90nmプロセスフラッシュで製造能力4倍に〜Intel
Intelは業界初となる90ナノメートルプロセスのNOR型フラッシュメモリを開発した。大容量のデータ需要が増えていく中で、Mビットあたりの製造能力を4倍に増強。携帯電話向けメモリに集中していく方針だ。
Intelは業界初となる90ナノメートルプロセス技術を用いたNOR型フラッシュメモリ「インテル ワイヤレス・フラッシュ・メモリ」を開発した。
まずは1ビット/セルで64Mビットの製品の量産を第3四半期から開始する。今年後半には、2ビット/セルのStrataFlashのサンプル出荷も始める。
90ナノプロセスと多値セルにより、4倍のチップ量に
名称に「ワイヤレス」とある通り、Intelはフラッシュメモリの開発努力を携帯向けに集中させる方針だ。2004年は多値セル(1セルに2ビットの情報を記録)のStrataFlashの割合を増し、新たに半導体製造工場(Fab)を立ち上げることで、Mビットレベルの製造能力を従来の4倍にまで拡張する。
これを実現するのが90ナノプロセス技術だ。CPUなどロジック回路が先行するプロセス技術だが、フラッシュメモリにとってもマイルストーンとなる。
最大のメリットは、同じ容量のメモリを製造するためのダイサイズが半減すること。低コストとなるだけでなく、製造能力の増強にもつながる。
同社製造・技術本部副社長のステファン・ライ氏は「90ナノプロセスのStrataFlashの登場で、ウェア当たりのチップ数量は、130ナノプロセスの4倍になる」と話す。実際には、130ナノのStrataFlashと90ナノのシングルビットを比較すると「ダイアウトプットは差がない」が、小幅ながら性能の増加も見られるという。
分岐点は4Gビット? 携帯はNOR型のスイートスポット
Intelが携帯向けのフラッシュメモリに注力するのは、携帯が必要とするメモリ容量が倍々で伸びているだけでなく、同社が開発したNOR型フラッシュメモリに最適な機器だからだ。
フラッシュメモリにはランダムアクセスが高速なNOR型と、大容量化に適したNAND型の、大きく2種類がある。携帯向けのメモリとしてはプログラムを保存するのに適したNOR型が主流だったが、近年、カメラなどのマルチメディアデータを保存するためにNAND型も脚光を浴びてきた。NAND型はデジタルカメラなどのメモリカードに使われており、各社が大容量化・低価格化のしのぎを削っている。
「携帯のデータソリューションをNOR型で提供できるのか。NAND型が必要なのではないか──という議論が進みつつある」とライ氏もNAND勢の動向が無視できなくなってきたことを認める。
ただし「携帯のような小容量ではNAND型はコスト効率が悪い」。ライ氏は4G〜8GビットあたりがNANDとNORのコスト効率が逆転するラインと見ている。現在のところ、「携帯が必要とする容量は、最大値であっても多値セルのNORに適した容量。我々のデータNORソリューションのスイートスポットだ」。
2005年から2006年にかけて、携帯に必要とされるメモリ容量はプログラムコードとデータを合わせても512M〜1Gビット。その後、さらに大容量のメモリが必要になるとしても、「携帯電話ではメモリカードを使うだろう」とライ氏は予測している。
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