KDDIがBREWに期待していること
WIN対応のBREW端末も発売され、KDDIのアプリケーションプラットフォームとしてBREWの地位が確立されてきた。これまで技術的な側面で語られることが多かったBREWだが、採用キャリアであるKDDIはどの点に注目しているのか。コンテンツ推進部長の竹之内剛氏に聞いた。
KDDIのアプリケーション環境が、完全にBREWに移行しつつある。他社と同じように、当初はJavaプラットフォームを推進してきたKDDIだが、2003年2月にBREW対応端末を投入して以来(2003年1月29日の記事参照)、徐々に軸足を移してきた。
今回、BREWに対応した1X WIN端末を投入したことが(7月12日の記事参照)、「1つのマイルストーン」だと話すのは、KDDIコンテンツ推進部長の竹之内剛氏だ。「Javaに代わるプラットフォームとして割と好調。これから本格的にアプリケーションを出していける」。
BREWでしか提供できないゲーム
竹之内氏がBREWの特徴として挙げたのは、大きく3つ。まず1つ目はゲームだ。「BREWのみでしか提供できないゲームを考えている」(同)。
ジャンルとしては単なるダウンロードゲームではなく、通信ゲームに注目する。通信対戦系やアーケードゲーム、コンソールゲームとの連携を計画しているという。「これまではパケ代の件もあって、なかなか提供できなかった」が、定額制に対応したBREW端末の登場で環境は整った。
KDDIの課金コンテンツの内訳を見ると(7月29日の記事参照)、着うたとゲームが急成長しているのが分かる。携帯ゲームといえば、ドラクエ/FFを目玉としたドコモの900iシリーズが思い浮かぶが、「ドコモはサチって(飽和して)いる。KDDIは伸びている」(竹之内氏)。
気が付けば背後にBREW
2つ目が、BREWを新サービスのプラットフォームとして活用することだ。既に、FMケータイやEZナビウォークなどの新サービスはBREWアプリで提供されており、“ヒットしているサービスの裏にはBREW”という状況ができつつある。
竹之内氏はこれをさらに推し進め、「何か新しいことを始めると、実はその裏には必ずBREWがある」環境を想定する。
元々はBREWを前面に立てた派手な見せ方を想定していたが、次第に裏方としての使い方も便利だということを実感してきたという。「BREWになって、こうだ、ああだ、とユーザーから見て派手に何かが見えるわけではないが、実は少しずつBREWで便利になってきている」(竹之内氏)。
BREWを使う大きなメリットは、ソフトのバージョンアップが図れることだ。端末組み込みの機能と違い、BREWを使うことでソフトの機能追加がダウンロード経由で容易に行える。「ナビウォークも今回ユーザーインタフェースを変えたが(7月28日の記事参照)、この前の代の端末でもダウンロードして新しくできる」(竹之内氏)。
このソフトバージョンアップを、さらに広い領域に広げようとする試みも進めている。メールソフトやWebブラウザのBREW化だ(4月28日の記事参照)。
「IEがいいとかNetscapeがいいとか選べるように、PCの世界でできていることをやっていきたい。将来的には、自分の好みにあったメーラーやブラウザを使えるように」と竹之内氏。
これによって、BREWは単なるアプリケーションプラットフォームから、OSの役割の一部まで担うことになる。
すべてを連携させて使いやすく
“実はBREWを使ってます”といった機能が徐々に増える中、次に狙うのは各BREWアプリ同士の連携だ。例えば、QRコード読み取り機能(BREWで提供されている)を使って住所を読み取ると、EZナビウォーク(BREWで提供されている)が起動して道案内をしてくれる(6月9日の記事参照)。
「すべての機能を連携させて使いやすく。アプリ間連携がこれから増えてくる」(竹之内氏)
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