パケット代10万円使ってこそ「真のファン」?:パケット定額制の衝撃/CPの思惑編(2/2 ページ)
携帯コンテンツの歴史は、ユーザーが費やすパケット料金が削減されてきた歴史でもあった。そんなことを教えてくれるのは、大手コンテンツプロバイダのハドソンだ。
「森田将棋」もまた、通信料がかかるコンテンツだった。森田将棋では、森田和朗氏が開発した思考ルーチンのもと、計算が行われ「次の一手」が選択される。
計算速度はCPU性能に依存するので、ローカルよりもサーバ側で処理を行った方が“いい手”を割り出せる。森田将棋はローカルで対局することもできるが、通信を行ったほうがコンピュータが強くなる。
「iモード版森田将棋の強さは、家庭用ゲーム機などとは比べ物にならない。森田氏は思考ルーチンに随時改良を加えているが、これもサーバ側で反映させることができる」(寺田氏)
とはいえ、通信すればそれに伴うパケット代も発生してくる。かつての森田将棋は、ユーザーに対しパケット代の負担が大きいゲームだったようだ。
「サービス開始当初は、(アプリではなく)HTMLベースの将棋ゲームだった。つまり、局面はGIFで描かれており、サーバ側でそのURLを送信していた」
具体的に、1局あたりの料金はどのくらいだったのか。
「1手指すごとに、8Kバイトの画像プラスもろもろのデータを送受信することになる。手数にもよるので正確には分からないが、1局指すと1000円を超えていた」(柳沢氏)
その後、iアプリ版森田将棋が登場し、ある程度の処理はローカルで行えるようになる。iアプリ版では、サーバと送受信するデータの容量は1Kバイト以下に抑えている。
「1局指すごとに、14K〜25Kバイトかかると聞いている。これだと、パケット代もPDCで数十円のレベルだ」(寺田氏)。こちらはかなり通信料のかからないゲームとなったが、パケット定額制なら“ゼロ”になることはいうまでもない。
パケット定額制がもたらすもの
ミラクルくえすとも、森田将棋も、通信を気にせず楽しめれば魅力は増す。これはユーザーだけでなく、CP側にもメリットをもたらすと寺田氏は話す。
「ユーザーは選択肢が広がり、見え方としての料金が安くなる、これまで2万円払っていた人が、定額制なら1万円で済むようになる」
すると、「じゃあ有料コンテンツに10個ぐらい加入してもいいかな」という流れになるのではないか――。寺田氏はそう期待する。パケット料金に費やされていた分が、CPに流れ込むのではという思惑だ。
同氏はまた、定額制ユーザーが増えることで制作側もリッチコンテンツを提供できると話した。
(C) HUDSON SOFT
関連記事
- MMORPGはパケ・ホーダイで進化する?
定額制で、「携帯ゲーム業界」はどう変わるのだろうか? 本特集では、ドコモの定額制導入がコンテンツプロバイダに与えるインパクトに焦点をあてる。第1回は、MMORPG「魔法学園アヴィリオン」を運営するブイシンクに話を聞く。 - あなたの900iで、「あのゲーム」は遊べるか?
900iシリーズの魅力はiアプリにある、と考えるユーザーも少なくないだろう。懐かしのゲームをしたくて900iを買うのもいいが、ちょっと待った。そのゲームは、あなたの買おうとしている900iで遊べるのか? - 「パケ・ホーダイ」が始まったものの……
6月1日、ドコモのパケ・ホーダイが始まった。過大な負荷による影響を防ぐため、一定の制限が設けられているが、その影響はまだ出ていないようだ。どちらかといえば、定額向けコンテンツの不在が気にかかる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.