ボーダフォン、非接触IC「我々も似たようなサービスを提供したい」
非接触ICチップを外付けのSDカード型としたわけは、全世界のVodafoneグループで共通のW-CDMA/GSM端末と仕様を使うため。「ICプラットフォームに載るサービスを日本が主導していくべき」と、非接触ICチップソリューションの強い推進の意を示した。
非接触ICを使ったサービスについて、「我々も似たようなサービスを提供したい」。6月11日、日刊工業新聞主催のセミナーで、ボーダフォンのプロダクトマネジメント統括部長のマイカ・今村氏が話した。
「携帯電話は財布代わりになります」とし、Mobile Suicaやチケット、電子マネー、IDカード代わりに携帯が利用できる例を示した。
仕組みとしては従来明かされていた通り、ISO 14443準拠の近接通信用アンテナを端末内に内蔵し、SDカード型の非接触ICチップを差し込んで利用する(5月11日の記事参照)。さらに、非接触ICチップのコントロールはJavaを利用し、ボーダフォンライブ!を介して、ICアプリやチケットのダウンロード、Suicaなど電子マネーへのチャージを行う。SDカードを入れ替えることで各種の非接触ICチップを利用できるが、例としてはType BとFeliCaを挙げた。
SDカード利用は、「コストインパクト最小化」のため
非接触ICチップを内蔵せず、外付けのSDカード型とした理由も明かされた。そして、非接触ICチップ対応の端末がVGS端末になることも示唆した。
ボーダフォンは2004年の秋から、VodafoneグループとW-CDMA/GSM端末の共同購買を行う。グループのスケールメリットを端末調達に生かすことで、コスト面でのアドバンテージを得るのが目的だ(5月25日の記事参照)。
そのため、全世界で仕様の共通化を進めているが、「ワールドワイドで見た場合、非接触ICは次の世代にならないと立ち上がらない」(今村氏)。SDカード型の外付けチップとすることで、日本ローカルの商品として販売でき、「コストインパクトを最小化できる」。
今村氏によると、Vodafoneグループの中でも英国とドイツが非接触IC技術に強い関心を示している。「ICプラットフォームに載るサービスを、日本が主導していくべき。世界的にソリューションを提供したい」。
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