イー・アクセス株主総会、幹部たちの思いは?
イー・アクセスは6月28日、都内で株主総会を開催した。この後に行われた懇親会では、千本社長を始めとする同社幹部たちのざっくばらんな意見を聞くことができた。
イー・アクセスは6月28日、都内で株主総会を開催した。この後に報道関係者を交えて行われた懇親会では、同社幹部たちのざっくばらんな意見を聞くことができた。一部を紹介しよう。
FTTHは時代に合わない「戦艦大和」?
会場で、ひときわ多くの記者を周囲に集めていたのが千本倖生社長。この日も例によって「千本節」が聞かれた。
FTTH事業への進出を聞かれた千本氏は、現段階ではFTTHにこだわるべきでないとの持論(2003年10月の記事参照)を展開。「米国でも、ドイツでも、イギリスでも、どこでもFTTHなんてやっていない」と強調する。
「FTTHに投資するのは、『戦艦大和』を作るようなもの。一所懸命に大和を作っていたら、世間は戦闘機の時代になっていたということになりかねない。(NTTグループはFTTHへ注力しているが)日本のエリートは、時に間違った選択をする。気をつけた方がいい」
同氏は、“経営のプロ”として見るとFTTH事業にはまだ進出できないと話す。
「経営者は、黒字を出さないといけない。いまFTTHを6000円で提供しているところもあるが、コストは2万5000円かかる。FTTHをやると赤字になるんです。ADSLは、もうかるからやっている」
NTTには経営者というより、“思想家”が多いのではないか――という皮肉も飛び出した。
ソフトバンクのTD-CDMAを意識するか?
会場では、TD-SCDMA(MC)技術のキーマンである新規事業企画部、諸橋知雄本部長の姿もあった。
TD-CDMAをめぐっては、ソフトバンクグループがいよいよ実験局本免許を取得して、実証実験に乗り出している(6月24日の記事参照)。もっとも、諸橋氏の反応は「今(になって)ですか」。先行する立場から、一定の余裕を見せる。
ソフトバンクはイー・アクセスと異なり、7月にはCDMA2000方式の実験局本免許も併せて取得し、実証実験を開始する予定でいる。これに対して、諸橋氏は「(音声ベースの)携帯電話をやりたいのだろうか」と推測する。
「うちはやはり“モバイルADSL”というコンセプト。IPベースのサービスを提供しているうちに、当然の流れとしてVoIPも乗ってくるだろうということ」。ソフトバンクとは方向性が違うかもしれないとした。
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