東芝は6月24日、世界最小のダイレクトメタノール(メチルアルコール)燃料電池システムを開発したと発表した。22(横)×56(縦)×9.1(厚さ)ミリの親指サイズながら出力は100ミリワット。小型オーディオプレーヤーなら最大約20時間の駆動が可能という。2005年中の実用化を目指す。
燃料ポンプや送気ファンを使用しないパッシブ型セルを採用した。内蔵タンクに入れるメタノールは2ミリリットルまでで済んでいる。濃度99.5%以上の純メタノールを使うことで、希釈したメタノールを使うシステムに比べ燃料タンクの容積を10分の1以下に小型化できた。
パッシブ型は、燃料を希釈循環する機構がないため、長時間駆動には高濃度なメタノールが必要。だが高濃度メタノールの場合、分解前のメタノールが発電することなく酸素と反応してしまう「クロスオーバー現象」が発生し、性能が低下する問題がある。このため10%以下に希釈したメタノールを使うのが一般的だが、その分タンクが大型になってしまい、小型機器に装着するのは難しくなる。
東芝はナノレベルの触媒微粒子を高密度配置する新構造の電極を採用し、メタノールの分解性能や水素と酸素の反応性を高めるなどし、純メタノールでもクロスオーバー現象による性能低下を防いだ。また出力効率も従来比約5倍に向上した。
同社は携帯電話やノートPC向けに、ポンプやファンを使用するアクティブ型燃料電池を開発してきた。これに今回開発したパッシブ型も含め、さらに幅広い用途に対応できる燃料電池開発を進めていく。
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