Bluetoothはどこまで使える?〜「F900iT」(2/2 ページ)
Bluetoothとタッチパネルを装備した、イノベーター層向けFOMA「F900iT」。Bluetooth機能は、どこまで使えるのかをチェックした。
「ハンズフリー」「ヘッドセット」の両プロファイルに対応
Bluetoothは、Bluetooth搭載のPCやPDAからワイヤレスでF900iTのデータ通信機能を使ったインターネット接続が行えるほか、ハンズフリー通話にも対応している。同様の機能を持つauの「A5504T」(3月15日の記事参照)が「ハンズフリー」プロファイルのみのサポートなのに対し、F900iTでは「ヘッドセット」プロファイルにも対応している。
「A5504T」のレビュー時同様(5月14日の記事参照)、Motorola製のBluetoothヘッドセット「HS810」が動作するかを試したところ、問題なく利用できた。このヘッドセットは「ハンズフリー」「ヘッドセット」の両プロファイルに対応しており、F900iTではどちらのプロファイルでもワイヤレスヘッドセットして利用できた。
A5504Tと異なるのは、着メロや着うた、着モーションなどの着信音もヘッドセットで再生可能な点だ。F900iTには「着信音送出設定」があり、オンに設定すると本体と同じメロディがヘッドセットでも再生される。本体がマナーモード時でも、ヘッドセット側では本体で設定した着信音が再生されるようになっている。A5504Tではヘッドセットが持つ着信音のみだ。
詳細設定にある「着信音送出設定」をオンにすると、本体と同じ着信音がヘッドセットでも再生される。オフにした場合は、ヘッドセットが持っている着信音が鳴るようだ |
「ハンズフリー」「ヘッドセット」それぞれのプロファイルでの動作も異なる。使い勝手が大きく変わるほどの差異はないが、「ハンズフリー」プロファイルはよりハンズフリー機器側からの高度な制御も考慮されている関係上、微妙に動作が異なるようだ。また「ハンズフリー」プロファイル特有の機能である着信拒否も利用できた。
ヘッドセット | ハンズフリー | ||
着信中 | 着信音 | 本体の着信音はイヤホン設定に連動,ヘッドセットには固定のブザー音も混じる | ヘッドセットのみで着信音 |
ヘッドセットのボタンを押す | ヘッドセットで通話開始 | ヘッドセットで通話開始 | |
発話ボタンを押す | 本体で通話開始 | 本体で通話開始 | |
ヘッドセットのボタン長押し | ヘッドセットで通話開始 | 着信拒否 | |
本体で通話中 | ヘッドセットのボタンを押す | 通話をヘッドセットへ切替 | 通話をヘッドセットへ切替 |
発話ボタン長押し | 動作変更無し | 通話をヘッドセットへ切替 | |
ヘッドセットで通話中 | ヘッドセットのボタンを押す | 終話 | 終話 |
発話ボタン長押し | 本体へ切替 | 本体へ切替 |
今回利用した「HS810」があくまで正式サポート製品でないことも考慮する必要はあるが、「ハンズフリー」プロファイルでリダイヤルがサポートされていない点は気になった。また「ヘッドセット」プロファイルでは自動接続時にアドレス帳0番に必ず発信をしてしまう。これはイヤホンマイク利用時のワンタッチダイヤル機能の動作なのだが、ちょっと困った挙動であった。
Bluetoothでもマルチアクセスをサポート
A5504Tにはない機能として挙げられるのが、マルチサービス。FOMAの通話とデータ通信が同時に行えるマルチアクセスを生かす機能だ。PCやPDAとBluetoothで接続し、パケット通信によるインターネット接続中でも、ヘッドセットともBluetoothで接続し、ハンズフリー通話が行える。
F900iTは側面にBluetoothのオン/オフボタンを備えるが、例えばこのボタンでオンにした場合、マルチサービスでBluetoothは機能する。
インターネット接続と音声通話を並行して利用した場合の通信速度や音声品質が気になる人もいるかもしれない。Bluetoothの場合、非対称通信時で高速側が最大約720Kbps、対称通信時で最大約430Kbpsと、概ね200Kbps程度とされるFOMAのパケット通信速度はカバーできる。しかし2つの機器との同時通信における通信のオーバーヘッド、F900iT側の処理能力などは未知数な部分も多い。
ここではインターネット上の速度計測サイトを利用し、インターネット接続のみでの通信速度を計測した場合と、音声通話を並行しながら計測した場合を比較し、通信速度や音声通話品質を検証してみた。
音声通話品質に特に問題を感じることもなく、通信速度についてもほぼ影響はないという結果だ。アンテナバーが2〜3本と、今ひとつ安定しない場所のため通信速度自体は少々低めだが、受信速度自体は140Kbps前後と十分安定していた。マルチサービスの影響は、それほどないと考えてよさそうだ。
FOMAならテレビ電話が生きるBluetooth対応
テレビ電話をサポートするFOMA端末では、Bluetoothヘッドセットが持つ意味は大きい。ハンズフリーでは利用する場所を選ぶ、しかしテレビ電話の度にイヤフォンマイクを接続するのも面倒──といったテレビ電話の持つ課題を1つクリアできるからだ。Bluetoothヘッドセットを常時装着することが前提にはなるが、ケーブルでつなぐイヤフォンマイクに比べれば、常時使うことへの抵抗も少ない。
次回はタッチパネルを中心に、F900iとの相違点を探る。
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