画はこれで完了だ。まさに家電感覚で番組録画が行える。
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続いて試したいのは、「スケジュール録画」だ。録画したい番組の日時を指定して、AV機器と接続しておけば、その時間になると自動的に録画が始まる。
ただし、AV機器側の操作までやってくれるわけではないので、あらかじめチャンネルを合わせておき、指定時間に電源が入るようにしておく必要がある。ビデオデッキならば、電源を入れてチャンネルを合わせておけばいい。内蔵iアプリの「Gガイド番組表リモコン」を使えば、EPGの番組表から直接録画予約も行える。
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続いて、もう少し高度な録画にチャレンジしよう。SH901iCは3種類の録画モードを持っていて、画質や音質、録画時間がそれぞれ異なる。
録画モード | 16Mバイト | 32Mバイト | 64Mバイト | 128Mバイト |
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大(標準) | 4分 | 8分 | 17分 | 36分 |
小(高画質) | 7分 | 16分 | 32分 | 1時間7分 |
小(標準) | 18分 | 37分 | 1時間16分 | 2時間37分 |
128Mバイトのメモリカードを使った場合、大(標準)で30分程度、小(高画質)で1時間、小(標準)で2時間の録画が可能だ。256Mバイトの場合、それぞれ倍になる。ではそれぞれの画質はどのくらいか。
SH901iCは、家電製品で今も使われるASF形式で動画を録画する。映像圧縮方式はMPEG-4で、ビットレートは最大384Kbps、秒15コマ。音声圧縮方式はG.726(8KHz、16〜32Kbps、モノラル)を使っている。下表は、各録画モードの推定ビットレートだ。
録画モード | 画面サイズ | 映像 | 音声 |
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大(標準) | 320×240 | 384kbps | 32kbps |
小(高画質) | 240×176 | 192kbps | 32kbps |
小(標準) | 240×176 | 80kbps | 16kbps |
録画の際には、番組の種類によってモードをうまく選択する必要がある。最も長時間の録画が可能な小(標準)でも映像はそこそこいける。映画などの字幕もなんとか読み取れるし、アップならば人物の表情も問題ない。ただし音声のビットレートが低いため、ナレーションなどが聞き取りにくい。ニュース番組などを録画するなら、小(高画質)以上がお勧めだ。
小(高画質)は使い勝手がいいモードだ。音声品質もアップし、画質もクオリティアップ。約1時間の録画が可能なため、たいていのテレビ番組を保存できる。
大(標準)では、画面サイズが液晶解像度と同じサイズとなる。秒間コマ数こそ、テレビの半分となる15コマのため滑らかさには欠けるが、絵は非常に美しい。ただし音声にはあまり期待しないほうがいい。
音楽番組などを楽しむなら、PCが必要だがステレオ再生に対応したiモーション形式の3GPファイルを作るほうがいいだろう。ここは使い分けが必要になる部分だ。
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録画モードは3種類。音声はモノラルだが合成するのか選択するのかを選べる |
録画した動画を見るには、「メニュー」から「データBOX」を選択して「iモーション」−「PRL001」と選び、サムネイル表示されている動画から好きなものを選ぶ。
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再生時の注意点をいくつか挙げよう。
「再生中照明設定」を「常にON」に再生中に操作がなくても画面が消えなくなる
「レジューム再生設定」を「する」に番組再生中に終了しても、次回再生時に続きから再生できる
再生中は、十字キーの上下で音量調節。左右の長押しで早送り/早戻しができる。左右を短押しすると次のファイルに移る。
お勧めの閲覧方法は、「サブメニュー」−「View」ボタンを選択して全画面表示にすること。さらに液晶を回転させて閉じ、「ビューワポジション」で見るのがお勧めだ。横向きに使う場合、十字キーの操作も向きに合わせて変わる。こうした細かな工夫がうれしい。
ちなみに、画面を明るくしたい場合は再生中に[#]ボタンを1秒以上押すと、液晶の輝度が最大になる。再度長押しすれば元に戻るので、「動画を見るときは明るい画面で」と考えている人は活用しよう。
音声は、再生場所の自由度を考えるとイヤホンを使うのがベスト。通勤中の電車の中でもテレビ番組を視聴できるのは、携帯電話の大きなメリットだからだ。ここで、最初に用意した平型ステレオイヤホンセットが役に立つ。
携帯で録画した番組が見られることのメリットは、いつでもどこでも動画が見られることだ。いくつか活用シーンを挙げてみよう。
まずは自宅のHDDレコーダなどに撮り貯めた番組の閲覧。たいていのユーザーは、HDDレコーダに短時間で見終わらないほどの量をとりためているはずだ。夜、寝る前にでもHDDレコーダとSH901iCを接続して録画してしまう。あとは通勤途中や、昼の空き時間などに見てしまおう。
スポーツや英会話などの学習教材についても、SH901iCを使えばたちまちモバイル環境でレッスンを受けられる。これまでテレビがなければ利用できなかったさまざまなコンテンツが、SH901iCを使えば場所を限定せずに使えるのだ。
録画のために使う接続ケーブルの、もう一つの使い方も忘れてはいけない。録画時にはAV機器の「出力端子」に接続したが、今度はテレビやビデオデッキの「入力端子」につないでみよう。SH901iCで再生している動画を、テレビに出力することができるのだ。
実はテレビ出力できるのは、録画した動画だけではない。例えば、テレビ電話中の相手の顔、撮影した写真、さらにはPCファイルを見ることもできる。SH901iCには、ドキュメントビューアといって、miniSDメモリカードに保存したWord、Excel、PowerPoint、PDFなどのファイルを携帯画面上で閲覧できる機能があるが、これらのファイル内容をテレビに映し出すことができるのだ。
携帯と動画。この2つは相性がよさそうでありながら、これまでなかなか機能として定着してこなかった。PCいらずで、家庭のAV機器と直結して録画できるSH901iCは、動画環境の普及に大きな役割を果たすことになりそうだ。