900iの深謀遠慮〜ドコモ榎氏
Java搭載携帯電話の最終目標はゲームではない。赤外線や非接触ICなどを使ってリアルの世界をコントロールするためのプラットフォームだ。iモード事業本部長の榎氏が、Javaへの取り組みに対する“深謀遠慮”を話した。
「Java搭載の携帯電話は、子供のゲームマシンだと思われているが、我々には深謀遠慮がある」
NTTドコモのiモード事業本部長 榎啓一氏が2月18日、Java Technology Conference 2004の基調講演でこのように話した。
ドコモのJava対応端末は、既に2000万契約を突破。「(Javaの)コーヒーマークのアニメは、日本の若者の間では常識化している」と榎氏が言うように、コンシューマに最も近い位置にあるJavaプラットフォームは携帯電話だ。
最新のFOMA端末「900iシリーズ」では、500Kバイトという大容量のJavaアプリケーションが動作する。ドラゴンクエストやファイナルファンタジーが動作し、「普通の専用ゲーム機と同じようになった」(榎氏)。
Javaで“日常生活をコントロールするマシンに”
しかし榎氏は、ゲームがiモードJavaの最終目標であるとは考えていない。「Javaを使って、携帯で日常生活をコントロールできる世界を作りたい。今年がスタートの年」と榎氏。
ドコモはJavaを使って、携帯電話と外部の世界との連携を狙っている。同社が2年前からJava対応端末に標準搭載している赤外線通信機能や、今年搭載を予定している非接触ICチップ──FeliCaは、Javaからの操作が前提だ(2003年12月の記事参照)。「全機種に搭載した赤外線はJavaで駆動する。非接触ICのFeliCaもJavaでたたく」
講演では、アイラテのJavaアプリケーションを使い、ネットからテレビプログラムをダウンロードして、赤外線によってビデオデッキに録画予約を行うデモも行われた。
リアルの世界をコントロールするインフラを作る──。iモードがこうした目標を掲げたのは、ローンチ以前まで遡る。Javaの搭載とリアル連携は、「6年前に計画し、5年前にiモードをローンチ。3年前に(初のJava端末である)503iを出した。少しずつ進化してきている」(榎氏)。
なお、米AT&T Wireless買収に対しては「ノーコメント」(2月18日の記事参照)。「海外においてもiモードが急速に普及している。私たちが(市場を)ならして、端末の数もたくさん出すので、国内のコンテンツプロバイダもぜひ海外に来てほしい」と話すに留めた。
関連記事
- 特集:900iシリーズ登場
2004年2月には、FOMAの新シリーズ「900i」が登場する。カメラや端末の重さ、待受時間などさまざまな面で、ムーバと同等の仕様とし、コンテンツなどのサービス面では505iを上回る。 - 504i赤外線ソリューションの期待と課題
ビジネスシヨウには、504iの赤外線を使ったソリューションが複数展示された。いわく「携帯がビデオの会員証になる」「携帯でカラオケ予約ができる」……。その展示は、大きな可能性を感じさせると共に、現状での課題も浮き彫りにしていた - iモードFeliCaで実現する、こんなサービス
iモード端末にFeliCaが搭載されるとどうなるのか──が具体的になってきた。ドコモはiモード搭載FeliCa端末を使ったフィールド実験を12月17日から開始、27社が具体的なサービスイメージを打ち出した。 - 米Cingular、AT&T Wirelessを買収
CingularがAT&T Wireless買収に合意。GSMオペレータ2社がひとつになることで、CDMA方式でサービスするVerizonを抜き、米国第1位の通信オペレータが誕生する見込み。AT&T Wireless筆頭株主のドコモは、米国市場への足がかりを失うことになる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.